色合い」カテゴリーアーカイブ

染色・草木染めにおける福木(フクギ)。福木(フクギ)の染色方法や薬用効果について

福木フクギ(Garcinia subelliptica)は、琉球紅型(びんがた)に使用される沖縄で有名な染料植物の一つです。

フクギの属名(Garcinia)は、フランスの植物学者ガルサン(Laurence Garcin)の名前に由来しています。

日本においては、奄美大島や沖縄、八重山諸島などに分布し、同属の植物も世界中の熱帯や亜熱帯地方に分布しています。

Garcinia subelliptica (200703)

福木,Garcinia subelliptica,E-190, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons,Link

福木の木は硬く、虫害の影響を受けにくいため、建築材に使用されてきました。

また、台風や潮風、火災、干ばつなどの厳しい環境に耐えうる強さを持っているので、沖縄では古くから防風・火が燃え移らないようにする防火を兼ねた生垣や、防潮林などとして道路や沿岸に植えられてきました。

5月〜6月ごろ黄色の花を小さく咲かせ、果実は食用にはなりませんが、球体で直径3センチくらいの大きさで、熟すと黄褐色になり、中に3、4個の種子ができます。

Fukugi Tree (Garcinia subelliptica) 1

Fukugi Tree,Mokkie, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons,Link

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染色・草木染めにおける樒(しきみ)

しきみ(学名:Illicium anisatum)は、マツブサ科シキミ属に分類される常緑の小高木で、高さは一般的に2m〜5mほどに成長しますが、大きいもので10m程度にもなります。

葉は厚く、ツヤがあり、春になると(3月~5月頃)淡黄白色の花を咲かせます。

しきみの葉は日持ちし、長い間、枯れずに力強く生きる姿をみせてくれます。

樒(しきみ),Japanese star anise (Illicium anisatum)

樒(しきみ),Illicium anisatum,harum.koh, CC BY-SA 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0>, via Wikimedia Commons,Link

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紫根を使って灰汁媒染で染めた紫衣(しい)

紫根を使って灰汁媒染あくばいせんで染めた紫色の衣類が、紫衣しいと呼ばれていました。

中国では、古くから紫色は、間色かんじきとして遠ざけられていましたが、やがてその色の美しさから尊ばれるようになり、この考えが日本にも伝えられます。

日本では、飛鳥時代(592年〜710年)から奈良時代(710年〜794年)にかけて、個人の地位や身分、序列などを表す位階を、冠や衣服の色によって差異を付ける制度である『衣服令えぶくりょう』が存在していました。

この制度は、中国の唐代の服飾に影響されて制定されたもので、603年の冠位十二階、647年の七色十三階制、701年の大宝律令などいくつかの服色制を経てきました。

衣服令えぶくりょう』などからわかるように、紫色は、飛鳥あすか天平てんぴょう時代以後においては、天子・皇太子を除いて、臣下としては最高の位の人の衣服の色となっています。

なお、茜染あかねぞめ朱衣しゅいも、極めて濃い色は、多少の鉄分などの影響でやや紫味をもつことがあるため、時として紫衣しいと書かれることがあったようです。

色の衣類が朱衣しゅいと呼ばれ、本来は茜染された着物のことです。

灰汁媒染で染めた色が、あたかも朱のような黄赤きあか色であったので、これを朱衣しゅいといったのです。

染色・草木染めにおける椎(しい)

しいは、ブナ科クリ亜科シイ属の樹木の総称で、シイ属は主にアジアに約100種類が分布しており、日本にはこの属が分布している北限となり2種が自生しています。

大きいものは25mにも達する大木となり、5月〜6月ごろに花が咲きます。

果実は完全に殻斗かくと(どんぐりを包み、保護するもの)につつまれており2年目に熟します。

果実はいわゆる「どんぐり」であり、からを割ると中の種子は白く、生で食べるとやや甘みがあります。

しいの実は、縄文時代にはクリに次いで重要な食料であったといわれているようです。 続きを読む

染色・草木染めにおける皂莢(さいかち)

皂莢さいかち(学名:Gleditsia japonica)は、マメ科ジャケツイバラ亜科サイカチ属の落葉樹で、河原藤木カワラフジノキとも呼ばれていました。

5月〜6月頃の初夏に、枝先から黄緑色の花を大量に咲かせます。

Gleditsia japonica kz2

皂莢(さいかち)の花,Gleditsia japonica,Krzysztof Ziarnek, Kenraiz, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

幹に鋭いトゲがあることや、大型のマメができることで知られ、10月頃に成熟した豆果は長さ20cm~30cmほどにもなります。 続きを読む

藍の液に浮かぶ華

藍染された布や糸から、石灰と水飴を使って顔料化する「飴出し法」

江戸時代に描かれた浮世絵うきよえには、さまざまな色が使われていましたが、藍色もその中にありました。

青の色をつくるのに露草や藍が使われていましたが、植物由来の色であるために、日に焼けて変色しやすかったり等、版画はんが向きでなかったのは想像に難しくありません。 続きを読む

群青とウルトラマリンブルー。青い鉱物から生まれる美しい顔料について

空の青、海の青。

私たちの身の回りは青色で溢れていますが、もし自然の世界から青色を取り出そうとすると、実際に手にできる青が非常に少ないことに気がつきます。

そのため、古くから人々は青色を絵具として手にするために、お金と時間と手間をかけてきたのです。

青色の顔料として、古くから非常に有名なのが、東西問わず世界中で使われていた群青ぐんじょうと西洋で大切にされてきたウルトラマリンブルーの二種類です。
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クロム媒染とは?

天然染料および媒染ばいせん染料で染色する際に、媒染剤としてクロム塩を使用できます。

鉄や銅で媒染するより色が美しく、アルミニウムやすずを使用するより濃い色が染められるため、クロム媒染は多く使用されてきました。

木綿には塩基性クロムミョウバン、絹には塩基性塩化クロムや塩基性クロムミョウバン、羊毛(ウール)には、重クロム酸カリやギ酸などが使用されます。

クロム染料

クロム染料という言葉がありますが、クロム染料は酸性媒染染料の別称です。

酸性染料の性質を持ち、クロム塩で媒染したのち、クロム染料で染色するか、染色後にクロム塩で処理すると、レーキを形成し堅牢けんろうな染色が得られます。

染色・草木染めにおける黄染(きぞめ)

黄色は、赤と青とともに三原色の一つです。

古代中国においては、一年を四季に分けて、春(青)、夏(朱)、秋(白)、冬(玄)としていましたが、時間が経つにつれ、五行説ごぎょうせつにしたがって黄色を中央に入れることになります。

つまり、夏を二つに分けて一年を五季として、春は青、夏の前半は朱、夏の後半は黄、秋は白、冬は黒(玄)の五つの色によって表すことにしたというわけです。

日本も初めは五行説ごぎょうせつの考えを取り入れましたが、奈良時代ごろには、黄色は無位無冠むいむかん(特別な地位がないこと)で一般民衆の服の色でもありました。

きんのことを黄金というのは、その色が黄であるということからきています。 続きを読む