色合い」カテゴリーアーカイブ

染色・草木染めにおけるサフラン

サフラン(学名 Crocus sativus)は、アヤメ科クロッカス属の植物で、そのめしべを乾燥させた香辛料もサフランと言われます。

サフランはクロッカスの仲間で、球根で生長する植物です。

食用のものをサフラン、観賞用のものをクロッカス(ハナサフラン)と分けたり、秋に花を咲かせる種類をサフランと呼び、春に花を咲かせる種類をクロッカスと呼んで区別することがあります。

サフランは、その大きな花びらと、花の中心部に目立つ鮮やかな黄色のおしべと紅赤の柱頭ちゅうとうをつけるめしべが特徴的で、1つの花に3本しかないその紅赤の柱頭ちゅうとう(めしべ)を1つずつ手で摘み取って乾燥させるため手間がかかり、古くから非常に高価な香辛料として知られていました。

サフラン,Crocus sativus - Saffron crocus - Safran 02

サフラン,Zeynel Cebeci, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

3000年以上前から香辛料、着色料、香味料として、世界中で幅広く利用されてきました。

日本において、サフランは江戸時代に漢方薬として日本に伝わり、明治半ば過ぎには大分県竹田が名産地となりました。 続きを読む

芙蓉染(灰汁媒染)

染色・草木染めにおける芙蓉(ふよう)

芙蓉ふよう(学名Hibiscus mutabilis)は、アオイ科フヨウ属の落葉低木らくようていぼくです。

夏から秋(7月〜10月頃)にかけて、薄紅色や白色の鮮やかな花を咲かせるため、庭木、公園樹あるいは街路樹として植栽されます。

朝咲いたら、夕方にはしぼんでしまう一日花いちにちばなですが、長期間にわたって毎日次々と開花していきます。 続きを読む

芙蓉染(灰汁媒染)

染色・草木染めにおける刈安(かりやす)

刈安かりやす(学名Miscanthus tinctorius )は イネ科ススキ属の多年草で、古代から現在まで長い間、黄色を染める染料植物として使用されてきました。

花穂が出はじめたタイミングが、刈り取りに適した時期で、刈り取ったあとはしっかりと乾燥して保存しておきます。
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ラック(紫鉱)、染め色

染色・草木染めにおけるラック(紫鉱)。ラック(紫鉱)の染色方法について

正倉院薬物しょうそういんやくぶつに記された正倉院宝物しょうそういんほうもつの中には、ラック(紫鉱しこう)が残されており、染色に使用されていた可能性もあります。

ラック(紫鉱しこう)は、紫梗しこう紫鉚しきょうなどとも書き、江戸時代には花没薬はなもつやくとして薬用の他、染色にも利用されてきました。 続きを読む

染色・草木染めにおけるミロバラン。訶梨勒(かりろく)の染色方法について

インドにおいて、古くから僧衣そういを染めてきた染料がミロバランといわれています。

ミロバランは、訶梨勒かりろくの名で正倉院の薬物の中に現存しています。

ミロバランmyrobalan(学名Terminalia chebula)は、シクンシ科モモタマナ属で10m〜20m程の高さになる落葉樹で、その果実が「ミロバラン」という名前で草木染めの染料として売られています。

ミロバラン,訶梨勒(かりろく),Terminalia chebula

ミロバラン,訶梨勒(かりろく),Terminalia chebula,Sipuwildlife, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

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黄連(おうれん)

染色・草木染めにおける黄連(おうれん)。黄連(おうれん)の染色方法や薬用効果について

黄連おうれん(学名Coptis japonica Makino)は、キンポウゲ科オウレン属で常緑多年草の薬用植物です。

葉には光沢感があり、セリに似ており、早春に根茎こんけいから芽を出し、3〜4月ごろに根元から高さ10cmほどの花茎かけいを出し、数個の白い花を付けます。

地下茎ちかけいはやや太く、中は黄色で横にのび、たくさんの根を出します。

Coptis japonica var. anemonifolia 2

Coptis japonica,Qwert1234, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

9〜11月頃に、根茎こんけいを採取して細い根を除いて乾燥させたものが生薬の「黄連おうれん」です。 続きを読む

染色・草木染めにおける榛(はしばみ・はり)。万葉集における榛の染色方法について

はしばみ(はり)(学名Alnus japonica)は、和名で「ハンノキ」と言い、カバノキ科ハンノキ属です。

水気や湿気の多い場所に多く生育する落葉高木らくようこうぼくで、葉は,卵状の長楕円形で先がとんがりギザギザしています。

榛(はり),Alnus japonica Olsza japońska 2021-10-02 05

榛(はり),Agnieszka Kwiecień, Nova, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

幹は直立してのび、高さが10m以上にも生長し、 樹皮は紫褐色しかっしょくから暗灰褐色あんかいかっしょくで、縦に浅く裂けてはがれます。

榛,Alnus japonica 02

榛,Alnus japonica,Σ64, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

早春、葉よりも早く開花し、雌花めばなは楕円形で紅紫色で、実は青く熟します。 続きを読む

松煙墨(しょうえんずみ)と藍染めを併用した染色技法

松煙墨しょうえんずみ染めと、藍染を併用した染色は古くから日本各地の紺屋こうやで行われていました。

松煙墨しょうえんずみ染めのみで引き染めして、緑色がかった灰色である利休鼠りきゅうねずみ色に染め上げる小紋こもんが作られたりもしました。

出雲いずも地方の祝風呂敷を染める紺屋こうやでは、のり筒描つつがきした生地を藍染する前に、刷毛引はけびきする豆汁ごじる練墨こねずみ丹殻たんがら(ヒルギの樹皮からとる染料)を混ぜて先に染めたりしていました。 続きを読む

染色・草木染めにおける赤芽槲(久木)

赤芽槲アカメガシワ久木ひさぎ)は、トウダイグサ科のアカメガシワ属で、学名はMallotus japonicusです。

赤芽槲アカメガシワ久木ひさぎ)は、新芽が赤いことから名付けられたもので、樹皮じゅひ灰褐色はいかっしょくで若枝が赤褐色せっかっしょくをしています。

赤芽槲(久木),Mallotus japonicus

赤芽槲(久木),Mallotus japonicus,Kirisame, CC BY-SA 3.0<https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

日本においては、本州から沖縄まで生育し、台湾や中国の山野にも分布しており、成長すると10mを超える大木になます。

久木ひさぎや、ひさぎ比佐岐ひさぎとも書かれ、これらは赤芽槲アカメガシワの古名として知られています。

ホオノキカシワの葉っぱと同じように、大きな葉っぱに食物を盛る習慣があったと考えられています。

5月〜6月ごろに小さくて黄色い花が咲き、その後に実を付け、10月ごろに成熟し、種子は焦茶色こげちゃいろをしています。 続きを読む