染色における色止め


色止めとは、染料を繊維に固着させ、水洗いや洗濯における堅牢度けんろうどを高めるために行う処理(薬剤処理)のことを言います。

染色における色止め

明礬(みょうばん)で色止め

古くは、「ばん止め」言って、染色後に明礬みょうばん液を刷毛はけで生地に引くか、浸しづけし、乾燥させてから水洗いが行われていました。

これによって、染料が不溶性になり、繊維も疎水性そすいせい(水に対する親和性が低く水に溶けにくい)となり、色止め効果がありました。

ただ、明礬みょうばんの処理を絹素材にに用いた場合は、流水で十分に洗っておかないと、明礬みょうばんに含まれる硫酸イオンによって経年変化して褐変かっぺん(茶褐色に変化)し、脆化ぜいかもろく壊れやすくなる)を招く可能性があります。

酢酸アルミニウムで色止め

酢酸アルミニウムを色止めに用いると、絹素材における褐変かっぺんや、脆化ぜいかを招くという欠点はありませんが、のり付けの仕上げやしみ抜きが困難になります。

フィックス剤で色止め

フィックス剤の1%液で処理すると、水洗いに強くなりますが、日光堅牢度は、いくぶん低下するとされます。

絹を酢酸(さくさん)で色止め

絹に直接染料や酸性染料を用い、絞り染めのように短時間で染色した場合には、酢酸さくさん1%〜3%の温液に浸すと、色素の固着が促されます。

絹、ナイロンをタンニン酸と吐酒石(としゅせき)で処理

絹を塩基性染料で染め、ナイロンを酸性染料で染めた場合、最初にタンニン酸で処理し、ついで吐酒石としゅせき(酒石酸アンチモニルカリウム)で処理すると堅牢度が増します。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です