投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

ファッションにおけるオイルコーティングのメリット・デメリット。衣類や生地を丈夫にし、防水性や光沢感を与える

綿織物にオイルをコーティングすることで、防水性や独特の光沢やぬめり感を出せます。

オイルコーティングやオイルクロス(oil cloth)などと言いますが、もともとは綿の織物に、成熟した亜麻あまの種子から得られるアマニ油や桐油きりあぶらなどの、空気中で徐々に酸化して固まる乾性油かんせいゆを塗っていました。 続きを読む

ファッション・服飾における黄金比、黄金分割。洋服が綺麗にみえるバランスを論理的に理解する

ファッションにおいて、外見が綺麗に見せることができるバランスがあります。

黄金比おうごんひという言葉を聞いたことがある方もいると思いますが、黄金比おうごんひを用いて長さを分けることで、見栄えの良いバランスがとれるのです。

黄金比おうごんひを用いて長さを分けるので、黄金分割おうごんぶんかつ(GoldenMean)または黄金比分割おうごんぶんかつといいます。

一般的には、7:3に分けられたものが美しく見えるといわれます。

確かに7:3は黄金比に近い値ですが、より正確に「黄金比」に近いものは、5:8に分割された程度になります。 続きを読む

繊維が軽くて強く、伸び縮みするのはなぜか?繊維が加工しやすい理由について

普段私たちが着ている服を考えてみればよく分かることですが、私たちの身近にある繊維は、伸びたり縮んだりします。

これは、一般的に繊維を構成する高分子こうぶんし(ポリマー)の動きによるものです。天然の高分子こうぶんしは、構造が複雑で、合成された高分子は簡単な構造で組み立てられています。

合成方法によって、繊維の性質がさまざま変わってきます。

無機繊維と金属繊維以外の化学繊維も、「高分子こうぶんし」と呼ばれる細長い形をした分子でできているのです。

伸びたり縮んだりと、高分子こうぶんし(ポリマー)でできている繊維の代表的な性質について挙げてみます。 続きを読む

型絵染(かたえぞめ)とは?型絵染の特徴と技法について

型絵染かたえぞめは、絵画かいがのような表現を重視した型染めのジャンルの一つともいえます。

型絵染かたえぞめという名前は、人間国宝で著名な染色工芸家であった芹沢銈介せりざわけいすけ(1895年〜1984年)が名付けました。

芹沢銈介,Keisuke Serizawa photographed by Shigeru Tamura

芹沢銈介,Shigeru Tamura, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

彼の作品には、初期の頃から型絵染かたえぞめがみられます。 続きを読む

染色における貝紫(かいむらさき)。貝紫の歴史と貝紫色を染める方法について

紫色は、その希少性から世界中のさまざまな場所で、高貴な色・尊い色に位置付けられていました。

地中海沿岸では貝紫かいむらさき(Royal purple)による紫の染色があり、その希少性から王侯貴族を象徴する色とされて、ギリシャやローマへと受け継がれました。

貝紫かいむらさきは、アクキガイ科に属した巻貝まきがいのパープルせんと呼ばれる分泌腺ぶんぴつせんからとれる染料で、西洋では珍重されていました。

貝紫,Purple Purpur (retouched)

貝紫,染めた生地と対応する貝,Exhibit of the Museum of Natural History in Vienna,Photograph: U.Name.MeDerivative work: TeKaBe, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link

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沖縄の絣織物の技法。琉球絣の歴史

沖縄における絣織物(琉球絣りゅうきゅうかすり)には、独特な幾何学文様きかがくもんようがあります。

線で構成したこれらの絣柄は、18世紀後半の御絵図帳みえずちょうで高度に完成したと考えられます。

御絵図帳みえずちょう」とは、琉球王国りゅうきゅうおうこくにおける首里王府しゅりおうふの絵師たちによってまとめられた絣の図案集です。

御絵図帳みえずちょう」とは、琉球絣りゅうきゅうかすりが貴重な貿易商品だった時代、王国に収める貢納布こうのうふを織らせるために模様や染色などを細かく指定したものです。 続きを読む

染色・草木染めにおける辛夷(こぶし)。薬用効果や歴史について

辛夷こぶし(学名Magnolia kobus DC.)バラ科リンゴ属の落葉樹で、樹高は3~10m程度になります。

属名のMagnoliahahaはフランスの植物学者P.Magnolの名前からきており、種名のkobusは、和名のコブシに由来しています。

辛夷こぶしは、3月下旬から4月上旬にかけて、雑木に混じって枝一面に白い花を咲かせることから、春の訪れを告げる花として知られています。 続きを読む

萱葺き屋根(かやぶきやね)は、なぜ萱が素材として使われたのか?萱葺き屋根の特徴について

日本の住宅建設様式の一つに、合掌がっしょう造りがあります。

合掌がっしょう造りといえば、急勾配の屋根を持ち、白川郷しらかわごうの風景を思い浮かべる人も多いかと思いますのが、その屋根に使われている素材がかやです。

Shirakawa village - 白川郷 002

白川郷,Emran Kassim, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons,Link

かやが使用された屋根は、萱葺かやぶき屋根(茅葺かやぶき屋根)として、日本の原風景の一つに数えられます。

日本だけでなく、世界中でもかやが屋根の素材として使われていました。

昔の人々は、かやを屋根の素材として使用したのには、理由があります。 続きを読む