投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

染色・草木染めにおける皂莢(さいかち)

皂莢さいかち(学名:Gleditsia japonica)は、マメ科ジャケツイバラ亜科サイカチ属の落葉樹で、河原藤木カワラフジノキとも呼ばれていました。

5月〜6月頃の初夏に、枝先から黄緑色の花を大量に咲かせます。

Gleditsia japonica kz2

皂莢(さいかち)の花,Gleditsia japonica,Krzysztof Ziarnek, Kenraiz, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

幹に鋭いトゲがあることや、大型のマメができることで知られ、10月頃に成熟した豆果は長さ20cm~30cmほどにもなります。 続きを読む

藍の液に浮かぶ華

藍染された布や糸から、石灰と水飴を使って顔料化する「飴出し法」

江戸時代に描かれた浮世絵うきよえには、さまざまな色が使われていましたが、藍色もその中にありました。

青の色をつくるのに露草や藍が使われていましたが、植物由来の色であるために、日に焼けて変色しやすかったり等、版画はんが向きでなかったのは想像に難しくありません。 続きを読む

米糊(こめのり)とは?

米糊こめのりとは、米から作った捺染なっせん、または仕上げ用の糊で、使用する米の種類には粳米うるちまい糯米もちごめがあります。

粳米うるちまいを使ったうるちのりは、残った米飯を煮て作った糊液で、浴衣の仕上げに用いると生地が硬く、ハリのある風合いになります。

また、粳米うるちまい長時間水にさらして一部を分解させ、潰して煮あげたものを姫糊ひめのりといい、型紙を使用する捺染なっせんや織物の仕上げに用いられます。

糯米もちごめは粉末にして水とこねて蒸すか、煮るかして糊にします。

米ぬかや食塩を加えて筒描きや型紙の捺染用の糊としたり、友禅板の敷糊しきのりにも用いられます。

防染糊として使用し、捺染して乾燥すれば、引き染め程度の湿潤や摩擦に耐えます。

水中に30分ほどつけておけば、簡単に糊は洗い流すことができます。

デザインにおけるアイリス(Iris)

アイリス(Iris)の花は、その色から、希望や光、無垢むくの愛などのイメージを持つ花として愛されています。

ギリシャ神話には、「虹の女神」といわれるアイリス(Iris)が登場し、彼女は、天界と地界とを結ぶ美しい虹色の橋をかけ、地上に不穏な動きがある時は、天から地へ、地から天への連絡役を引き受けたといいます。

アイリスの花は、「虹の女神」の色彩を写しとった花として、ヨーロッパの人々に愛されてきたのです。 続きを読む

群青とウルトラマリンブルー。青い鉱物から生まれる美しい顔料について

空の青、海の青。

私たちの身の回りは青色で溢れていますが、もし自然の世界から青色を取り出そうとすると、実際に手にできる青が非常に少ないことに気がつきます。

そのため、古くから人々は青色を絵具として手にするために、お金と時間と手間をかけてきたのです。

青色の顔料として、古くから非常に有名なのが、東西問わず世界中で使われていた群青ぐんじょうと西洋で大切にされてきたウルトラマリンブルーの二種類です。
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クロム媒染とは?

天然染料および媒染ばいせん染料で染色する際に、媒染剤としてクロム塩を使用できます。

鉄や銅で媒染するより色が美しく、アルミニウムやすずを使用するより濃い色が染められるため、クロム媒染は多く使用されてきました。

木綿には塩基性クロムミョウバン、絹には塩基性塩化クロムや塩基性クロムミョウバン、羊毛(ウール)には、重クロム酸カリやギ酸などが使用されます。

クロム染料

クロム染料という言葉がありますが、クロム染料は酸性媒染染料の別称です。

酸性染料の性質を持ち、クロム塩で媒染したのち、クロム染料で染色するか、染色後にクロム塩で処理すると、レーキを形成し堅牢けんろうな染色が得られます。

染色・草木染めにおける黄染(きぞめ)

黄色は、赤と青とともに三原色の一つです。

古代中国においては、一年を四季に分けて、春(青)、夏(朱)、秋(白)、冬(玄)としていましたが、時間が経つにつれ、五行説ごぎょうせつにしたがって黄色を中央に入れることになります。

つまり、夏を二つに分けて一年を五季として、春は青、夏の前半は朱、夏の後半は黄、秋は白、冬は黒(玄)の五つの色によって表すことにしたというわけです。

日本も初めは五行説ごぎょうせつの考えを取り入れましたが、奈良時代ごろには、黄色は無位無冠むいむかん(特別な地位がないこと)で一般民衆の服の色でもありました。

きんのことを黄金というのは、その色が黄であるということからきています。 続きを読む

リップル加工(ripple finish)とは?シルケット加工とマーセリゼーション(mercerization)について

綿繊維は、苛性かせいソーダで処理すると収縮しゅうしゅく(縮む)する性質があります。

そこまで厚みのない平織りの綿織物に、強アルカリの苛性かせいソーダ(水酸化ナトリウム溶液)を含んだのりをプリントしたり、先に樹脂等で防染しておいてから苛性かせいソーダに浸けるかすると、苛性かせいソーダがついた部分が収縮して、その他の部分も自然な縮み方をします。 続きを読む

糊置きに使用する型ベラの種類

型紙を使用した捺染なっせんのりを置くために使用するヘラ(型ベラ)には、いくつか種類があります。

ヘラの種類としては駒ベラと出刃ベラ(横べら)、竹ベラやゴムベラなどあります。

駒ベラは、桜やひのきの板で作られ、横長の四角形で主に関西方面で一般的に型置きに使用されてきました。

出刃ベラ(横べら)は、ひのきで作られ、出刃でば包丁の形をしており、関東で主に使われてきました。

ゴムベラはひのきの板に厚さ3ミリ程度の合成ゴムをつけたもので、紗張しゃばり型の場合に主に使用されていました。