インディゴ(indigo)は、インジゴとも書き、①植物の藍(indigo plant)②植物の藍から取った染料③藍色(indigo blue)などの意味があります。
インディゴ(indigo)の語源
インディゴ(indigo)の語源は、古代ペルシャ語の「Hindu=インド」です。
「Hindu」の原義(もともとの意味)は「川」という意味で、現在のインダス川(Indus)とその周辺を表しました。
そして、ギリシャ語の「indikos=インドの」から、ギリシャ語の「indikon=インドの染料」、ラテン語の「indicum」、ポルトガル語の「indigo」を経由して、1555年に「藍」の意味で「indigo」が文献に初出しています。
古くからインドでは藍(indigo plant)が栽培され、そこから作られた染料や絵の具、薬品などを中東やヨーロッパに輸出していました。
インドの代表的な染料が「藍」であったことが、語源をさかのぼることでよく理解できます。
天然のインディゴ(天然藍)
インディゴ(indigo)の色素を持つ植物は多種多様で、それぞれの地域にあった植物を使用し、古くからさまざまな方法で藍染が行われてきました。
古代エジプトではミイラを包む布が藍染されており、紀元前2000年前には藍が利用されていたとされています。
インディゴの染料が得られる藍の植物を大別すると、①マメ科(インド藍)②タデ科(日本やアジア)③アブラナ科(ヨーロッパ)④キツネノマゴ科(沖縄やメキシコなど)の種類があります。
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アメリカで開発された労働着としてのデニムは、もともとは天然の藍染で染められ、染料の匂いや成分が蛇や害虫を嫌うとされていました。
実際に、現地の労働者を悩ませたガラガラヘビが嫌うピレスロイドと呼ばれる成分が天然のインディゴには含まれていたために、防虫・ヘビ除け効果が期待されていたと言われています。
藍色に染めることで汚れが目立たないだけではなく、繊維自体の強さが補強される点も、藍が染料に選ばれた理由として挙げられます。
現在は、世の中に流通しているデニムのほとんどは、石油由来のインディゴ染料によって染められているので、基本的にピレストロイドは含まれていません。
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合成された化学的なインディゴ(インディゴピュア)
現在は、青色を染める染料のほとんどが合成されたインディゴ染料が使用されています。
天然の藍染めの主成分であるインディゴ(indigo)の構造が、ドイツの化学者であるアドルフ・フォン・バイヤー(Johann Friedrich Wilhelm Adolf von Baeyer,1835年〜1917年)によって1883年に研究の末、合成されました。
その後、インディゴ合成の工業化をめぐって、世界中でし烈な競争が繰り広げられるなか、 1897年に工業レベルでの製造に成功したのは、ドイツの染料メーカーであるBASF社でした。
BASF社はこれをきっかけとして発展していき、現在ではアメリカのデュポン社やドイツのヘキスト社とならんで、世界有数の総合化学メーカーになっています。
日本にも化学的なインディゴが、明治時代に輸入されてきます。
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天然の藍の植物から色素成分を採取すると、かなりの不純物が含有しており、インディゴの他にも赤色の色素であるインジルビンやインジゴブラウンと称する茶色の色素も少量含まれています。
一方、化学的に合成されたものは、ほとんど純粋なインディゴであるため、商品名としてインディゴピュア(ピュアインディゴ)という名称が付けられました。
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