投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

蘇芳色(すおういろ)黒みを帯びた赤色

染色・草木染めにおける蘇芳(すおう)。蘇芳(すおう)の染色におけるポイントについて

蘇芳すおう(学名Caesalpinia sappan)はインドやマレーシアなどの熱帯地域に自生しているマメ科ジャケツイバラカ亜科の植物です。

蘇芳すおうは成長すると樹高が5~10メートルになり、幹にはトゲが多く、葉は鳥の羽が並んでいるような形の羽状複葉うじょうふくようで、5月から6月ごろに円錐花序えんすいかじょを出し、黄色い花を咲かせます。
蘇芳すおうは、その芯材しんざいに含まれるブラジリン(brazilin)と少量のヘマティン(天然赤色色素が染料として使われてきました。 続きを読む

染色・草木染めにおける榛(はしばみ・はり)。万葉集における榛の染色方法について

はしばみ(はり)(学名Alnus japonica)は、和名で「ハンノキ」と言い、カバノキ科ハンノキ属です。

水気や湿気の多い場所に多く生育する落葉高木らくようこうぼくで、葉は,卵状の長楕円形で先がとんがりギザギザしています。

榛(はり),Alnus japonica Olsza japońska 2021-10-02 05

榛(はり),Agnieszka Kwiecień, Nova, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

幹は直立してのび、高さが10m以上にも生長し、 樹皮は紫褐色しかっしょくから暗灰褐色あんかいかっしょくで、縦に浅く裂けてはがれます。

榛,Alnus japonica 02

榛,Alnus japonica,Σ64, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

早春、葉よりも早く開花し、雌花めばなは楕円形で紅紫色で、実は青く熟します。 続きを読む

ヨーロッパや東洋、日本の衣服(ファッション)の特徴。模様と色彩、衣服における西洋と東洋の違いについて

衣服と染織模様は、世界中のそれぞれの土地で発達していきましたが、歴史的にみると西洋と東洋という大きな括りでも基本的なスタイルの違いをみつけることができます。

模様に関しては、世界各地にさまざまな柄が存在していますが、それぞれの地域や国、民族などの思想や生命観、宇宙観といったものを反映していました。

歴史的には、西洋には西洋の模様があり、東洋には東洋の独自の模様があり、それぞれ人々に育まれてきたのです。

衣服(ファッション)においても、もちろん一概には言えることではありませんが、西洋と東洋の特徴や違いを挙げることができます。

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松煙墨(しょうえんずみ)と藍染めを併用した染色技法

松煙墨しょうえんずみ染めと、藍染を併用した染色は古くから日本各地の紺屋こうやで行われていました。

松煙墨しょうえんずみ染めのみで引き染めして、緑色がかった灰色である利休鼠りきゅうねずみ色に染め上げる小紋こもんが作られたりもしました。

出雲いずも地方の祝風呂敷を染める紺屋こうやでは、のり筒描つつがきした生地を藍染する前に、刷毛引はけびきする豆汁ごじる練墨こねずみ丹殻たんがら(ヒルギの樹皮からとる染料)を混ぜて先に染めたりしていました。 続きを読む

染色・草木染めにおける赤芽槲(久木)

赤芽槲アカメガシワ久木ひさぎ)は、トウダイグサ科のアカメガシワ属で、学名はMallotus japonicusです。

赤芽槲アカメガシワ久木ひさぎ)は、新芽が赤いことから名付けられたもので、樹皮じゅひ灰褐色はいかっしょくで若枝が赤褐色せっかっしょくをしています。

赤芽槲(久木),Mallotus japonicus

赤芽槲(久木),Mallotus japonicus,Kirisame, CC BY-SA 3.0<https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

日本においては、本州から沖縄まで生育し、台湾や中国の山野にも分布しており、成長すると10mを超える大木になます。

久木ひさぎや、ひさぎ比佐岐ひさぎとも書かれ、これらは赤芽槲アカメガシワの古名として知られています。

ホオノキカシワの葉っぱと同じように、大きな葉っぱに食物を盛る習慣があったと考えられています。

5月〜6月ごろに小さくて黄色い花が咲き、その後に実を付け、10月ごろに成熟し、種子は焦茶色こげちゃいろをしています。 続きを読む

染色・草木染めにおける葛(くず)。薬用効果や歴史について

くずは(学名Pueraria lobata. )、日本全土で見られるマメ科の多年草で、くきはつる状に伸びて長さは10メートル以上にもなります。

くずは、染料植物としての歴史はほとんどありませんが、日本や中国では人々の生活において、様々な分野で活用されてきた有用植物です。

夏から秋にかけて、20cmくらいの花序かじょを出し、赤紫がかった蝶形花ちょうけいかが下方から順に咲いていきます。

葛(くず),Pueraria montana var lobata kudzu Flower20170827 IMG 1664

葛(くず)Pueraria lobata,あおもりくま, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons,Link

くずは、土手や荒地など日当たりの良い斜面によく見られ、繁殖力があり、長いつるを伸ばして他の草木を覆い隠すので、厄介な雑草として扱われることもありますが、はるか昔の万葉頃からの秋の七草の一つに数えられ、親しまれてきました。 続きを読む

伝説の綿織物、ダッカ・モスリン

今では伝説として語り継がれていますが、現在のバングラデシュの首都ダッカでは、高度な技術によってつくられたダッカ・モスリンという伝説の綿織物がありました。

現存するものは、ロンドンのヴィクトリア・アルバート博物館で保存されているようです。

バングラディッシュは、インドから独立した国なので、イギリスが植民地統治をしている以前は、インドの綿業の中心地であり、その生産量や染色技術においてももっとも世界で進んでいたと言われます。

当時はもちろん機械がなく手工業だったので、糸は手紡てつむぎされていましたが、その糸が非常に細く、それを使用して非常に薄い綿織物を織っていました。

インドで手紡てつむぎをイメージすると、ガンジーが糸車を回している有名な写真を思い起こしますが、当時細い糸を紡ぐときも、早朝に霧の立ち込める川のほとりで糸車を回し、指先に油をつけながら紡いだといわれています。

早朝の霧、そして川の近くで湿気の多い場所が、糸を紡ぐのに適していたのです。 続きを読む

ファッションにおけるオイルコーティングのメリット・デメリット。衣類や生地を丈夫にし、防水性や光沢感を与える

綿織物にオイルをコーティングすることで、防水性や独特の光沢やぬめり感を出せます。

オイルコーティングやオイルクロス(oil cloth)などと言いますが、もともとは綿の織物に、成熟した亜麻あまの種子から得られるアマニ油や桐油きりあぶらなどの、空気中で徐々に酸化して固まる乾性油かんせいゆを塗っていました。 続きを読む

お金(小銭・硬貨)がサビると何色になるか?硬貨の色が違う理由について

普段の生活のなかでお金として使っている小銭は、私たちの暮らしの中でもっとも身近な金属のひとつです。

1円、5円、10円、50円、100円、500円と6種類の硬貨がありますが、例えば買い物の最中、瞬時にそれぞれどのように見分けているのでしょうか? 続きを読む