型絵染は、絵画のような表現を重視した型染めのジャンルの一つともいえます。
型絵染という名前は、人間国宝で著名な染色工芸家であった芹沢銈介(1895年〜1984年)が名付けました。
芹沢銈介,Shigeru Tamura, Public domain, via Wikimedia Commons,Link
彼の作品には、初期の頃から型絵染がみられます。 続きを読む
沖縄における絣織物(琉球絣)には、独特な幾何学文様があります。
線で構成したこれらの絣柄は、18世紀後半の御絵図帳で高度に完成したと考えられます。
「御絵図帳」とは、琉球王国における首里王府の絵師たちによってまとめられた絣の図案集です。
「御絵図帳」とは、琉球絣が貴重な貿易商品だった時代、王国に収める貢納布を織らせるために模様や染色などを細かく指定したものです。 続きを読む
本を開いたとき外側にくる部分のことを小口と言いますが、小口の部分に絵を描くことを、フォアエッジペインティング(Fore-edge painting)と言います。
フォアエッジペインティング(Fore-edge painting)は、日本においては小口絵と呼ばれているものです。
フォアエッジペインティング,Fore-edge painting,Special Collections Department, Public domain, via Wikimedia Commons,Link
ウィキペディアのフォアエッジペインティング(Fore-edge painting)に関する記述によると、最も初期の小口絵の登場は、10世紀頃までさかのぼるそうです。
参照:Fore-edge painting From Wikipedia
イギリスでは、14世紀には金色や他の色彩の紋章のデザインがあったり、本が閉じられたときに絵が見えないような描かれ方がされた最初の例が、1649年のものであるとされています。
現在では、フォアエッジペインティング(Fore-edge painting)を専門とするアーティストもいるようです。
いくつもの島々からなるインドネシア。
古くから織物が盛んなこの国では、平織りが最も一般的で、無地、縞、絣なども織られてきました。
現在観光地として世界中から旅行客が集まるバリ島でも、その独自の文化の一役を担うものとして染織が行われてきました。
バリヒンドゥーと呼ばれる独自に発達した宗教生活上では、染織品は舞踊や祭儀の衣装、魔除けの布として非常に重宝されてきました。
木綿、絹、金銀糸を使って無地、縞、紋織、綴織が織られ、華やかな染織文化が発達した歴史があります。
バリヒンドゥーの象徴といえるのが、白と黒の格子布であり、軽やかに透けたその布はバリ人だけが織っていたそうです。
経糸を空羽を使って筬に通し、緯糸も部分的に空けて織ってあり、縫い取りで模様を入れた布もあります。
また、藍や赤を基調にした格子布も織られています。
色には重要な意味があり、白色は、シヴァ、黒はフィスマ、黄色はマハデワ、赤はプラフマといったように、それぞれの神々を象徴するものとされています。
織物文化は、それぞれの国々の文化とともに発達した歴史があり、事例を調べてみると、非常に興味深いことがわかってきます。
「カード織り」は、「考古学的織物」とも呼ばれるそうです。
その理由は、20世紀前半のヨーロッパにおいて、古代のカード織りの存在が相次ぐ遺跡の発掘によって明らかになったためです。
カードを使った織物の歴史は古く、紀元前に始まり、ヨーロッパから北アフリカ、中近東、ロシア、中国、東南アジアに至るユーラシア大陸全体に分布しましたが、20世紀に入り、ほとんどの国で姿を消し、忘れたら織物となりました。
19世紀末、ドイツのマーガレット・レーマンは、この古い織物に対して始めて組織的な研究をし、カード織りはテキスタイルにおける不可欠な一分野として認識されるようになりました。
カード織りは、ヨーロッパ諸国では、「タブレット・ウィービング」(tabletは、木片という意味)と呼ばれ、アメリカでは「カード・ウィービング」と呼ばれています。
カードは様々な材質のものがあり、アイスランドでは木片を使いっていたようです。
カード織りは、穴を空けた四角いカードに糸を通して、それをくるくるとまわすことで織っていきます。
発酵とは何か?
一般的には微生物の持っている機能を広く物質生産に応用して、人間の有益なものに利用することを発酵と呼んでいます。
英語で発酵は「fermentation」ですが、ラテン語の「湧く」という意味の「fervere」から生まれた言葉です。 続きを読む
岡倉天心(1863年〜1913年)が、日本や東洋の文化を欧米人に伝えるために英語で書いた本が1906年に出版された『The Book of tea(茶の本)』です。
日本人の美意識について書かれた本書の導入部分は、日本や東洋の文化に対する欧米人の認識が間違っていたと岡倉氏は指摘しています。
タイトルは『茶の本』ですが、単に茶に関することだけではなく、茶道、禅、道教などの思想を通して、芸術について論じられています。 続きを読む
デザインとは、何か?
ウィキペディア(Wikipedia)には、デザインとは「審美性を根源にもつ計画的行為の全般を指すものである。」とありますが、上記の質問に対する答えは、100人に聞けば100通りの答えが返ってくると思います。
世界的なベストセラーになった『エクセレント・カンパニー 』や数々の書籍を書いてきた経営コンサルタントのトム・ピーターズが2005年に出版した『トム・ピーターズのマニフェスト(1) デザイン魂。』には、彼が出会ってきた著名な人々の考える「デザインとは」についての記述があります。
デザインを考える上では、先人たちの言葉は非常に参考になり、イメージをふくらませる手助けとなります。 続きを読む