アイヌの伝統織物に、厚司(厚子)があります。
厚司(厚子)は、古くからアイヌの人々のあいだに伝わってきた織物で、ニレ科の植物であるオヒョウ(オヒョウダモ)の樹皮を繊維にして織られています。 続きを読む
アイヌの伝統織物に、厚司(厚子)があります。
厚司(厚子)は、古くからアイヌの人々のあいだに伝わってきた織物で、ニレ科の植物であるオヒョウ(オヒョウダモ)の樹皮を繊維にして織られています。 続きを読む
今では伝説として語り継がれていますが、現在のバングラデシュの首都ダッカでは、高度な技術によってつくられたダッカ・モスリンという伝説の綿織物がありました。
現存するものは、ロンドンのヴィクトリア・アルバート博物館で保存されているようです。
バングラディッシュは、インドから独立した国なので、イギリスが植民地統治をしている以前は、インドの綿業の中心地であり、その生産量や染色技術においてももっとも世界で進んでいたと言われます。
当時はもちろん機械がなく手工業だったので、糸は手紡ぎされていましたが、その糸が非常に細く、それを使用して非常に薄い綿織物を織っていました。
インドで手紡ぎをイメージすると、ガンジーが糸車を回している有名な写真を思い起こしますが、当時細い糸を紡ぐときも、早朝に霧の立ち込める川のほとりで糸車を回し、指先に油をつけながら紡いだといわれています。
早朝の霧、そして川の近くで湿気の多い場所が、糸を紡ぐのに適していたのです。 続きを読む
普段私たちが着ている服を考えてみればよく分かることですが、私たちの身近にある繊維は、伸びたり縮んだりします。
これは、一般的に繊維を構成する高分子(ポリマー)の動きによるものです。天然の高分子は、構造が複雑で、合成された高分子は簡単な構造で組み立てられています。
合成方法によって、繊維の性質がさまざま変わってきます。
無機繊維と金属繊維以外の化学繊維も、「高分子」と呼ばれる細長い形をした分子でできているのです。
伸びたり縮んだりと、高分子(ポリマー)でできている繊維の代表的な性質について挙げてみます。 続きを読む
綿花は、種類によって採れる繊維の長さが違います。
大きくわけると、エジプト綿やスーダン綿の系統は超長繊維綿で、アメリカ綿に代表されるアンプラント綿は中長繊維綿、アジア在来種のデシ綿は短繊維綿に分類できます。
綿の繊維の長さは、糸にするときにその糸の細さに大きく関係してきます。 続きを読む
ハリスツイード(HarrisTweed)とは、スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島で作られている伝統的な毛織物を意味します。
スコットランドの西側に浮かぶアウター・ヘブリディーズ諸島は、古くはロングアイランドと呼ばれ、非常に長い距離に渡って島々が点在しており、その中のルイス島(Lewis)とハリス島( Harris)がハリスツイードの故郷といえます。
北に位置する大きい島がルイス島で、南に位置する小さい島がハリス島であり、地理上では陸続きでつながっている一つの島ですが、通常二つの島と考えられています。
あえて人々が別名で呼んでいたのは、ハリス島は岩山が連なり木々が少ないなど、二つの島の環境が非常に異なっていたためです。
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新型コロナウィルスの世界的大流行によって、一時は万人にとってマスクが日常生活に欠かせないものになりました。
2020年1月、日本においても感染が出始めた頃、瞬く間にマスクが品切れで購入できない事態となったことは記憶にあたらしいです。
そんななか、販売されているマスクのほとんどが不織布(non‐woven fabric)という素材でできていることを知ったという人も、多くいたのではないでしょうか。
不織布とはどのような特徴があり、どのような用途で活用されているのでしょうか。 続きを読む
撥水加工は、繊維に水をはじく性質を与える加工のことです。
科学的処理加工によって、撥水剤を結合し付着することで、繊維の性能を変えています。
ジルコニウムやチタン化合物とパラフィンエマルジョンの系統は、ジルコニウムやチタンが繊維とのなじみを良くし、アルミニウム系よりも耐久性のある撥水性が得られます。
綿やレーヨンの水酸基と化学結合して、耐久性のある撥水剤として、ICIのVelan PFやDu pont(デュポン社)のZalan APは、脂肪酸アミドのピリジニウム塩であり、しみ込ませてから乾燥させ、熱処理を150℃〜180℃で3分〜5分行います。その後、ソーピングが必要です。 続きを読む
綿花はアオイ科のワタ属に属し、品種は20種類ほどが野生種として残っています。
繊維をつくらない種類もありますが、繊維をつくるワタ属は、大きく以下の4つに分類することができます。
①arboreum(アルボレウム)と②herbaceum(ヘルバケウム)は、インド、パキスタンのあたりや中東方面が原産地とみられています。
①arboreum(アルボレウム)は、インドから世界中に世界中に広がり、古く日本で栽培されていた綿花はアルボレウムであったと推定されます。
③barbadense(バルバデンセ)と④hirsutum(ヒルスツム)は、中米や南米北部などのアメリカ大陸が発祥と言われます。
①arboreum(アルボレウム)②herbaceum(ヘルバケウム)の染色体が13個、③barbadense(バルバデンセ)④hirsutum(ヒルスツム)は26個であるため、染色体の数が違う品種同士の交配はできません。 続きを読む
化学繊維を製造するためには、まず最初に原料から鎖状の高分子を溶剤に溶解するか、加熱して水あめのようなドロドロの状態にします。
鎖状の高分子は、原料のセルロースを反応させ改質したり、石油や天然ガスなどの繊維と無縁の原料から合成したりして作ります。
そしてドロドロの高分子を、ノズルといわれる口金(くちがね)の穴から押し出して固めて繊維にする「紡糸」の工程が必要になります。
化学繊維の糸をつくるための紡糸方法は、大きく分けて①湿式紡糸、②乾式紡糸、③溶融紡糸の3種類あります。
他にも、液晶紡糸法、ゲル紡糸法、エマルジョン紡糸法などさまざまな化学繊維の紡糸方法がありますが、今回は上記の基本的な3種類について紹介します。 続きを読む