錐彫りされた伊勢型紙を使用して染められた松葉文(まつばもん)

デザインにおける松・松文(まつもん)。松毬文、松皮菱文、松葉文、老松文、若松文について

中国では古くから松は風雪に耐え、極寒にも常緑を保つ節操高いものとされ、神仙思想しんせんしそう(不老不死の神仙となって神仙の住まう理想世界に住むことを希求する思想)と結合し、延年長寿の印とされてきました。

これが日本に導入され、松は儒教的な倫理と開運・延命長寿など吉祥きっしょうの象徴とされていました。 続きを読む

蓼藍(タデアイ)

蓼藍(タデアイ)の種類と色素含有量について

藍染に使用できる色素を持った植物は、世界中に100種類以上あるとされています。

藍の色素を持つ植物を科別にすると、マメ、アブラナ、キツネノマゴ、タデ、キョウトウチク、ガガイモ、マツムシソウ、モクセイ、クロウメモドキ、キク、ヒメハギ、ランなどが挙げられます。

日本においては、蓼藍たであいの葉が藍染の原料とされ、沖縄では琉球藍りゅうきゅうあいが使用されてきました。

平安時代中期に作られた辞書である『和名類聚抄わみょうるいじゅしょう』(931年〜938年)には、「多天阿井たであい」の日本語を当てて訓読みされています。

関連記事:藍染の原料となる植物の種類について
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立湧文(たてわくもん),伊勢型紙

デザインにおける立涌文(たてわくもん)・雲立湧(くもたてわく)

立涌文たてわくもんは、「たちわきもん」ともいわれ、日本でも古くから使用されている代表的な文様(模様)のひとつです。

相対する二本の線の中間がふくれ、両端がすぼまった形の線が並列した柄となっています。

立涌文たてわくもんは、基本的な形は単純ですが、広く応用されながら模様が表現されてきました。
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熨斗文(のしもん)

デザインにおける熨斗文(のしもん)

現代において、熨斗のしと聞くと、結婚式などの祝い事の際に贈る祝儀や贈答品の包装の上から右肩に添えてある飾りのことイメージするかと思います。

もともと熨斗のしという言葉は、不老長寿の象徴とされた貝の鮑(アワビ)の肉を薄く伸ばして干した加工品である「熨斗鮑のしあわび」に由来します。

熨斗鮑のしあわびを紙の間に挟み、贈答品に添えることで、相手の繁栄や延寿えんじゅ(長生き)の意味が込められました。

この熨斗鮑のしあわびを文様化(模様化)したものが、「熨斗文のしもん」です。 続きを読む

銀杏文(いちょうもん),伊勢型紙

デザインにおける銀杏文(いちょうもん)

銀杏(イチョウ)は、樹齢1,000年を超えるものもあり、延命長寿の象徴として知られます。

その他にも、葉が全て落ちても次の春には芽吹く生命力から繁栄や家の安泰を意味したり、耐火性があることから、「火伏せの木」として寺社で重宝されたため防火の象徴ともされていました。

そんな銀杏(イチョウ)の葉をモチーフに文様化(模様化)した銀杏文いちょうもんは、古くから染織のデザインに用いられてきました。 続きを読む

清水裂(きよみずぎれ)

名物裂(めいぶつぎれ)とは?名物裂の種類や特徴(金襴、緞子、間道、錦、繻珍、風通、金羅、金紗、印金、天鵞絨、モール、更紗)

特色ある染織品を、「名物裂めいぶつぎれ」と呼ぶことがあります。

名物裂めいぶつぎれと名付けられ、尊重されるようになる織物との関係が深いのが「茶の湯」です。 続きを読む

七宝文(しっぽうもん),伊勢型紙

デザインにおける七宝文(しっぽうもん)・七宝繋文(しっぽうつなぎもん)

七宝文しっぽうもんは、同じ半径の円を円周の4分の1ずつ重ねて表現していく連続模様です。

四方連続模様なので、「四方」から転じて、仏教の七宝しっぽう(金・銀・瑠璃るり玻璃はり硨磲しゃこ珊瑚さんご瑪瑙めのう」の名前がつきました。

七宝文しっぽうもんを上下左右に規則正しく、連続させたことを強調して「七宝繋文しっぽうつなぎもん」と呼んだりします。 続きを読む

三崩し,算崩し,模様(文様)

デザインにおける算崩し文(さんくずしもん)。「一崩し」「三崩し」「二崩し」「四崩し」

算崩さんくずしは、「算木さんぎ崩し」の意味で、「算木さんぎ」とは、中国数学や和算の計算道具として用いられた細長い木の棒です。

Sangi (算木): Japanese-style counting rods on a checkerboard.

算木(さんぎ),Jccsvq, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

算木さんぎはタテ、ヨコに置いて数を表現しますが、算木を崩したような様子が美しい柄にみえることから「算木崩さんぎくずし」、「算崩さんくずし(三崩し)」などと名付けられました。

網代あじろ(草や竹、木材などを材料に縦緯、あるいは斜めに交互に編んだもの)に似ているため、「網代組あじろぐみ」や「網代文様あじろもんよう」などともいわれます。 続きを読む

千鳥文(ちどりもん),よろけ縞と青海波文,伊勢型紙

デザインにおける千鳥(ちどり)・千鳥文(ちどりもん)

河海のほどりに生息するチドリ(千鳥ちどり)は、海浜や川辺の風景の一部として古くから人々から親しまれてきました。

歌にも詠まれ、「春恋う鳥」、「友にはぐれた鳥」として心細い心境、あわれ深い境地などが表現されました。

千鳥を文様化(模様化)した千鳥文ちどりもんにも、このような詩情が関係しました。 続きを読む

紙布(しふ)

紙で織られた紙布(しふ)。紙布(しふ)の製造方法や種類について

紙布しふは、江戸時代頃から、全国の紙の産地で織られていたようで、特に有名だったのが宮城県の白石しろいし市です。

白石しろいしは、仙台の仙台藩せんだいはん伊達藩だてはん)の統治下にあった城下町です。

この地方では、東北という寒い地域でもあったため木綿の栽培に適さず、藩の財政上の理由から綿の買い入れも禁止されていました。
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