投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

蚕(かいこ)の繭(まゆ),絹糸(シルク糸)の原料

野蚕シルクの種類と特徴、家蚕シルクとの違いについて

シルクの素材を扱う上で、「家蚕かさん」、「野蚕やさん」という言葉に出会います。

野生であったものを人工的に繁殖させたり、品種改良しながら飼育されたが「家蚕かさん」と呼ばれます。

野生に生息していたり、野生に近い状態のマユをつくる昆虫類を「野生絹糸虫やせいけんしちゅう」と総称し、その中で特に実用的なマユをつくる品種を「野蚕やさん」と呼んでいます。 続きを読む

青く染められた葛布 岡村吉右衛門(著)『庶民の染織』

染色・藍染めにおけるインディゴピュア(ピュアインディゴ)indigo pure

インディゴピュア(ピュアインディゴ)は、人工的に作られた人造藍の名称です。

天然の藍染めの主成分であるインディゴ(indigo)の構造が、ドイツの化学者であるアドルフ・フォン・バイヤー(Johann Friedrich Wilhelm Adolf von Baeyer,1835年〜1917年)によって1883年に研究の末、合成されました。

藍の植物から色素成分を採取すると、かなりの不純物が含有しており、インディゴの他にも赤色の色素であるインジルビンやインジゴブラウンと称する茶色の色素も少量含まれています。

一方、化学的に合成されたものは、ほとんど純粋なインディゴであるため、インディゴピュア(インジゴピュア)という名称が付けられました。 続きを読む

蓼藍(タデアイ)

草木染め・植物染色の薬用効果と抗菌作用。祈念と薬用効果を求めて、薬草を使った染色が古代に始まる

人類は、古くから自然の植物から色を獲得して、自ら身にまとう布に対して染色をおこなってきました。

古代の人々が、まずは目の前にある、色のついた土や植物から色を獲得してきたというのは容易に想像ができます。

ただ、古代に始まった染色は色をつけるためだけのものではありませんでした。

もともとは、自分の身を守るための薬用効果を求めてはじまったとされているのです。 続きを読む

染色・草木染めにおける杏(あんず)。薬用効果や歴史について

あんず(学名 Prunus armeniaca)は、バラ科のブンゴウメに良く似ており、春先に花が咲かせ、果実は6月下旬から7月上旬にかけて収穫されます。

日本では、東北、信州、甲州などの比較的北国での栽培が適しています。

原産地は中国北西地方や中央アジアで、中国では古代からウメやモモと共に重要な果樹、もしくは薬木やくぼくとして栽培されてきました。

Prunus armeniaca in Donetsk

杏,Prunus armeniaca,Andrew Butko, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

種を割った中に入っている杏仁きょうにんは、生薬として使用されてきました。
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茜染め(絞り)

染色・草木染めにおける茜(あかね)。茜染に用いた茜の種類や染色方法、歴史について

あかね(学名:Rubia argyi)は、アカネ科アカネ属のつる性多年生植物で、日本においては、赤色を染めた最初の染料と一つと考えられています。

あかねは、根っこが赤い色をしており、根っこの煎汁せんじゅうによって染色された赤い色合いは、古来「赤根」と呼ばれていたのです。

あかねは、植物名と染色名が同じであり、例えば「むらさき」と「紫草むらさき」、「べに」と「紅花べにばな」、「きはだいろ」と「黄檗きはだ」など、非常に古くから染色と関係性があったこと名前からもわかります。

現在、日本においてあかねを大量に入手することは難しく、もっぱら染料店で購入できるインド茜や西洋茜が染色に使用される場合が多いです。 続きを読む

赤(あか)とは?

赤は、それを見る人に動的な感じを与え、暖かみを与えるような色合いです。

赤は、中国では五色ごしきの一つとされていました。

古く中国では、青(藍)、赤(朱)、黄、白、黒(玄)の五つの色を「五色ごしき」としており、五色ごしきは、正色せいしきとされ、その中間の色を「間色かんじき」として、間色かんじきは正しくない色であり、聖人君主は用いる色ではないとしていました。 続きを読む

中国の五色(ごしき)。青、赤、黄、白、黒の五つの色を表す正色(せいしき)

古く中国では、青(藍)、赤(朱)、黄、白、黒(玄)の五つの色を「五色ごしき」としていました。

五色ごしきは、正色せいしきとされ、その中間の色は「間色かんじき」と呼ばれていました。

孔子こうしが、『論語』の中で、朱色しゅいろ(赤)に代わって紫色が喜ばれたことを嘆いていますが、これも正色せいしきから外れた色だからとも考えられます。
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村山大島紬(むらやまおおしまつむぎ)とは?村山大島紬の技法について

東京都の村山地方(東村山あたり)で盛んに織られていたつむぎの織物で、本場の大島紬おおしまつむぎに対してこの名前が付けられました。

関東平野の狭山丘陵地帯は、古代から大陸の半島から帰化した人々によって、養蚕ようさんや染織が行われていたと伝えられています。 続きを読む