投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

糊置きに使用する型ベラの種類

型紙を使用した捺染なっせんのりを置くために使用するヘラ(型ベラ)には、いくつか種類があります。

ヘラの種類としては駒ベラと出刃ベラ(横べら)、竹ベラやゴムベラなどあります。

駒ベラは、桜やひのきの板で作られ、横長の四角形で主に関西方面で一般的に型置きに使用されてきました。

出刃ベラ(横べら)は、ひのきで作られ、出刃でば包丁の形をしており、関東で主に使われてきました。

ゴムベラはひのきの板に厚さ3ミリ程度の合成ゴムをつけたもので、紗張しゃばり型の場合に主に使用されていました。

大島紬(おおしまつむぎ)

大島紬(おおしまつむぎ)とは?大島紬の特徴と歴史について

大島紬おおしまつむぎとは、平織りされた絹織物で、つむぎという名前が付いているように、もともとは手紡ぎされた絹糸が使用されていました。

また、車輪梅しゃりんばいで染色し、泥の鉄分で媒染ばいせんすることで絹糸が染められます。

きわめて細かな絣模様が表現される点も、大島紬おおしまつむぎがその名を知らしめる理由となっていました。 続きを読む

南部紫根染(なんぶしこんぞめ)

南部紫根染(なんぶしこんぞめ)とは?

四季のうつろい、地理的、歴史的、文化的背景などさまざまな影響を受け、日本の伝統色とされている色の名前は、非常に多くの種類があります。

数々の色の中でも、藍色、紅色、紫色の3つの色は歴史や色の豊富さなど、日本人にとってとりわけ関わりが深く、日本を代表する色であったといえます。 続きを読む

からむし糸と絹糸で織った布

【染織の名著】堀切辰一(著)『襤褸達の遍歴ーこぎれ四百姿』

1987年1月21日、古民具店を経営していた堀切辰一氏が、『襤褸らんる達の遍歴』という本を出版しました。

この本は、約15年かけて全国から集めた着物やふとん地の布400枚が、4センチ×12センチに切り分けられ、貼り付けられています。

江戸から昭和初期にかけて生産された布たちの用途、材質、産地を一枚ずつ調べ、可能な限り身につけていた人から着物にまつわる話を聞き出して、解説が書かれているのです。

襤褸らんるとは、「ぼろきれ」や「ぼろ」のことを指し、使い古した布や、補修されて継ぎ接ぎだらけの布を意味しています。

堀切氏は、「ぼろ」ではなくあえて襤褸らんると呼んでいました。

なぜなら、小さな布もまだ使命を持っており、役に立たないものではないから「ぼろ」と呼ぶのはふさわしくないと考えていたためです。

古着としても歴史資料の価値がある着物を切り刻んで本に張るのには、やはり周囲の反対があったようですが、「布に込められた人生と思いは、実物の布に触れてもらわないと伝わらない」と堀切氏はあえて本に残したのです。

襤褸 

経糸がからむし糸、緯糸に絹糸で織られた布

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「助六由縁江戸桜」に登場する主人公の助六は、江戸紫のハチマキをつけている。豐原國周 画『江戸櫻』大判錦繪三枚續物(明治二十九年五月東京歌舞伎座上演)

江戸紫(えどむらさき)と京紫(きょうむらさき)

紫染は主に京都で行われていましたが、徳川吉宗とくがわよしむね(1684~1751)の奨励しょうれいなども相まって、紫草むらさきの栽培や染色が江戸でも行われるようになったといわれています。

江戸時代くらいから紫根染がおよそ東西の二つに分けられ、京都の「京紫きょうむらさき」に対して、江戸で行われた紫染は「江戸紫えどむらさき」と呼ばれました。 続きを読む

紅花と藍の重ね染め

藍で下染したぞめしてから(藍下あいした紅花べにばなで染め重ねることによって、古くから紫色が染められていました。

平安時代には、藍と紅の二種・・の藍(染料)で染めた色が「二藍ふたあい」という色名で表現されていました。

紅花と藍の重ね染め

藍染で浅葱色あさぎいろに染めてから、紅花、もしくは蘇芳すおうで染め重ねた色合いを紅藤べにふじ色と言います。

紅藤べにふじ色は、その名の通り紅色がかった藤色ふじいろで、赤みの薄い紫色に用いられます。

江戸時代の『諸色手染草しょしきてぞめくさ』(1772年)に「紅ふじ 下地をうすあさぎ(浅葱)に染。すわう(蘇芳)うすくしてめうばん(明礬)少し入二へん染。とめにむしやしやきのあく(灰汁)にて染てよし。但し本紅をつかふ時は右のごとく下染の上に紅染のごとく染てよし」というようにあります。

『染物屋覚書』(1803年頃)には、「紅ふじは白ご(呉)引。随分濃すわう(蘇芳)へかね(鉄)少しくわへ引。早立あく留め。本紅ふじはすわう(蘇芳)の二番を早付。濃すわう(蘇芳)一度引。かわかざる内に濃あく(灰汁)にて留め。直にかね(鉄)にてくるべし。色かげんはかねぐりの時見合可申候」とあります。

「あく(灰汁)」とあるのは、ひさかき椿つばきなどのアルミ成分の多い灰汁あくを使用しているものと考えられます。

関連記事:染色・草木染めにおける灰汁(あく)の効用と作り方。木灰から生まれる灰汁の成分は何か?