投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

縞織布『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

藍下(あいした)とは?藍と植物染料の重ね染めについて

藍下あいしたとは、藍で下染したぞめするという意味でこの名があります。

べに下染したぞめするのを、紅下べにしたというの同じです。

昔は、高級品で深みのある黒紋付の染色などに、檳榔子びんろうじが使用されていましたが、その場合、藍や紅などで下染めした上に、檳榔子染びんろうじぞめをすると、青味または赤味を含んだ黒を染めることができました。

藍で重ね染めをすると、堅牢度けんろうどの向上も期待することができます。
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ラック(紫鉱)、染め色

象徴人類学と色彩。ンデンブ人にとって赤色・白色・黒色が象徴的に意味すること

人類学における色彩の象徴性に関する研究は、1960年以降に、象徴人類学の盛り上がりにともなって世界各地の民族を対象に研究が行われるようになりました。

象徴人類学とは、人間はさまざまな現象を人為的に区別し、意味のあるカテゴリーに分けている(象徴づける)ことで世界を把握しているというように、現象を象徴によって読み解こうとする新しい方向性を人類学に示した学問です。

色彩の象徴性についての研究で有名なのが、ヴィクター・ターナーによるザンビア北西部州のンデンブ人の色彩象徴に関するものです。 続きを読む

江戸小紋

「だれが作ったか?」という物語の大切さ。ものづくりにおける「作家性(さっかせい)」について

2022年11月にOpenAIによって公開された人工知能チャットボットであるChatGPTは、世界中からの関心を集めました。

それからというものの画像生成AIや動画生成AI、音楽生成AIなど、さまざまな分野での人工知能の発達が目まぐるしく、日々進化しています。

良質なコンテンツが安価で、無限につくられてしまうAIが発達した社会においては、本体の内容(コンテンツ)に付随する付加情報がより大事になってくるとされています。 続きを読む

川越唐桟(かわごえとうざん)

なぜ、江戸時代に縞柄の着物を着用することが粋(いき)だったのか?

江戸時代後期に、町人の間で好まれた模様(文様)が縞です。

縞は英語で「stripe(ストライプ)」ですが、柄を表現するのには、シンプルであるがゆえに、色糸、柄の大小や間隔の組み合わせによって無限大の表現方法があると言えます。
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正倉院宝物(しょうそういんほうもつ)に使用された顔料と染料について

奈良・平安時代の中央・地方の官庁かんちょう大寺だいじには、穀物や財物などの重要物品を納める正倉しょうそうが設けられていました。

日本中、あちこちに置かれた正倉しょうそうは、今日に至るまでにさまざまな理由で亡んでしまい、現在残っているのが、東大寺正倉院内の正倉一棟だけです。これがすなわち、正倉院宝庫しょうそういんほうこです。

Shosin-shouso

東大寺正倉院/あずきごはん/CC BY-SA 4.0/via Wikimedia Commons,Link

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インド更紗

染色・草木染めにおける堅牢度(けんろうど)。色落ちしづらく染めて、染色堅牢度を高める方法について

染色において、化学的なものでも天然由来のものでも、必ず染まり上がった色は経年変化があります。

天然の原料を使用した草木染めは、その美しさは言わずもがなですが、欠点としては植物や染め方にもよりますが、基本的には堅牢度けんろうどがあまり良くない点があります。

堅牢度けんろうどとは、さまざまな条件下において色落ちするかしないかの度合いのことです。

草木染めは比較的早く色あせてしまうからこそ魅力があり、今この瞬間の色を楽しむことができるとも言えます。

Natural Dyeing in Tabriz 2019-07-21 05

Natural Dyeing,Fars Media Corporation, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons,Link

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インド更紗

ヨーロッパにおけるインド更紗の歴史

16世紀ごろから、ヨーロッパの東方進出によって、インドで生産される染織品の優秀さが知られるようになります。

木綿、羊毛、絹などの織物や更紗など、優れた染織品が世界中に伝わっていき、日本にその当時に輸入された綿織物の多くもインド産のものでした。

インド更紗は、17世紀にオランダやイギリス、フランスやポルトガルなどのヨーロッパの列強が東南アジア貿易の拠点として作り上げた「東インド会社」によって、大量にヨーロッパにもたらされました。

17世紀にヨーロッパ社会に登場したインド更紗は、18世紀〜19世紀にかけてヨーロッパの文化や経済を根底からくつがえす大きな力の一つとなったのです。 続きを読む

藍染された木綿糸(先染め)

綛糸(かせいと)・綛揚(かせあげ)・綛染(かせぞめ)について

綛糸かせいととは、紡いだ糸を巻き取る道具である桛枠かせわく(綛枠)に糸を一定の回転巻いて枠から外し、その糸を束ねたものを表します。

単に、「かせ」ともいい、この方法や一つに束ねる分量は、糸の種類によって異なります。 続きを読む