投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

ファッション・服飾における黄金比、黄金分割。洋服が綺麗にみえるバランスを論理的に理解する

ファッションにおいて、外見が綺麗に見せることができるバランスがあります。

黄金比おうごんひという言葉を聞いたことがある方もいると思いますが、黄金比おうごんひを用いて長さを分けることで、見栄えの良いバランスがとれるのです。

黄金比おうごんひを用いて長さを分けるので、黄金分割おうごんぶんかつ(GoldenMean)または黄金比分割おうごんぶんかつといいます。

一般的には、7:3に分けられたものが美しく見えるといわれます。

確かに7:3は黄金比に近い値ですが、より正確に「黄金比」に近いものは、5:8に分割された程度になります。 続きを読む

繊維が軽くて強く、伸び縮みするのはなぜか?繊維が加工しやすい理由について

普段私たちが着ている服を考えてみればよく分かることですが、私たちの身近にある繊維は、伸びたり縮んだりします。

これは、一般的に繊維を構成する高分子こうぶんし(ポリマー)の動きによるものです。天然の高分子こうぶんしは、構造が複雑で、合成された高分子は簡単な構造で組み立てられています。

合成方法によって、繊維の性質がさまざま変わってきます。

無機繊維と金属繊維以外の化学繊維も、「高分子こうぶんし」と呼ばれる細長い形をした分子でできているのです。

伸びたり縮んだりと、高分子こうぶんし(ポリマー)でできている繊維の代表的な性質について挙げてみます。 続きを読む

染色・草木染めにおける櫟(クヌギ)。薬用効果や橡色(つるばみいろ)の歴史について

クヌギ(学名Quercus acutissima CARRUTH. )は、ブナ科の落葉広葉樹です。

属名のQuercusは、ケルト語のguer(良質の)とcuez(材木)に由来するもので、acutissimaの種名は、「最も鋭い」という意味で、葉っぱの鋸葉のこぎりばの様を表しています。

成長すると樹高は15〜20メートルほどになり、日本では本州の岩手、秋田県以南、本州、四国、九州の各地に広く分布しています。

Quercus acutissima BW-5424050

クヌギ,Franklin Bonner, USFS (ret.), Bugwood.org, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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型絵染(かたえぞめ)とは?型絵染の特徴と技法について

型絵染かたえぞめは、絵画かいがのような表現を重視した型染めのジャンルの一つともいえます。

型絵染かたえぞめという名前は、人間国宝で著名な染色工芸家であった芹沢銈介せりざわけいすけ(1895年〜1984年)が名付けました。

芹沢銈介,Keisuke Serizawa photographed by Shigeru Tamura

芹沢銈介,Shigeru Tamura, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

彼の作品には、初期の頃から型絵染かたえぞめがみられます。 続きを読む

勝色と言われるような色目の布尾州紺木綿『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

青縞(あおじま)と呼ばれる藍染された布。埼玉における藍の栽培と藍染について

青縞あおじまと呼ばれる藍染された布は、埼玉県の北東部に位置する加須かぞ市や羽生はにゅう市を中心に盛んに織られていた生地です。

青縞あおじまと呼ばれる理由としては、綿糸めんしを藍染し、染め上がった糸を織ると、染めムラが独特の縞模様に見えることからその名前があります。

青縞あおじまは、仕事着である野良着のらぎ股引ももひき脚絆きゃはん足袋たびなどに使用され、江戸時代は主に農家の副業として青縞あおじまが生産されていました。

尾州紺木綿『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

尾州紺木綿『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

天明てんめい年間(1781年〜1789年)に北埼玉郡騎西町きさいまち付近(現在の加須かぞ市)で農家の副業として織られたことから、この土地の名前に由来し私市縞きさいじまと呼ばれたようです。

明治以降は織物をつくる事業家(機業家きぎょうか)によって、生産、発展してきました。

元々は、天然藍のみが使用されていましたが、明治30年(1897年)頃からは、化学藍(インディゴピュア)が使用され始めました。
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染色における貝紫(かいむらさき)。貝紫の歴史と貝紫色を染める方法について

紫色は、その希少性から世界中のさまざまな場所で、高貴な色・尊い色に位置付けられていました。

地中海沿岸では貝紫かいむらさき(Royal purple)による紫の染色があり、その希少性から王侯貴族を象徴する色とされて、ギリシャやローマへと受け継がれました。

貝紫かいむらさきは、アクキガイ科に属した巻貝まきがいのパープルせんと呼ばれる分泌腺ぶんぴつせんからとれる染料で、西洋では珍重されていました。

貝紫,Purple Purpur (retouched)

貝紫,染めた生地と対応する貝,Exhibit of the Museum of Natural History in Vienna,Photograph: U.Name.MeDerivative work: TeKaBe, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link

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沖縄の絣織物の技法。琉球絣の歴史

沖縄における絣織物(琉球絣りゅうきゅうかすり)には、独特な幾何学文様きかがくもんようがあります。

線で構成したこれらの絣柄は、18世紀後半の御絵図帳みえずちょうで高度に完成したと考えられます。

御絵図帳みえずちょう」とは、琉球王国りゅうきゅうおうこくにおける首里王府しゅりおうふの絵師たちによってまとめられた絣の図案集です。

御絵図帳みえずちょう」とは、琉球絣りゅうきゅうかすりが貴重な貿易商品だった時代、王国に収める貢納布こうのうふを織らせるために模様や染色などを細かく指定したものです。 続きを読む