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刺し子された藍染布 岡村吉右衛門『庶民の染織』

こぎん、こぎん刺しとは?麻布の仕事着である「こぎん」の特徴と東北地方の麻布文化について

こぎんとは、麻でできた単衣ひとえ(裏地がない着物)の仕事着を表します。

東北地方の中で、特に青森県や秋田の日本海側の地域で「こぎん」という呼称が使われていました。

江戸時代後期の明和めいわ安政あんせい年間の文献に、「小巾こぎん」の文字が見られています。

青森県の津軽地方では、藍染で濃紺に染められた麻布の長着ながぎ短着みじかぎのの背中と前身頃まえみごろに白い木綿糸で刺しつづる(刺子さしこ)、「こぎん刺し着物(津軽刺しこぎん)」があります。 続きを読む

イラクサ(蕁麻)で織られた麻織物

人類最古の繊維である麻(あさ)の歴史。麻の種類と繊維の性質、日本の麻栽培地と主要な麻織物産地について

人類にとって、繊維の中でも麻(あさ)との関わりが最も古くからあると言われます。

紀元前約1万年前の新石器時代の遺跡から、麻織物が出土しています。

また、紀元前の古代エジプトのミイラは、麻の布で包んでありました。

繊維用語としての麻は、亜麻あま大麻おおあさ(たいま)、ラミー(ramie)、ジュート(jute)、マニラ麻などの総称を表します。
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サイザル麻(sisal hemp)とは?サイザル麻の特徴と用途について

サイザル麻sisal hemp(学名:Agave sisalana)は、キジカクシ科リュウゼツラン属の植物、およびそれから採取した繊維を表します。

「サイザル麻」と名付けられているように「麻」の繊維の一つとされますが、いわゆるアサ科アサ属の「アサ」とは植物学的に別種です。 続きを読む

平織りされた麻織物であるキャンブリック・カンブリック(cambric)生地

キャンブリックcambric(カンブリック)と呼ばれる生地は、本来は細番手の亜麻あま(リネン)糸を用いた緻密な平織物で、ベルギーとの国境に近いフランスの「カンブレー(cambrai)」という町で作られたものを言いました。

カンブレー(cambrai)は、フランドル(英名:フランダース)地方の一部として11世紀ごろから麻織物や毛織物などの織物工業が盛んでした。

現在は、オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)に属するこの町は、「シャンブレー(chambray)」の発祥の町でもあります。

シャンブレーとは、経糸を色糸、緯糸には白系の糸(晒糸晒糸さらしいと)を使用する生地で、綿またはリネンの先染め織物です。

イギリスでは、カンブレーで生産された麻織物に似せて、綿織物の裏にだけのりを付け、つや出し機(カレンダー)で「艶出し加工(カレンダーフィニッシュ)」を施したものを大量生産したため、もっぱらそれをキャンブリック(カンブリック)と言いました。

のり付けと艶出し加工を合わせて、「キャンブリック仕上げ(キャンブリックフィニッシュ)」と言われました。

かつては主にワイシャツにキャンブリック(カンブリック)の生地が用いられていましたが、現在では雑多な用途に用いられています。

イラクサ(蕁麻)で織られた麻織物

イラクサ(蕁麻)の繊維から生まれる布。イラクサ(蕁麻)の採取・苧引き・糸積みについて

古くから、衣類の原料やあみなわなどを編む繊維などに使用されてきた植物にイラクサ(蕁麻いらくさ)があります。

イラクサ(蕁麻いらくさ)はイラクサ科の植物で、世界中で40属、50種以上を数えるといわれますが、繊維として利用されるものは主に、イラクサ属(ミヤマイラクサ、ムカゴイラクサ、エゾイラクサ)、カラムシ属(ナンバンカラムシ、カラムシ、コアカソ)などで、まれにミズ属のミズ類も用いられました。

カラムシ畑,福島県昭和村

カラムシ畑,福島県昭和村,Qwert1234, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

このうち、カラムシ属のナンバンカラムシ(学名:Boehmeria nivea var. nivea)は、いわゆる苧麻ちょまで、栽培される麻織物の主原料となっていました。 続きを読む