車輪梅(しゃりんばい)は、バラ科シャリンバイ属の常緑低木で、日本(東北地方南部以南)、韓国、台湾までの海岸近くに分布します。
しゃりんばいという名前の由来は、4月から5月ごろにウメに似た白色の花が、円すい状に集まって開花し、枝と葉っぱが車輪状に付くことから命名されました。
樹皮から作られた染料が、大島紬の泥染用に使われることで知られています。
車輪梅(しゃりんばい)の染色の準備
月刊染織1994年4月号に、実際に染めてみた例が記載されているので紹介します。
①まず、原木を砕いて、厚さ0.5cm~1cmほどのチップ状にします。
②チップ30kgに炭酸ナトリウム45gを加え、水に浸かるようにして鍋に入れ、約6時間煮沸します。
③染液をふるいでろ過してクズを取り除き、90リットル分に調整します。
④3日間後に、染色に使います。
車輪梅の染色
①シルク糸400gを染液16ℓで沸騰するまで加熱したあと、1時間そのまま放置して冷やします。
②次に、0.02%クロムみょうばん水溶液40ℓに糸を分浸けて、媒染します。
③糸を自然乾燥で干した後、鍋にいれて、1or2ℓの染液をかけ、5分間揉み込み染色します。
④再び、染液16ℓで煮沸するまで加熱します。
⑤1時間、そのまま放置して冷やしてから②→③の工程をします。
⑥3回目と同じく繰り返し、4回目の煮沸染色をおこなった後、水洗いをして染色が終了です。
染色の結果
上記の染色の結果ですが、色合いは、濃い茶色となり、光に対する堅牢度が4級、重量増加率は 8.9%であったようです。