古くから伝承されてきた古い裂の中に、「名物裂」と呼ばれるものがあります。
茶道によって選び出された「名物裂」を大きく分けると、「金襴、緞子、間道」と呼ばれる主流となる三種の特色を持った裂があります。
そのほかには、錦やモール、ビロード、印金、更紗などの優れた裂などもあります。 続きを読む
古くから伝承されてきた古い裂の中に、「名物裂」と呼ばれるものがあります。
茶道によって選び出された「名物裂」を大きく分けると、「金襴、緞子、間道」と呼ばれる主流となる三種の特色を持った裂があります。
そのほかには、錦やモール、ビロード、印金、更紗などの優れた裂などもあります。 続きを読む
ハゼノキ(ヤマハゼ)は、ウルシ科ウルシ属の落葉小高木で、学名はToxicodendron succedaneumです。
黄色の心材(樹木を輪切りにしたときに、中心部分にある色の濃い部分の材木)が、染料になります。
本来、中国の黄櫨は、ウルシ科の別属の木ですが、平安時代にまとめられた三代格式の一つである『延喜式』には、「採黄櫨一人」との記載があることから、日本で自生していたハゼノキ(ヤマハゼ)も利用されていたようです。
ハゼノキ(ヤマハゼ)の心材を染料として使用し、明礬媒染で黄色、灰汁媒染でやや赤みを増し、石灰水では赤茶色、鉄塩による媒染で真黒に発色します。
鉄漿は、古くから使用されてきた鉄媒染剤の一つです。
鉄漿は、中国名で、古代において、黒染めの方法として中国から伝えられたものと考えられます。
タンニンに反応すると黒く染まるため、鉄漿を、タンニンが多く含まれる五倍子とともに用いたものがいわゆる「お歯黒」になります。 続きを読む
馬酔木(学名 Pieris japonica D.don)は、ツツジ科の常緑低木で、日本固有の植物です。
属名のPierisは、ギリシャ神話の文芸、芸術、音楽を司る神の名前に由来があります。
馬酔木という漢字が当てられますが、中国名ではなく日本でつけられた名称です。
大体は2〜3メートルくらいの樹高ですが、大きいものだと5メートルほどにもなり、庭木としても使用されます。
3月から5月ごろ、小枝の先にスズランのような白色で、ツボ状の形をした花が密集してたくさん咲くのが特徴的です。
馬酔木,あせび,Pieris japonica,Photo by David J. Stang, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link
馬酔木は、園芸品種も様々あり、薄紅色の花を咲かせるアケボノアセビ、花の穂が長いホナガアセビ、葉にまだら模様が入っているフクリンアセビなどがあり、江戸時代終わりごろから欧米などの海外でも観賞用として栽培されるようになっています。
馬酔木,Agnieszka Kwiecień, Nova, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link
藤(学名Wisteria floribunda)は、日本の固有種で、マメ科フジ属のつる性落葉木本です。
藤の花が咲く時期は4月中旬~5月頃で、葉の展開からやや遅れて開花し、枝の先端に多数の蝶形花を付けた花序が垂れ下がります
藤棚の伸びすぎた枝葉を剪定した時に、その枝葉を染色に利用することもできます。 続きを読む
桃(もも)(学名Prunus persica)は、バラ科スモモ属の落葉低木から小高木(樹高2m~3m)で、食用や観賞用として世界各地で品種改良されて栽培されています。
桜は、中国が原産といわれ、ヨーロッパへは紀元前1世紀ごろに渡来し、日本においても『古事記』や『日本書紀』に記載があり、果樹としての栽培は江戸時代になったから盛んになったとされています。
3月下旬から4月頃にピンク色から白色の花を咲かせ、八重咲種など観賞用の品種も古くからあり、果実がは6月〜7月ごろに熟します。

桃(もも)(学名Prunus persica),E-190, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons,Link
桜は、古くから人々に親しまれてきました。
7世紀後半から8世紀後半(奈良時代末期)にかけてに成立したとされる日本に現存する最古の和歌集である『万葉集』には、4,500首以上歌が集められていますが、桜を詠んだ歌が非常に多く、「桜の花」、「桜花」、「山桜」、「山桜花」などとあり、40首が収められています。
ただ、桜が染色に用いられるようになったのは近年になってからと考えられます。
江戸時代には「桜鼠」など色名がありますが、桜自体を使用したわけではなく、桜色がかった鼠色のことを指していると考えられます。 続きを読む
ヨーロッパの花の中でも、古くから観賞用として人々に愛され、美術や工芸の模様におけるモチーフとされてきたのがバラ(薔薇)です。
日本においても古くからバラが栽培されていたとされ、バラを描いた美術や工芸品も残っています。
バラ(薔薇),Geolina163, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link
平安時代には、中国からコウシンバラ(庚申薔薇)が渡来していたと考えられており、「古今和歌集」や「枕草子」、「伊勢物語」や「源氏物語」などから、バラが観賞されていたことがわかります。
関連記事:デザインにおけるバラ(薔薇)
歴史的には、紅花のように花を染料にして染めことは行われてきましたが、バラの花びらを使った染色というのは、ほとんど行われなかったと考えられます。
一般的には花びらは染まりにくく、たとえ染まったとしてもすぐに色あせてしまうものとされてきました.
ただ、花びらを使用した染色において、バラの花が活用されることがあります。 続きを読む
花を染料にして染める行為は、古くからおこなわれてきました。
特に有名なのが紅花で、赤系の色を染めるのに重要なものとされてきました。
紅花以外にも、杜若や、萩、露草などの花摺りであったり、槐花(槐)、金銀花(すいかずら)、向日葵なども染料とされていました。
紅花染めが色の移ろいが激しい染料として、数々の歌にも読まれているように、一般的には花びらは染まりにくく、たとえ染まったとしてもすぐに色あせてしまうものとされてきました。 続きを読む