投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

生機(原反)加工の流れ。精錬、毛焼き、糊抜き、漂白等。P下、下晒し生地とは何か

織り機や編み機で、出来上がったばかりの生地のことを、生機きばた原反げんたんといいます。

そのまま、未加工で使用する場合もありますが、油脂ゆしや繊維のカスなどの不純物が混在していることが多いので、何かしらの加工をしてから商品として出荷されます。

倉敷帆布を織るシャトル織機の様子

倉敷帆布を織るシャトル織機の様子,Baistone, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

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染色・草木染めにおける桑染(くわぞめ)

くわは、中国において古代染料の一つとして使用され、漢方にも用いられてきました。

桑染くわぞめは、木の根皮で染めたのが最初とされ、日本には奈良時代ごろにはすでに伝えられていたようです。

衣服令えぶくりょう』には、桑染くわぞめの色がとりあげられ、灰汁媒染あくばいせんで赤味のある茶色を染めたものです。

本来の桑染くわぞめの色合いは、桑の根皮で染めた茶色であり、のちに木の皮を用いて同じような色が染められるようになったようです。

群青とウルトラマリンブルー。青い鉱物から生まれる美しい顔料について

空の青、海の青。

私たちの身の回りは青色で溢れていますが、もし自然の世界から青色を取り出そうとすると、実際に手にできる青が非常に少ないことに気がつきます。

そのため、古くから人々は青色を絵具として手にするために、お金と時間と手間をかけてきたのです。

青色の顔料として、古くから非常に有名なのが、東西問わず世界中で使われていた群青ぐんじょうと西洋で大切にされてきたウルトラマリンブルーの二種類です。
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クロム媒染とは?

天然染料および媒染ばいせん染料で染色する際に、媒染剤としてクロム塩を使用できます。

鉄や銅で媒染するより色が美しく、アルミニウムやすずを使用するより濃い色が染められるため、クロム媒染は多く使用されてきました。

木綿には塩基性クロムミョウバン、絹には塩基性塩化クロムや塩基性クロムミョウバン、羊毛(ウール)には、重クロム酸カリやギ酸などが使用されます。

クロム染料

クロム染料という言葉がありますが、クロム染料は酸性媒染染料の別称です。

酸性染料の性質を持ち、クロム塩で媒染したのち、クロム染料で染色するか、染色後にクロム塩で処理すると、レーキを形成し堅牢けんろうな染色が得られます。

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

シルク(絹)とは?シルクの性質と特徴、美しい光沢感をもつ理由について

シルクは、綿や羊毛(ウール)と違い、連続した細い繊維でできており、しなやかな感触と優雅な光沢感を持っています。

シルクを産出しなかったヨーロッパでは、シルクはシルクロードを通って遠く中国から運ばれ、同じ重さの黄金と同じ価格で取引されたと言われています。

人類は5000年以上も前から、マユを利用して糸をつくることを知っていたようですが、現代においては貴重で最高の繊維とされているシルクの特徴としては、さまざま挙げられます。 続きを読む

染色・草木染めにおける黄染(きぞめ)

黄色は、赤と青とともに三原色の一つです。

古代中国においては、一年を四季に分けて、春(青)、夏(朱)、秋(白)、冬(玄)としていましたが、時間が経つにつれ、五行説ごぎょうせつにしたがって黄色を中央に入れることになります。

つまり、夏を二つに分けて一年を五季として、春は青、夏の前半は朱、夏の後半は黄、秋は白、冬は黒(玄)の五つの色によって表すことにしたというわけです。

日本も初めは五行説ごぎょうせつの考えを取り入れましたが、奈良時代ごろには、黄色は無位無冠むいむかん(特別な地位がないこと)で一般民衆の服の色でもありました。

きんのことを黄金というのは、その色が黄であるということからきています。 続きを読む

布の触感をやわらかくし、光沢感を与えるための砧打ち(きぬたうち)

砧打ち(きぬたうち)とは、布を木槌きづちで打って感触を柔らかくし、光沢感を出すために行われます。

古くから、絹や麻布の仕上げにきぬた打ちが行われました。

布の触感をやわらかくし、光沢感を与えるための砧打ち(きぬたうち)

布を織るときには張力がかけられ、洗ったりのり付けしたりとさまざまな要素によって、布を構成する糸は細く固まって粗硬そこうな感じになります。

平らな板や石の上などに置いた布を木槌きづちで丁寧に叩いていくことによって、糸はほぐれて布目がつまるとともに柔らかくなり、光沢感も次第に表れてきます。

打布機なども作られましたが、それでもきぬた打ちには時間がかかるため、柔軟剤で仕上げなど後加工の技術の発達によってほとんど行われなくなります。

きぬた打ちは、むかし女性が夜の仕事として行い、その響く音に風情を感じて歌に詠まれます。

室町時代に成立し、世阿弥ぜあみ作といわれる能楽作品に「砧(きぬた)」という演目があり、この作品では、女主人公がきぬたを打つことが情念の表現となっています。

Youtubeには、「砧(きぬた)」の演目がアップロードされているので、興味がある方はご覧になってください。

甕覗(かめのぞき)。藍染された極めて淡い色合いである甕覗(瓶覗)

甕覗(かめのぞき)とは?藍染された極めて淡い色合いである甕覗(瓶覗)について

藍は、古くから世界各地で使用され、人々に一番愛されてきたともいえる植物染料です。

日本において、藍染された色は一番薄い藍白あいじろから、一番濃い留紺とめこんまで、「藍四十八色あいしじゅうはっしょく」と呼ばれるほど多くの色味があり、それぞれ名前がつけられていました。

それぞれの藍色に名前をつけて区別をしようと思えるほど、藍色を見る目を昔の人々が持っていた・・・・・・・・・・・・・・・ともいえます。

藍色のなかで、比較的有名なものに甕覗かめのぞき(瓶覗)という色名があります。 続きを読む

リップル加工(ripple finish)とは?シルケット加工とマーセリゼーション(mercerization)について

綿繊維は、苛性かせいソーダで処理すると収縮しゅうしゅく(縮む)する性質があります。

そこまで厚みのない平織りの綿織物に、強アルカリの苛性かせいソーダ(水酸化ナトリウム溶液)を含んだのりをプリントしたり、先に樹脂等で防染しておいてから苛性かせいソーダに浸けるかすると、苛性かせいソーダがついた部分が収縮して、その他の部分も自然な縮み方をします。 続きを読む