煤竹色(すすたけいろ)

染色・色合いにおける煤竹色(すすたけいろ)

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江戸時代の色名の中で、数多くの色名になっているのが「煤竹すすたけ(すすだけ)」です。

煤竹すすたけ(すすだけ)は、茅葺かやぶき屋根の屋組に使用した竹が、囲炉裏やかまどなどの煙で長い間かけてすすけて、赤味のある黒茶色に染まったものを言います。

その煤竹すすたけ(すすだけ)の色を「煤竹色すすたけいろ(すすだけいろ)」と呼び、衣類などに染められました。

色合いにおける煤竹色(すすたけいろ)

煤竹という色名は、室町時代には登場しています。

「煤竹」と名前がつく色名は、江戸時代の文献にも数多く登場します。

煤竹色、本煤竹、薄煤竹、中煤竹、茶煤竹、栗煤竹、丁子煤竹、錆煤竹、藤煤竹、樺煤竹、紅煤竹、奇羅煤竹、柳煤竹、鶯煤竹、鼠煤竹、金煤竹、玉子煤竹、銀煤竹、藍銀煤竹、湊煤竹、桜煤竹、ないき煤竹、とうきん煤竹、肥後煤竹、土器煤竹、朝鮮煤竹…など

江戸時代後期(1830年発刊)の風俗習慣や歌舞音曲などについて書かれた随筆である『嬉遊笑覧きゆうしょうらん』には、「宝暦5年の頃より、江戸町々男女煤竹の小袖はやる。羽織も帷子もひとへ物、何れもすゝ竹なり」というようにあり、1755年(宝暦5年)には煤竹色が江戸の町で流行していたことが記されています。

「煤竹」という名のつく色名が多いため、明確な識別というものはありませんが、煤竹色や本煤竹、茶煤竹、栗煤竹、丁子煤竹などは江戸時代の染色方法を踏まえるとほとんど同じような色合いと考えられ、媒染ばいせんに使用する鉄や石灰の濃淡によって多少色の差があるものをそれぞれ呼んだものと思われます。

「中煤竹」は少し色の薄い色で、さらに薄い色が薄煤竹です。

茶煤竹は鉄の使用を少なくして茶色味の強い色にし、栗煤竹は栗の樹皮、もしくは幹材や枝葉を用いて染め、丁子ちょうじを用いて染めたものが丁子煤竹です。

紅煤竹は、煤竹に染めた上に紅花べにばなで染め重ねたものと考えられますが、より手軽な蘇芳すおうで赤味をつけるように変わったとされます。

錆煤竹は蘇芳ではなく梅を用い、とうきん煤竹と肥後煤竹は、赤味のある煤竹色ですが、紅煤竹よりも黒味のある濃色と考えられます。

桜煤竹は、紅煤竹よりも薄色です。

藤色煤竹は、藤色味がかった黒茶色だと考えられます。

藤煤竹(ふじすすたけ)色

藤煤竹(ふじすすたけ)色

煤竹色(すすたけいろ)の染色方法

煤竹色の染色方法の一例としては、以下のような流れがあります。

大きな鍋で行えば、一度にとれる染液が多いので、効率的になります。

楊梅やまももの樹皮500gを6リットルの水に入れて熱し、沸騰してから20分間熱して煎汁せんじゅうをとり、4回ほど繰り返して染液とする

②染液を熱して80°Cになったら1kgの絹糸を浸し、10分間煮染したあと染液が冷えるまで置いておく

③木酢酸鉄15cc(糸量の1.5%)を15リットルのぬるま湯に入れて、染めた糸を30分ほど浸して媒染し、その後水洗いする

④染液を再び熱し、媒染した糸を浸して15分間煮染したあと、すぐに水洗いし、天日の元乾かす

⑤先に4回まで煎汁せんじゅうをとった樹皮を用いて、もう4回ほど追加で煮出して染液を作る

⑥とった染液に、先に染めて陽の元で乾かした糸を浸して15分ほど煮染し、その後染液が冷えたら水洗いして、天日の元乾かす

⑦梅の幹材250gを細かく刻み、4リットルの水に入れて熱し、沸騰してから20分ほど煎じて煎汁をとる。同じようにして6回まで煎汁をとって染液とする

⑧染液を熱して楊梅やまももで染めた糸を浸して、20分間煮染したあと、染液が冷えるまで置いておく

⑨石灰の上澄液を入れた水に染めた色を浸し、糸のかせを繰り返し(動かし)ながら5分間媒染し、水洗いして、天日の元乾かす

【参考文献】
『月刊染織α1988年12月号No.93』

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