小鮒草は、イネ科の一年草で、日本各地の田んぼの畔や道ばた、原野に自生しています。

小鮒草(こぶなぐさ),Arthraxon hispidus,Evan M. Raskin, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons,Link
染料植物として有名な刈安と同じように黄色色素を持ち、アルミナ媒染で黄色に染まります。
藍染との重ね染めを併用することで、緑色も表現することができます。
黄八丈(きはちじょう)の黄色
小鮒草は、八丈島では「八丈刈安」などと呼ばれ、黄八丈を織る糸染めに多く使用されてきました。
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丹波布(たんばぬの)の黄色
現在の兵庫県氷上郡青垣町佐治地方を中心に、幕末から明治中頃にかけて盛んに織られた「丹波布(たんばふ)」と呼ばれる織物の糸の染色にも小鮒草が多く用いられてきました。
丹波布の基本的な特徴としては木綿糸を、藍染で青を染め、榛(榛の木)の皮や栗の皮、矢車などで茶色を染め、小鮒草で黄色を染め、その3色をベースにところどころ絹の紬糸(つまみ糸)が緯糸に交織されています。