辛夷(学名Magnolia kobus DC.)バラ科リンゴ属の落葉樹で、樹高は3~10m程度になります。
属名のMagnoliahahaはフランスの植物学者P.Magnolの名前からきており、種名のkobusは、和名のコブシに由来しています。
辛夷は、3月下旬から4月上旬にかけて、雑木に混じって枝一面に白い花を咲かせることから、春の訪れを告げる花として知られています。 続きを読む
辛夷(学名Magnolia kobus DC.)バラ科リンゴ属の落葉樹で、樹高は3~10m程度になります。
属名のMagnoliahahaはフランスの植物学者P.Magnolの名前からきており、種名のkobusは、和名のコブシに由来しています。
辛夷は、3月下旬から4月上旬にかけて、雑木に混じって枝一面に白い花を咲かせることから、春の訪れを告げる花として知られています。 続きを読む
臭木(Clerodendrum trichotomum)は、日本や中国、台湾に分布しているシソ科の落葉低木で、日当たりのよい場所で良く見られ、生長すると2m〜5mほどになります。
属名(学名の前半の部分)のClerodendrumは、ギリシャ語のKleros(運命)とdendron(木)の合字で「運命の木」という意味です。「運命の木」となったのは、ある種類が呪術に用いられたり、医薬として効果があることに由来するという説があります。
クサギ属(Clerodendrum)は、熱帯や亜熱帯地域に分布しており、欧米では花の美しいものは古くから観賞用や庭木にされています。
木の枝や葉をちぎると独特なにおいがするので、臭木という和名がつけられています。臭木の漢名は、臭梧桐で、葉っぱの形が桐の葉を小さくしたように見えることから由来しています。
臭木,I, KENPEI, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link
8月〜9月にかけて枝先に白色〜薄い紅色の花が咲き、花が散ったあとに丸く紫みを帯びた濃い青色の果実が熟します。 続きを読む
江戸時代に作り出された絵具に、「花赤」というものがありました。
今では有馬の辻絵具店だけでしか、製造されていない花赤ですが、作り方は大変興味深いものです。
花赤は、酸化鉄を水につけ、毎日その上澄み液を捨てるという作業を繰り返すこと約10年かけてできます。
花赤については、下記の記事が良くまとまっています。
有馬では、湯染木綿という名前で、温泉の湯を利用して木綿布を染めたものが土産として売られていました。
温泉で染めるのは、有馬温泉だけの産物ではなく、赤い湯といわれる赤褐色に濁った酸化鉄を含む温泉であればどこでも染められるものです。
群馬県の伊香保温泉などでも、大正10年(1921年)頃まで、温泉で染めた浴衣や手拭いなどが売られていたようです。
湯染木綿の発祥がいつなのかは不明ですが、明治15年(1882年)の『湯山町輸出入物品概表』には、「湯染木綿15反15円」とあり、この頃には有馬(湯山町とは、有馬の旧地名)において湯染木綿が作られていたのがわかります。
湯染木綿が有馬土産として作られていたのは、昭和初期までとされています。
楓の葉っぱを使用し、たたき染めで模様を表現したりもしていたようです。
【参考文献】『月刊染織α 1983年No.31』
顔料(pigment)と染料(dye)という言葉がありますが、その意味の違いや特徴はどのようなものでしょうか。
現代における染料と顔料の違いと、言葉を使い分ける基準はどのようになっているのか。
上村六郎氏の『東方染色文化研究』では、染料と顔料について以下のように書いてあります。
染料とは一般に布帛に染著(染着)する性質を有するものを指し、顔料とは布帛に染著(染着)しない性質のもとを指している。従って別な云い方をすれば、染料とは色染に使用するものであり、顔料とは繪(絵)又は彫刻其他のものの彩色に使用するものである。
上記では、染料は織物などを染めるものであり、顔料は絵や彫刻などに色付けするものと言っています。
上村六郎氏の説明から読み取れることは、染料、顔料という呼び名は、その使い方と性質によって区別できるということがわかります。
染料と顔料の性質の違いとしては、物質を溶かすのに用いる水やアルコールなどの液体(溶剤)に溶ける色を染料、溶けないものを顔料として区別できます。
分子で染めるのが染料での染色で、粒子で染めるのが顔料による染色というイメージをするとわかりやすいです。
染色をする際は、顔料と染料の特徴を踏まえたうえで、用途によってうまく使い分けることが必要です。
染められたものを消費する側に立ったときでも、それぞれの特徴や違いを理解しておくことが大切なのです。
例えば、顔料をつかって染色された衣類などは、ムラになりやすかったり色落ちしやすいので、扱い方をきちんと認識しておくことで、そもそも色落ちを楽しめたり、色が落ちても変にがっかりしなくて済みます。
顔料と染料の違いというのは、なんとなくわかっているようだけれど、改めてしっかりと理解していると生活に役に立つことがあるのです。
顔料と染料は、染め方や染まり方が違うため、それぞれ違った特徴や性質を持ちます。
顔料はそれ単体では、繊維と結びつくことができないので、(素材の表面にくっつくことができない)樹脂やタンパク質、オイルなどで固着させます。
昔から友禅染では、大豆をすりつぶして水を加えた呉汁をつかって、色止めをしたりしています。
その他、顔料の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
顔料は、無機顔料や有機顔料に区別することができます。
無機顔料は、鉱物顔料とも言われており、日本においては化粧の原点とも言われる赤化粧には、酸化鉄を含む天然の鉱物が使用されていました。
無機顔料は、現代では化学的に合成されたもので、安全性高く、多くの生活日用品に使用されています。
有機顔料は、石油などから合成した顔料です。
染料はそれ単体で、科学的に繊維と結びつくことができます。
染料の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
顔料という言葉は一般的に定着していますが、実は、何度も変化を繰り返しながら今のようになっていった歴史があります。
日本において、顔料という言葉を意味する古い表現として、「彩色」「彩色物」「彩色料」などが挙げられます。『日本書紀』 では、「彩色」という言葉が出てきます。
顔料という言葉のルーツは中国にあるとされますが、中国は支那の古い名称では、丹青、または青黄といったものがあります。
938年頃、平安時代中期に作られた辞書である倭名類聚抄では、染料は「染色具」と呼ばれ、顔料のことは「圖繪具」と呼ばれていました。
鶴田榮一氏の「顔料を意味するいろいろの用語とその変遷」には、顔料という言葉を巡る歴史がわかりやすくまとめられています。
下記の図は、「顔料を意味するいろいろの用語とその変遷」からの引用です。
彩色に始まり、丹青、丹、色料、彩色、絵具などと顔料を表す言葉がさまざま存在していたことがわかります。
顔料を意味する用語は、「エノグ」と訓読されていましたが、その一覧が「顔料を意味するいろいろの用語とその変遷」にはあります。
江戸時代には漢字表示の用語として、「顔料」と書かれたものがありましたが、それも「ガンリョウ」ではなく、「エノグ」 と訓読されていたようです。
明治時代になり、近代化された顔料を製造する企業が出てきますが、江戸時代と同じように顔料は「絵具」であり、顔料への移行は進みませんでした。
その後、明治40年(1907年)に政府公式の文章で初めて今日と同じ顔料という用語が使われるようになりました。
【参考文献】「顔料を意味するいろいろの用語とその変遷」
野薔薇(野茨)(学名Rosa multiflora)は、野生のバラにおける代表的な品種です。
花屋などで観賞用として売られているバラの原種の一つであり、野薔薇から数々の品種が作り出されてきました。
英語のRosaはラテン語のRosaに由来し、バラ属(Rosa)に属するものは非常に多く、さまざまな種類を含んでいます。
multifloraは、花が房状に咲くことから、ラテン語で「花が多い」を意味します。 続きを読む
車輪梅は、日本においては九州南部に自生しているものが多く、特に奄美大島ではテーチキ、テカチキと呼ばれ、大島紬における染料植物として有名です。
車輪梅は、2〜4mほどのバラ科の常緑樹で、名前の由来は、葉っぱが枝先に車輪状に付き、4月から5月ごろにウメに似た白色の花がウメにが、円すい状に集まって開花しすることから命名されました。
ツバキ科モッコク属に分類される木斛の葉っぱに似ているところから、ハマモッコクとも呼ばれたりします。
樹皮や樹木、根っこから作られた染料が、大島紬の泥染に使われることで知られている車輪梅について紹介します。 続きを読む
虎杖(学名 Reynoutria japonica)は、日本各地の山野や道ばた、土手などに群生するタデ科の多年草で、日本や朝鮮半島、中国などに分布しています。
春から秋にかけて多数の白や薄紅色の小さい花が咲き、花が夏の季語に用いられています。
漢名の虎杖は、明代の李時珍(1518-1593年)が26年の歳月をかけ、700あまりの古典を調べ、自らの調査も合わせて1900種の薬物について記述した本草書である『本草綱目』に由来が記述されており、「杖とはその茎を形容したもの、虎とはその斑を形容したもの」とあります。
虎杖(いたどり),Reynoutria japonica.,Cbaile19, CC0, via Wikimedia Commons,Link
譲葉(学名 Daphniphyllum macropodum Miq.)は、本州中南部、四国、九州を中心に海から離れた内陸の山地に自生し、海外では、朝鮮半島や中国にも分布しています。
属名のDaphniphyllumは、 ギリシャ語のdaphne(月桂樹の古名)+phyllon(葉)で、月桂樹の葉のようなさまであることを意味しており、種名のmacropodumは、大脚、もしくは長脚の意味で、葉っぱが長いことに由来しています。
常緑樹で、樹高は4m〜10mほどの高さまで成長し、葉っぱは15cm〜20cmほどの大きさになり、葉の美しさから、庭木としても用いられます。
譲葉,Daphniphyllum macropodum,KENPEI, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link
新しい葉の出る初夏の時期に、黄緑色の小さな花をつけます。雌雄異株で、受粉後には雌花は楕円形の実となり、熟すと黒味がかった藍色になります。
南天(Nandina domestica THUNBERG)は、 西日本、四国、九州など比較的あたたかい地域に主に自生していますが、もともとは中国から渡来したといわれています。
属名のNandinaは、安政4年(1858年)に、長崎の出島に来日したスウェーデン人のCarl Peter Thunbergが日本名のナンテンから命名したもので、domesticaは家庭を意味するもので、人の家によく植えられていることからきています。
南天といえば、赤い実をつけることがよく知れられていますが、白い果実をつけるシロミノナンテンや、淡紫色のフジナンテンなどがあります。
葉っぱが細く、繁殖しやすいホソバナナンテンや、葉っぱが丸みを帯びているものなど、園芸品種が非常に多いことでも知られています。
1年を通して葉が枝や幹についており、樹高の低い常緑低木として、観賞用に庭木として植えられることが多いです。
樹高は、2mほどに成長し、6月ごろに茎の先に白色に小さい花を咲かせます。
Famartin, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link
果実は丸く、はじめは緑色ですが、冬のはじめごろに赤く熟すため、正月飾りのために使用されたりします。
南天,Rexness from Melbourne, Australia, CC BY-SA 2.0 , via Wikimedia Commons,Link
南天の花は、俳諧における初夏の季語となり、果実は冬の季語として詩や歌に詠まれることも多いです。 続きを読む
吾亦紅は、日本各地の高原や草むらの日当たりの良いところに自生しているバラ科の多年草で、アジアやヨーロッパの北半球に広く分布しています。
茎が直立しており、約1mの高さに生長します。
吾亦紅,Giftzwerg 88, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link
夏から秋にかけて茎の先端が枝分かれし、その長い枝先に黒紅紫色で、小さい花が密集し、桑の実に似たような形になります。
吾亦紅,Björn Höfling, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link
漢名では、地榆、玉豉などと言いますが、中国の本草学史上において分量がもっとも多く、内容がもっとも充実した薬学著作である『本草綱目(1596年刊)』には、「葉が楡に似て長く、生えたばかりには地に匐い布くものだから地榆と名付けた」また「その花、子が紫黒色で豉のようなところから玉豉と名付ける」とあります。
そんな特徴的な花を咲かす、吾亦紅の染色における利用や薬用効果、歴史について紹介します。
続きを読む