投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

イラクサ(蕁麻)で織られた麻織物

イラクサ(蕁麻)の繊維から生まれる布。イラクサ(蕁麻)の採取・苧引き・糸積みについて

古くから、衣類の原料やあみなわなどを編む繊維などに使用されてきた植物にイラクサ(蕁麻いらくさ)があります。

イラクサ(蕁麻いらくさ)はイラクサ科の植物で、世界中で40属、50種以上を数えるといわれますが、繊維として利用されるものは主に、イラクサ属(ミヤマイラクサ、ムカゴイラクサ、エゾイラクサ)、カラムシ属(ナンバンカラムシ、カラムシ、コアカソ)などで、まれにミズ属のミズ類も用いられました。

カラムシ畑,福島県昭和村

カラムシ畑,福島県昭和村,Qwert1234, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

このうち、カラムシ属のナンバンカラムシ(学名:Boehmeria nivea var. nivea)は、いわゆる苧麻ちょまで、栽培される麻織物の主原料となっていました。 続きを読む

平織りされた藤布(ふじぬの)

【織物の三原組織】平織り(ひらおり)、綾織り(あやおり)、朱子織り(しゅすおり)。三原組織における変化組織の特徴について

織物には基本とされる構造があり、ひら織り、あや織り、朱子織しゅすおりは、三原組織さんげんそしきと呼ばれています。

織りの三原組織さんげんそしきの基本をベースにして、そこから変化を加えることでさまざま特徴的な模様を出すことができます。 続きを読む

ブルネロクチネリ(著)『人間主義的経営』

ブルネロ・クチネリ(Brunello Cucinelli)の哲学と「人間のための資本主義」。ブルネロ・クチネリ(著)『人間主義的経営』

イタリア中部ウンブリア州ペルージャ県にある人口数百人の小さな村であるソロメオは、「世界で一番上手く行っている村おこし地域」として世界中から注目を集めています。

ソロメオは、もともと大した産業もない貧しい村でしたが、ファッションブランドの「ブルネロ・クチネリ」が本社をおいていることで、この村に住む人々の大半が同社に勤務しているのです。

ブルネロ・クチネリ社は、イタリアでの生産(made in italy)にこだわり、生み出される製品は、世界中の店舗で販売されています。 続きを読む

ファッション・服飾におけるエプロン(apron)。エプロンの語源や歴史について

ファッション・服飾におけるエプロン (apron) は、①前掛け、前垂れ②よだれ掛け③割烹着かっぽうぎなどの意味があります。

衣服の上から当てて着用するもので、胸元や腰回りから下に布が垂れ下がるものを表します。

エプロンは、もともとと農耕や牧畜、工作や食事などの際の汚れ防止や体の保護などの実用的な目的に用いられましたが、のちに機能面だけでなく、装飾性に富んだものは権威を示すものとしても用いられました。

エプロン(Apron) (protective wear)

エプロン(Apron),MoMu – Fashion Museum Antwerp, CC0, via Wikimedia Commons,Link

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ウォッシュアウト加工(wash-out)とは?ウォッシュアウトジーンズ(wash-out-jeans)とノンウォッシュジーンズ(non-wash-jeans)について

ウォッシュアウト(wash-out)という言葉は、①洗濯して色せる②疲れた、やつれた③(洪水などで)崩壊したなどの意味があります。

ジーンズやデニムにおいて、ウォッシュアウト(wash-out)という加工があります。

ウォッシュアウト加工(wash-out)とは、その言葉の意味の通り、洗濯して色せを表現することです。
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インベストメントクローズ(investment clothes)。「投資する価値のある衣服」と「ファッション(衣服)に投資する」という考え方について

英語のインベストメント(investment)は、「invest(投資する)」の名詞形ですが、古くは「衣服」を表す言葉でもありました。

「invest(投資する)」の語源は、ラテン語の「investire(衣服を着せる)」で、フランス語の「investir」を経由して、1489年に文献に初出しています。

インベストメント(investment)は、1598年に「衣服」、1625年に「投資」の意味で文献に初出しています。

「invest」の語源をさかのぼると、古くは、衣服が人の価値を決めるものであり、そのために投資が必要であったことがわかります。 続きを読む

染色・藍染におけるインド藍。インド藍の種類や歴史、染色方法について

インド藍(学名 Indigofera suffruticosa)は、熱帯地方に分布するマメ科コマツナギ属の藍色素を持つ植物から抽出した染料の名前でもあり、植物の名称でもあります。

日本の本土で古くから栽培されてきたタデアイ(くさの藍)に対して、木藍きあいと呼ばれたりもしました。

Indigofera tinctoria-2-papanasam-tirunelveli-India

インド藍,Indigofera tinctoria,Yercaud-elango, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

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染色・草木染めにおけるログウッド。世界最大の需要を誇った染料、ログウッドの普及と衰退の歴史

ログウッド(学名 Haematoxylum campechianum)は、マメ科の植物で、属名のHaematoxylumは、ギリシャ語でhaima(血液)とxylon(樹木)の二語から由来し、種名のcampechianumは、原産地がメキシコ湾のカンペチェ湾(Campeche)沿岸であることから命名されています。

血木と呼ばれるのは、材木を空気に酸化させると美しい赤褐色の色が出てくるためです。

原産地は、中米などの熱帯地方で、樹高は6〜12mほどになり、幹にはドゲがあります。

小さくて黄色い花が咲き、幹の中央部の心材しんざいが染料として使用され、青紫色の色素であるヘマトキシリンが含まれています。

Haematoxylum campechianum (Campêche)

ログウッド,logwood,Haematoxylum campechianum,Fpalli, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

ログウッド(logwood)は、国によって様々な名称があり、イギリスにおいてログウッドという名称がはじめて文献に現れたのは、1581年のことです。

17世紀の始め頃からヨーロッパの市場では、ホンジュラスのベリーズから産出するものとユカタン半島のカンペチェから産出するものの棲み分けがされていました。

カンペチェ産のものの方が、ホンジュラス産のものに比べて品質が優れているとされていたため、名称も区別する必要があったのです。

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板締め染め(plate resist dyeing)。染色技法における板締め(いたじめ)について

板締めは、布地に両面から板を当てて、きつく両側から固定することで防染し、模様を染める技法です。

日本で古くから行われてきた染色技法を表す言葉に、絞り染めの纐纈こうけち、ろうけつ染めの臈纈ろうけち、そして板締めの夾纈きょうけちがあります。

上記の三種類の技法は、「三纈さんけち」という言葉でまとめて表されます。 続きを読む