染色におけるろうけつ染め(臈纈染め)

ろうけつ染(臈纈染め)は、ロウを表面に置くことで、染料液を浸透させないようにする防染技法です。

日本で古くから行われてきた三種類の染色技法を「三纈さんけち」といい、絞り染めの「纐纈こうけち」、板締めの「夾纈きょうけち」、そしてろうけつ染めの「臈纈ろうけち」のことを意味します。 続きを読む

露草(つゆくさ),蛍草(ほたるぐさ),Dayflower

染色・草木染めにおける摺り染め(摺染)。摺り染めと花摺り(はなすり)の染色方法について

日本の古代の人々は、草木が成長し花が咲き、果実が実るのは、草木に宿る精霊せいれい木霊こだま)の力であると信じ、草木からとれる自然の色で、衣服を染めつけていました。

強い精霊の宿るとされる草木は、薬用として使用され、薬草に宿る霊能が、病気という悪霊によって引きおこされた病状や苦痛を人体から取り除き、悪霊をしりぞける作用があるとされていたのです。

日本の染色技術が飛躍的に発展するのは、4世紀ごろに草花から染料を抽出し、これを染め液として、浸して染める「浸染しんせん」の技術が中国から伝わってきてからとされます。

もっとも原始的な染色方法に、植物を生地に直接こすりつけて色を染め付ける「摺り染めすりぞめ(摺染)」があります。

古墳時代から奈良時代まで男女ともに衣服の染色に、摺り染め(摺染)も用いられていたとされます。
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デザインにおける虎(トラ)・虎文様(とらもんよう)

とらは、ヘビ、サソリ、ムカデ、ヒキガエル、トカゲのいわゆる「五毒」を除き、邪気を追い払う力を持つとされてきました。

デザインにおける虎(トラ)・虎文様(とらもんよう)

虎は竹林に生息するとされていたことから、竹と虎の文様は勇敢さの特徴とされ、多くの美術工芸品のモチーフとして使用されてきました。

と虎の組み合わせは、日本には現実に存在しないモチーフですが、この文様が生まれた理由の一説には、文禄ぶんろく慶長けいちょうえき(1592年〜1598年)で朝鮮の竹林と虎を実際にみた武将たちの好みによるというものがあります。

近世の寺院城館の襖絵ふすまえや、染織品では絵絣えがすりや男物の襦袢じゅばん(着物の下に着る肌着)や羽裏はうら(羽織の裏地に使う生地)などに多く用いられました。

錐彫りで松葉文が彫られた伊勢型紙

小紋染の染色技法の一つである高砂染(たかさごぞめ)

小紋(こもん)は、型染めの技法を用い、小形の紋様の集合を一定の間隔で繰り返して表現された染め物を表します。

模様(文様)の大きな大紋(だいもん)や中形(ちゅうがた)に対して、小さい模様という意味で「小紋(こもん)」と名付けられました。

小紋が武家以外の人々に着用され始めたのは、江戸時代に新興商人が経済力を持つようになってからで、これまでに見られないような新しい柄が生まれ、羽織や着物に染め出されました。

小紋染の染色技法の中で特徴的なものの一つに、「高砂染たかさごぞめ」があります。
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染色・草木染めにおける櫟(クヌギ)。薬用効果や橡色(つるばみいろ)の歴史について

クヌギ(学名Quercus acutissima CARRUTH. )は、ブナ科の落葉広葉樹です。

属名のQuercusは、ケルト語のguer(良質の)とcuez(材木)に由来するもので、acutissimaの種名は、「最も鋭い」という意味で、葉っぱの鋸葉のこぎりばの様を表しています。

成長すると樹高は15〜20メートルほどになり、日本では本州の岩手、秋田県以南、本州、四国、九州の各地に広く分布しています。

Quercus acutissima BW-5424050

クヌギ,Franklin Bonner, USFS (ret.), Bugwood.org, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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嵐絞り,有松絞り,絞り染め

日本における絞り染めの歴史。絞り染めの染色技法や種類について

絞り染めとは、部分的に布に染まらない部分を作る防染の技術です。

布の一部を糸で強く巻き締める「巻き締め」や、針と糸で布を縫い、その糸を引き締めることによって防染する「縫締め」と呼ばれるものが基本的な技法です。

竹皮やビニールなどの防水性のあるものを使用して括ったり、棒などに布を巻きつけて防染する方法などもあります。

絞り染めは日本のみならず、インドや中国の国々をはじめ、中南米、東南アジア、アフリカなど世界中で行われ、さまざま柄が染められていました。 続きを読む