投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

デザインにおける臼の目小紋(うすめのこもん)

臼の目小紋(うすめのこもん)とは、型染めにおける小紋こもんの文様(模様)の一つで、うすの目状に小さい点を連ねたデザインで、臼同士が重なり合っているようなパターンがよく用いられました。

江戸時代末期の天保てんぽう(1830年〜1844年)ごろに流行し、羽織と男子の衣服に用いられました。

地色は、黒や黒茶、茶色などで、小紋こもんは白、鼠色ねずみいろ、浅黄、淡茶などで表現されました。

地色は濃色に染められ、小紋こもん部分の色は薄色に染められることが多かったようです。 続きを読む

藍の液に浮かぶ華

茄子紺(なすこん)とは?藍染された紫味をもった紺色について

藍は、古くから世界各地で使用され、人々に一番愛されてきたともいえる植物染料です。

日本において、藍染された色は一番薄い藍白あいじろから、一番濃い留紺とめこんまで、「藍四十八色あいしじゅうはっしょく」と呼ばれるほど多くの色味があり、それぞれ名前がつけられていました。

それぞれの藍色に名前をつけて区別をしようと思えるほど、藍色を見る目を昔の人々が持っていた・・・・・・・・・・・・・・・ともいえます。

藍色のなかで、やや紫味をもった紺色を表す色名として、茄子紺なすこんがあります。

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染色・草木染めにおいて、ウール(羊毛)のフェルト化を防ぐ方法

羊毛(ウール)を染色した際に素材がフェルト化して硬くなってしまうと、風合いが大きく変わってしまったり、糸を染めた場合は糸同士がくっついたりして、使い物にならなくなってしまいます。

羊毛(ウール)のフェルト化は、水分、高温と圧力、薬品などが作用することで起こる可能性があるため、それらの要素に注意して染色を行う必要があります。 続きを読む

八重鬼菊唐草文『江戸・明治藍の手染め』愛知県郷土資料刊行会

沖縄の藍型(えーがた)。藍型の種類や技法について

沖縄で行われていた藍染は、タデ藍ではなく、琉球藍りゅうきゅうあいが原料に使用されてきました。

藍染の染色技法としては、型紙を用いて模様を表現する型染めが盛んにおこなわれ、沖縄では藍型えいがた(えーがた)と呼ばれていました。

藍型えいがた(えーがた)の技法は、紅型びんがたとほとんど同じで、広い意味では紅型びんがた藍型えいがたも含まれますが、一般的には区別されます。 続きを読む

位袍(いほう)とは?

位袍いほうとは、位階いかいによって定められた色のほうを表します。

天皇は、儀式用に着用した黄櫨染こうろぜん(赤みの暗い黄褐色)や平常用としての麴塵きくじん(くすんだ黄緑色)、皇太子は黄丹おうに(赤味を帯びたオレンジ色)を着用したとされます。

臣下しんか(君主に仕える者)は三位以上が紫色、四位が深緋こきあけ(紫みの暗い赤色)、五位が浅緋あさあけ(わずかに黄味のある薄い緋色ひいろ、六位〜七位が緑、八位以下がはなだ(薄い藍色)であったようです。

10世紀ごろから、四位以上は黒、五位が蘇芳すおう、六位がはなだとなりました。

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

蚕(かいこ)の繭(まゆ)から生糸を作る場合は、糸を撚るのではなく繰る(くる)

シルク(絹)は、かいこによって作られた繊維とその製品の総称です。

シルクは、綿や羊毛(ウール)と違い、連続した細い繊維でできており、しなやかな感触と優雅な光沢感を持っています。

シルクを産出しなかったヨーロッパでは、シルクはシルクロードを通って遠く中国から運ばれ、同じ重さの黄金と同じ価格で取引されたと言われています。

人類は5000年以上も前から、かいこが作るまゆを利用して糸づくりを行っていました。

現代においても最高級の繊維とされているシルクの特徴はさまざま挙げられ、その糸づくりも綿や麻などの植物繊維とは違いがあります。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

日本における絹(シルク)の歴史。中国からシルクロードを通じて世界へ

絹(シルク)の起源は、紀元前2650年前、古代中国の神話伝説時代の8人の帝王の一人で黄帝こうていの妃である、西稜せいりょうまゆから糸をとり出すことを考え、貴人などのそばに仕える女性たちに養蚕ようさんと製糸の技術を教えたことから始まったとされています。

殷代安陽期いんだいあんようき(紀元前1200〜1050年)に出土した甲骨こうこつ文字の中に「蚕」「桑」「絹」「糸」に関する文字が見られることから、遅くとも殷王朝いんおうちょう時代の中国では、(紀元前1600年頃〜紀元前1046年まで続いた中国最古の王朝)すでに養蚕ようさんが行われていたと考えられているのです。 続きを読む

墨流し(すみながし)とは?和紙や布を墨汁(ぼくじゅう)で染める墨流しの技法や歴史について

墨汁ぼくじゅうを水面に浮かべ、波紋状はもんじょうの模様を作り、水面に和紙や布つけて模様を染めることを「墨流し(すみながし)」といいます。

福井県武生たけふ市に伝わる「越前墨流し(えちぜんすみながし)」は、800年の歴史があります。 続きを読む