色合い」カテゴリーアーカイブ

藍の液に浮かぶ華

茄子紺(なすこん)とは?藍染された紫味をもった紺色について

藍は、古くから世界各地で使用され、人々に一番愛されてきたともいえる植物染料です。

日本において、藍染された色は一番薄い藍白あいじろから、一番濃い留紺とめこんまで、「藍四十八色あいしじゅうはっしょく」と呼ばれるほど多くの色味があり、それぞれ名前がつけられていました。

それぞれの藍色に名前をつけて区別をしようと思えるほど、藍色を見る目を昔の人々が持っていた・・・・・・・・・・・・・・・ともいえます。

藍色のなかで、やや紫味をもった紺色を表す色名として、茄子紺なすこんがあります。

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八重鬼菊唐草文『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

沖縄の藍型(えーがた)。藍型の種類や技法について

沖縄で行われていた藍染は、タデ藍ではなく、琉球藍りゅうきゅうあいが原料に使用されてきました。

藍染の染色技法としては、型紙を用いて模様を表現する型染めが盛んにおこなわれ、沖縄では藍型えいがた(えーがた)と呼ばれていました。

藍型えいがた(えーがた)の技法は、紅型びんがたとほとんど同じで、広い意味では紅型びんがた藍型えいがたも含まれますが、一般的には区別されます。 続きを読む

位袍(いほう)とは?

位袍いほうとは、位階いかいによって定められた色のほうを表します。

天皇は、儀式用に着用した黄櫨染こうろぜん(赤みの暗い黄褐色)や平常用としての麴塵きくじん(くすんだ黄緑色)、皇太子は黄丹おうに(赤味を帯びたオレンジ色)を着用したとされます。

臣下しんか(君主に仕える者)は三位以上が紫色、四位が深緋こきあけ(紫みの暗い赤色)、五位が浅緋あさあけ(わずかに黄味のある薄い緋色ひいろ、六位〜七位が緑、八位以下がはなだ(薄い藍色)であったようです。

10世紀ごろから、四位以上は黒、五位が蘇芳すおう、六位がはなだとなりました。

墨流し(すみながし)とは?和紙や布を墨汁(ぼくじゅう)で染める墨流しの技法や歴史について

墨汁ぼくじゅうを水面に浮かべ、波紋状はもんじょうの模様を作り、水面に和紙や布つけて模様を染めることを「墨流し(すみながし)」といいます。

福井県武生たけふ市に伝わる「越前墨流し(えちぜんすみながし)」は、800年の歴史があります。 続きを読む

蓼藍(タデアイ)

阿波25万石、藍50万石。徳島(阿波)におけて藍栽培が盛んだった理由と藍の栽培が禁止になった理由について

現在の徳島県では、鎌倉時代ごろから藍作の歴史が始まったとされます。

徳島藩が阿波北方あわきたがたと言われた吉野川下流域の農村で生産された「藍」からあがる莫大な租税で、近世を通じて「富裕藩」と言われ、多くの諸藩から羨望されていたことが知られています。

徳島において藍の栽培が盛んになった理由を、いくつか挙げることができます。 続きを読む

お金(小銭・硬貨)がサビると何色になるか?硬貨の色が違う理由について

普段の生活のなかでお金として使っている小銭は、私たちの暮らしの中でもっとも身近な金属のひとつです。

1円、5円、10円、50円、100円、500円と6種類の硬貨がありますが、例えば買い物の最中、瞬時にそれぞれどのように見分けているのでしょうか? 続きを読む

黄連(おうれん)

天然色素の種類。天然色素における配糖体(はいとうたい)について

染色するために使用する植物を染色植物と呼び、それらの植物の組織内に存在している有色化合物が天然色素です。

これらの色素は、植物の組織の中では主として配糖体はいとうたいという形になっています。

天然色素を配糖体はいとうたいのまま、あるいは色素単体として、その他の成分と一緒に植物から抽出したものを「天然染料」と呼びます。

コチニールや貝紫など、動物から抽出する天然色素もあります。 続きを読む

染色・草木染めにおける黄金花(こがねばな)。黄芩(おうごん)の薬用効果や歴史について

黄金花こがねばな(学名 Scutellaria baicalensis Georgi)は中国北部からシベリア、モンゴルや朝鮮半島などに分布しているシソ科の多年草です。

7月から8月ごろに枝先に花穂をつけ、青色や紫紅色の唇形花しんけいかが美しいのが特徴的です。

Scutellaria baicalensis kz04

黄金花,Scutellaria baicalensis,Krzysztof Ziarnek, Kenraiz, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link

地中に埋まっている根っこ部分は、外皮が暗褐色あんかっしょくですが、内部は美しい黄色です。

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ハナモモ(花桃)バラ目バラ科モモ属に着生しているウメノキゴケ(Lichen Parmotrema tinctorum)

染色・草木染めにおけるコケ(苔)。地衣類(ちいるい)による染色方法や歴史について

コケ(こけ)と呼ばれる植物には、スギゴケやゼヒゴケに代表される蘇苔類せんたいるい(moss)とウメノキゴケやマツゲゴケなどの地衣類ちいるい(lichen)が含まれます。

この2種類は別の分類に属する植物であり、コケ(こけ)と呼ばれるのは主に蘇苔類せんたいるい(moss)の方です。

地衣類ちいるい(lichen)の染色は、「コケ(こけ)染め」として知られています。

地衣類ちいるいは、外見的には一つの植物のように見えますが、植物学的には、菌類と藻類そうるいの2種類の植物から成る生活共同(共生)体として、互いに必要な要素を供給しあっている特殊な植物です。 続きを読む