投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

細密に織られた絹布である縑(かとり)

かとり」は、細かく固く織られた絹布を表します。

中国の後漢末ごろに記された『釈名しゃくみょう』には、かとり緻密ちみつさを「細緻にして水を漏らさず」と表現しています。

細密に織られた絹布である縑(かとり)

かとり」は、太い糸で織った粗末そまつな絹布を表した「あしぎぬ」の対義語となります。

『日本書紀』には、神功皇后じんぐうこうごうの時に、古代の朝鮮半島南東部にあった国家である新羅しらぎから貢がれたとあります。

魏志倭人伝ぎしわじんでん』には、三世紀初めに「絳青縑こうせいけん」を日本からの使者に贈ったことが記されています。

平安時代には、かとりは、装束に仕立てるための布に用いられていました。

かとりの組織は、後世の羽二重はぶたえに似ています。

羽二重は、羽二重経はぶたえだてといって2本引き揃えた生糸を経糸に用いています。

【参考文献】『月刊染織α1991年4月No.121』

谷崎潤一郎(著)『陰影礼賛』

陰影(いんえい)を活用した日本古来の美意識や美学。谷崎潤一郎(著)『陰影礼賛』

1933年に初版が発行された、谷崎潤一郎たにざきじゅんいちろう(1886年〜1965年)の名著『陰影礼賛いんえいらいさん』。

陰影礼賛いんえいらいさん』は、私たちが当たり前に使っている電気がなかった時代における、日本の美の感覚や芸術的な感性について論じたものです。

表題が「陰影礼賛」であるように、まさに「陰影いんえい(光の当たらない部分、かげ)」を「礼賛らいさん」(すばらしいものとしてほめたたえること)している本です。

日本人の感性や美意識、そしてデザインなどに興味がある人にとっては非常に参考になる本です。


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デザインにおける瓦当文(がとうもん)

瓦当がとうは、丸瓦まるがわらの先端に葺く鐙瓦あぶみがわらにつけた模様(文様)のある円形の部分を表します。

後には、平瓦ひらがわらの先端に葺く軒瓦のきがわらにも瓦当がとうをつけました。

デザインにおける瓦当文(がとうもん)

瓦当がとうを模様化(文様化)したものを瓦当文がとうもんといいます。

円の中に巴文ともえもん蓮華文れんげもん宝相華文ほうそうげもん同心円文どうしんえんもんなどがデザインされてきました。

デザインにおける羯磨文(かつまもん)

デザインにおける羯磨文かつまもんは、密教の法具である「羯磨金剛杵かつまこんごう」が模様化(文様化)されたものです。

デザインにおける羯磨文(かつまもん)

金剛頂経こんごうちょうぎょう』の教えを表す成身会は、大日如来の智慧ちえの世界そのものともいえる会で、単独で「金剛界曼荼羅こんごうかいまんだら」と呼ばれることもあるほど重要な会ですが、この会が「羯磨会かつまえ」や「根本会」などとも呼ばれます。

羯磨かつまは、羯磨会かつまえの際に用いるのでこの名前があります。

金剛杵こんごうしょは、もともときねの形をした武器で、両端が鋭くとがっており、密教では煩悩ぼんのうを破る法具ぶつぐとされます。

この金剛杵こんごうしょの両端に、三つのほうが付いた三鈷杵さんこしょを十字に組み合わせたのが羯磨文かつまもんです。

羯磨文かつまもんの交差した部分は、もともと半球型であったのが、のちに蓮花れんげ(ハスの花)の形となり、家紋にも用いられてきました。

日本における甲冑(かっちゅう)の移り変わりと歴史

甲冑かっちゅうとは、弓矢や刀槍とうそう(刀と槍)などによって行う戦闘に対し、身体を保護するために着用する武装を表します。

通常、胴部に着用するものを「よろい」といい、「甲」や「鎧」などの字を当てます。

頭部にかぶるものを「かぶと」といい、「冑」や「兜」の字を用います。 続きを読む

蓼藍(タデアイ)

草木染め、植物染料とは何か?語源と定義、一般的な染色方法について

「草木染め」という言葉は、日本の作家で染織家の山崎斌やまざきあきら氏(1892年〜1972年)に命名されました。

1930年(昭和5年)、化学染料が普及してきたころ、天然染料は衰退の一途をたどっていきました。

「草木染め」という言葉は、古くから伝承されてきた染色方法を復興するにあたり、化学染料と区別するために名付けられたのです。

現在、草木染めという言葉の定義は、自然から得られる染料で染色することの総称として定着しています。 続きを読む

デザインにおける片輪車文(かたわぐるまもん)

片輪車文かたわぐるまもん」は工芸模様(文様)の一つとして、デザインに用いられてきました。

王朝貴族の乗り物であった牛車の車輪は木製で、乾燥すると割れてしまうため、使用しない時は川の流れの中に浸しておくことがありました。

その情景を図案化したものが、片輪車文かたわぐるまもんです。 続きを読む

デザインにおける風・風文(かぜもん)

形のない風を模様化(文様化もんようか)したものは少なく、古代中国では風神や風のシンボルとされる想像上の鳥であるおおとり、雨とのつながりなどでデザインに表現されてきました。

デザインにおける風・風文(かぜもん)

風そのものを形にしたものには、細長いささの葉のような三角形の一群を横に飛ばしたような模様(文様)があります。

日本においては、風は揺れ動く物体や空に飛ぶ雲などで表現されてきました。