織り」カテゴリーアーカイブ

越後上布(えちごじょうふ)

上布(じょうふ)とは?上布の産地や特徴について

上布じょうふとは、苧麻ちょま(からむし)の糸を用いて平織りにした上質な麻布のこといい、もともとは中布、下布に対して上質な苧麻布を表す言葉として使用されていました。

糸が細く、織りあがった布が薄手であればあるほど上質なものとされ、越後上布(えちごじょうふ)や奈良晒(ならざらし)、近江上布(おうみじょうふ)や能登上布(のとじょうふ)、宮古上布(みやこじょうふ)や八重山上布(やえやまじょうふ)などが良く知られています。

上布じょうふは、主に夏物の着尺地きじゃくじ(大人用の着物1枚を作るのに要する布地)として最高級のものとされ、白生地、紺無地、縞物しまものかすりなどがあります。 続きを読む

正倉院裂(しょうそういんぎれ)とは?正倉院宝物として保存されている裂(布きれ)について

正倉院裂しょうそういんぎれとは、正倉院宝物しょうそういんほうもつとして保存されているきれ(布きれ)のことです。

正倉院裂しょうそういんぎれには、奈良時代の天平勝宝てんぴょうしょうほう年間(749年〜757年)に行われた東大寺大仏開眼供養だいぶつかいげんくように用いられた裂や聖武天皇(701年〜756年)にゆかりのあった裂などがあります。

その大部分は絹と麻でできた織物で、他には羊毛(ウール)を熱や圧力をかけて縮めた毛氈もうせんがあります。 続きを読む

絣(かすり)模様の種類

江戸時代後期から明治、大正、昭和の時代にかけて、庶民の間でとりわけ親しまれた織物にかすりがあります。

かすりとは、経糸か緯糸のどちらか、あるいは経糸と緯糸の一定部分を、糸や布などで括ったり木の板で挟むことによって防染して染めた糸を使用し、織り文様を表現したものです。

織物の組織としては、絣は平織りと繻子織りしゅすおりにみられます。 続きを読む

シャム更紗とは?暹羅(タイ)から輸入された更紗について

タイの現在の正式国名は、タイ王国(ラーチャ・アナチャク・タイ The Kingdom of Thailand)ですが、20世紀初頭までの国名は「シャム」でした。

「シャム」(syama)は、サンスクリット語由来とされますが、他国からのいわば他称に基づくものであったため、1938年に近代国家へと進んでいくなかでタイ族の国民国家として「タイ」に改称されたのです。

日本では「暹羅」と書かれシャムと呼び、14世紀頃から600年~700年ほど続いた国の呼び名でした。 続きを読む

紙で織られた紙布(しふ)。紙布(しふ)の製造方法や種類について

紙布しふは、江戸時代頃から、全国の紙の産地で織られていたようで、特に有名だったのが宮城県の白石しろいし市です。

白石しろいしは、仙台の仙台藩せんだいはん伊達藩だてはん)の統治下にあった城下町です。

この地方では、東北という寒い地域でもあったため木綿の栽培に適さず、藩の財政上の理由から綿の買い入れも禁止されていました。
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絵絣(えがすり)とは?絵絣の特徴や起源について

絵絣えがすりとは、緯糸によって絵模様を織り出した絣織の一種です。

出雲広瀬、弓ヶ浜、倉吉、久留米などが、絵絣えがすりの産地として知られていました。

絵絣えがすりの絵柄は、松竹梅や鶴亀などの瑞祥ずいしょう模様や、こい蔬菜そさい、器物、文字など生活に即したものが多く、その表現方法も具体的表現と、幾何学模様の組み合わせが多く用いられていました。

例えば、鶴と十文模様を組み合わせたものなどです。

絵絣えがすり」という名前自体は、昭和7年(1932年)〜昭和10年(1935年)ごろに、柳宗悦やなぎむねよしを中心に集まった初期民芸運動の人々の間で生まれ、定着していったと考えられます。 続きを読む

村山大島紬(むらやまおおしまつむぎ)とは?村山大島紬の技法について

東京都の村山地方(東村山あたり)で盛んに織られていたつむぎの織物で、本場の大島紬おおしまつむぎに対してこの名前が付けられました。

関東平野の狭山丘陵地帯は、古代から大陸の半島から帰化した人々によって、養蚕ようさんや染織が行われていたと伝えられています。 続きを読む