色合い」カテゴリーアーカイブ

染色・草木染めにおける樒(しきみ)

しきみ(学名:Illicium anisatum)は、マツブサ科シキミ属に分類される常緑の小高木で、高さは一般的に2m〜5mほどに成長しますが、大きいもので10m程度にもなります。

葉は厚く、ツヤがあり、春になると(3月~5月頃)淡黄白色の花を咲かせます。

しきみの葉は日持ちし、長い間、枯れずに力強く生きる姿をみせてくれます。

樒(しきみ),Japanese star anise (Illicium anisatum)

樒(しきみ),Illicium anisatum,harum.koh, CC BY-SA 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0>, via Wikimedia Commons,Link

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紫根を使って灰汁媒染で染めた紫衣(しい)

紫根を使って灰汁媒染あくばいせんで染めた紫色の衣類が、紫衣しいと呼ばれていました。

中国では、古くから紫色は、間色かんじきとして遠ざけられていましたが、やがてその色の美しさから尊ばれるようになり、この考えが日本にも伝えられます。

日本では、飛鳥時代(592年〜710年)から奈良時代(710年〜794年)にかけて、個人の地位や身分、序列などを表す位階を、冠や衣服の色によって差異を付ける制度である『衣服令えぶくりょう』が存在していました。

この制度は、中国の唐代の服飾に影響されて制定されたもので、603年の冠位十二階、647年の七色十三階制、701年の大宝律令などいくつかの服色制を経てきました。

衣服令えぶくりょう』などからわかるように、紫色は、飛鳥あすか天平てんぴょう時代以後においては、天子・皇太子を除いて、臣下としては最高の位の人の衣服の色となっています。

なお、茜染あかねぞめ朱衣しゅいも、極めて濃い色は、多少の鉄分などの影響でやや紫味をもつことがあるため、時として紫衣しいと書かれることがあったようです。

色の衣類が朱衣しゅいと呼ばれ、本来は茜染された着物のことです。

灰汁媒染で染めた色が、あたかも朱のような黄赤きあか色であったので、これを朱衣しゅいといったのです。

染色・草木染めにおける椎(しい)

しいは、ブナ科クリ亜科シイ属の樹木の総称で、シイ属は主にアジアに約100種類が分布しており、日本にはこの属が分布している北限となり2種が自生しています。

大きいものは25mにも達する大木となり、5月〜6月ごろに花が咲きます。

果実は完全に殻斗かくと(どんぐりを包み、保護するもの)につつまれており2年目に熟します。

果実はいわゆる「どんぐり」であり、からを割ると中の種子は白く、生で食べるとやや甘みがあります。

しいの実は、縄文時代にはクリに次いで重要な食料であったといわれているようです。 続きを読む

蓼藍(タデアイ)

地藍(じあい)とは?本場の阿波藍に対する地藍について

地藍じあいとは、その土地で栽培された藍という意味でこの名前があります。

江戸時代になってから木綿の栽培が盛んになり、全国的に仕事着や日常着に着用されるようになったのが、藍染された紺木綿や紺絣こんがすりでした。

その藍の需要増加にうまく対応したのが、現在の徳島県の阿波あわで、藍の原料作りといえば阿波が本場とされました。 続きを読む

染色・草木染めにおける皂莢(さいかち)

皂莢さいかち(学名:Gleditsia japonica)は、マメ科ジャケツイバラ亜科サイカチ属の落葉樹で、河原藤木カワラフジノキとも呼ばれていました。

5月〜6月頃の初夏に、枝先から黄緑色の花を大量に咲かせます。

Gleditsia japonica kz2

皂莢(さいかち)の花,Gleditsia japonica,Krzysztof Ziarnek, Kenraiz, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

幹に鋭いトゲがあることや、大型のマメができることで知られ、10月頃に成熟した豆果は長さ20cm~30cmほどにもなります。 続きを読む

藍の液に浮かぶ華

藍染された布や糸から、石灰と水飴を使って顔料化する「飴出し法」

江戸時代に描かれた浮世絵うきよえには、さまざまな色が使われていましたが、藍色もその中にありました。

青の色をつくるのに露草や藍が使われていましたが、植物由来の色であるために、日に焼けて変色しやすかったり等、版画はんが向きでなかったのは想像に難しくありません。 続きを読む

天皇の色彩である黄櫨(こうろ)、黄櫨染(こうろぜん)と皇太子の色彩である黄丹(おうに)とは?

黄櫨こうろ黄櫨染こうろぜんと呼ばれる色彩があります。

平安時代以降、日本の天皇が儀式のときに着用するほうの色と決められ、「絶対禁色ぜったいきんじき」として天皇以外は着ることが許されない色とされてきました。 続きを読む

染色・草木染めにおける桑染(くわぞめ)

くわは、中国において古代染料の一つとして使用され、漢方にも用いられてきました。

桑染くわぞめは、木の根皮で染めたのが最初とされ、日本には奈良時代ごろにはすでに伝えられていたようです。

衣服令えぶくりょう』には、桑染くわぞめの色がとりあげられ、灰汁媒染あくばいせんで赤味のある茶色を染めたものです。

本来の桑染くわぞめの色合いは、桑の根皮で染めた茶色であり、のちに木の皮を用いて同じような色が染められるようになったようです。

群青とウルトラマリンブルー。青い鉱物から生まれる美しい顔料について

空の青、海の青。

私たちの身の回りは青色で溢れていますが、もし自然の世界から青色を取り出そうとすると、実際に手にできる青が非常に少ないことに気がつきます。

そのため、古くから人々は青色を絵具として手にするために、お金と時間と手間をかけてきたのです。

青色の顔料として、古くから非常に有名なのが、東西問わず世界中で使われていた群青ぐんじょうと西洋で大切にされてきたウルトラマリンブルーの二種類です。
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