投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

再生繊維であるキュプラ(cupro)とは?キュプラの特徴やメリット、デメリットについて

キュプラ(cupro)という繊維は、「レーヨン」と同じくセルロースを原料とします。

キュプラの原料は、レーヨンが用いている木材パルプではなく、綿花を採取した後の種子の表面に付いて残っている2mm〜6mmほどの短い繊維で、紡績ぼうせき用には向かないコットンリンター(cotton linter)です。

コットンリンター(cotton linter)を溶かしてから固めて、繊維の状態にします。 続きを読む

木材パルプと非木材パルプ。木材から作られる繊維、レーヨン、アセテート、トリアセテートについて

木材パルプは、紙の原料として主に使用され、木の幹の樹皮を取り除き、そのままチップ化したものに、機械的、科学的、あるいは複合的な処理をしてつくられます。

原料の木材は、針葉樹と広葉樹共に使われますが、針葉樹のパルプは繊維が長く丈夫であるのに対して、広葉樹は繊維が短くきめ細かいパルプができるという特徴があります。

海外では、えぞ松などロシアのシベリア地方で産出される北洋材の針葉樹が多く使用されていますが、国産材ではブナやナラなどの広葉樹が主体になっています。

木材の組成は、原木の種類によって大きく変わってきますが、おおよそセルロース分が約50%、リグニンが約25%、ヘミセルロース約23%、樹脂・その他が約2%からなっています。 続きを読む

平織りされた麻織物であるキャンブリック・カンブリック(cambric)生地

キャンブリックcambric(カンブリック)と呼ばれる生地は、本来は細番手の亜麻あま(リネン)糸を用いた緻密な平織物で、ベルギーとの国境に近いフランスの「カンブレー(cambrai)」という町で作られたものを言いました。

カンブレー(cambrai)は、フランドル(英名:フランダース)地方の一部として11世紀ごろから麻織物や毛織物などの織物工業が盛んでした。

現在は、オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)に属するこの町は、「シャンブレー(chambray)」の発祥の町でもあります。

シャンブレーとは、経糸を色糸、緯糸には白系の糸(晒糸晒糸さらしいと)を使用する生地で、綿またはリネンの先染め織物です。

イギリスでは、カンブレーで生産された麻織物に似せて、綿織物の裏にだけのりを付け、つや出し機(カレンダー)で「艶出し加工(カレンダーフィニッシュ)」を施したものを大量生産したため、もっぱらそれをキャンブリック(カンブリック)と言いました。

のり付けと艶出し加工を合わせて、「キャンブリック仕上げ(キャンブリックフィニッシュ)」と言われました。

かつては主にワイシャツにキャンブリック(カンブリック)の生地が用いられていましたが、現在では雑多な用途に用いられています。

ファッション・服飾におけるギャザー(gather)の意味や特徴とは?

英語のギャザー(gather)という意味には、①拾い集める、引き寄せる、抱き寄せる②蓄積する、貯める③寄り集まる④収穫する⑤選び出すなどの意味があります。

語源は、印欧祖語いんおうそご(インド・ヨーロッパ語族の諸言語の共通の祖先とされる理論上の言語)の「ghedh=1つにする、合体させる」で、古ゲルマン語などを経由して、古英語時代に「集める、集まる」という意味になっています。

ファッション・服飾におけるギャザー(gather)という用語は、布の一端をゆるく縫い、その縫糸を一方に引っ張って布端を寄せる(縮める)ことを表します。

あるいは、一方の布に他の布を縫い付ける際に、一方の布を掻き集めるように寄せ縮めて縫い付け、布に無数に並ぶ不規則な小さなヒダ(シワ)を生じさせているものを言います。 続きを読む

キモノスリーブ(kimono sleeve)とは何か?キモノスリーブの特徴について

スリーブ(sleeve)は、日本語ではそでにあたる部分です。

キモノスリーブ(kimono sleeve)とは、その名前の通りですが、日本の着物からインスパイアを受けて、ヨーロッパで表現された袖の形です。

キモノスリーブに対する解釈は、その言葉の発生から現在に至るまでに、変わってきている点もあるようです。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

絹(シルク)をこすり合わせた時に出る音「絹鳴り(きぬなり)」

絹(シルク)をすり合わせた時や、絹でできたおびを手や指でこすったりした時に出る音を「絹鳴り(きぬなり)」と言います。

一般的には、毛羽がほとんどない長繊維(フィラメント)の織物は、すり合わせると音が発生しやすいです。

特に絹糸は、単糸たんしの断面が三角形であるため、より高い音が出ます。 続きを読む

オーガンジー加工とは? Organdie finish

オーガンジー(organdy、organdie)とは、経糸、緯糸に細糸を使用した平織などの、透け感のある硬めの薄地織物です。

オーガンジーという言葉の由来ははっきりしていませんが、ウズベキスタンの古都「ウルゲンチ(Urgench)にちなむとされます。

オーガンジー加工(Organdie finish)は、もともとは綿織物の用いられてきましたが、レーヨン、シルク、アセテート、ナイロン、ポリエステル繊維にも使用されます。 続きを読む

ファッション・服飾におけるカンガルーポケット(kangaroo pocket)

カンガルーポケット(kangaroo pocket)とは、衣服の前面中心に貼り付けた、カンガルーのお腹にある子袋に似ていて、出し入れ口が上部にあるものをポケット(パッチポケット)を表します。

ホームドレス(日常使いのワンピース)のスカート部分にカンガルーポケットがついた「カンガルードレス(kangaroo dress)」や、オーバーオールの胸当て部分などに用いられたりします。

パーカー(フーディー)においては、左右に出し入れ口がある形のポケットがよくついています。

この形のものはカンガルーポケットというよりも、両手を左右から差し込んで手を暖める「ハンドウォーマーポケット」や、手を暖めるために携帯用の筒状服飾小道具の「マフ」にちなんで、「マフポケット」といったようが適切な場合があります。

茜染め(絞り)

染色・草木染めでムラなく染める方法。染めムラになる可能性を低くするポイントについて

染色や染料を煮出して染める草木染めにおいては、染めムラが発生する要素はさまざまです。

いわゆる手染めであれば、どうしてもムラは出てしまうことがありますが、染めムラになる可能性を低くするポイントをいくつか挙げることができます。

染めムラが起こり得る原因を知り、細心の注意を払うことによって、良い染め上がりが期待できるのです。 続きを読む