投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

染色に使用される赤色の顔料であるベンガラ(弁柄/紅殻)について

天然に出る赤色の土は、世界中のいたるところで見られます。

日本においては、水稲農耕すいとうこうさくが始まる弥生時代やよいじだい(紀元前10世紀頃〜紀元後3世紀中頃)以前に用いられた顔料は基本的には赤と黒の2色で、赤は赤土あかつち(せきど)が使用されていたと考えられます。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

蚕(かいこ)の繭(まゆ)から生糸を作る場合は、糸を撚るのではなく繰る(くる)

シルク(絹)は、かいこによって作られた繊維とその製品の総称です。

シルクは、綿や羊毛(ウール)と違い、連続した細い繊維でできており、しなやかな感触と優雅な光沢感を持っています。

シルクを産出しなかったヨーロッパでは、シルクはシルクロードを通って遠く中国から運ばれ、同じ重さの黄金と同じ価格で取引されたと言われています。

人類は5000年以上も前から、かいこが作るまゆを利用して糸づくりを行っていました。

現代においても最高級の繊維とされているシルクの特徴はさまざま挙げられ、その糸づくりも綿や麻などの植物繊維とは違いがあります。 続きを読む

蚕(かいこ)の繭(まゆ)。絹糸(シルク糸)の原料

日本における絹(シルク)の歴史。中国からシルクロードを通じて世界へ

絹(シルク)の起源は、紀元前2650年前、古代中国の神話伝説時代の8人の帝王の一人で黄帝こうていの妃である、西稜せいりょうまゆから糸をとり出すことを考え、貴人などのそばに仕える女性たちに養蚕ようさんと製糸の技術を教えたことから始まったとされています。

殷代安陽期いんだいあんようき(紀元前1200〜1050年)に出土した甲骨こうこつ文字の中に「蚕」「桑」「絹」「糸」に関する文字が見られることから、遅くとも殷王朝いんおうちょう時代の中国では、(紀元前1600年頃〜紀元前1046年まで続いた中国最古の王朝)すでに養蚕ようさんが行われていたと考えられているのです。 続きを読む

墨流し(すみながし)とは?和紙や布を墨汁(ぼくじゅう)で染める墨流しの技法や歴史について

墨汁ぼくじゅうを水面に浮かべ、波紋状はもんじょうの模様を作り、水面に和紙や布つけて模様を染めることを「墨流し(すみながし)」といいます。

福井県武生たけふ市に伝わる「越前墨流し(えちぜんすみながし)」は、800年の歴史があります。 続きを読む

楊梅(やまもも)で染めた色合いの一例

染色・草木染めにおける楊梅(やまもも)。薬用効果や歴史について

やまももは、漢字で楊梅やまももと書き、中国や日本を原産とするヤマモモ科の常緑広葉樹です。

徳島県では、「県の木」に指定されており、高知県では「県の花」になっています。

草木染めにも使用される楊梅やまももについて、薬用効果や歴史を踏まえながら紹介します。 続きを読む

「毛織(混織)の軍服(陸軍)のハギレ」堀切辰一(著)『襤褸達の遍歴ーこぎれ四百姿』

国防色(こくぼうしょく)としてのカーキ(khaki)。軍服における色の歴史について

「カーキ」は、軍服の色としては一般的です。

「褐色」「茶褐色」「黄褐色」「枯れ草色」「ベージュ」「ブラウン」などが「カーキ」と括られることもあり、その色合いにはさまざまなものがあります。

カーキ(khaki)の語源はペルシャ語で、インドのヒンディー語に入った「khak=埃」から「khaki=土埃」となってイギリスに伝わり、「khaki=土埃」は、乾いた土地の色(大地の色)を表しました。

世界中で使用される軍服のほとんどはカーキであり、日本軍にカーキの軍服が採用されたのにも理由があります。 続きを読む

蓼藍(タデアイ)

阿波25万石、藍50万石。徳島(阿波)におけて藍栽培が盛んだった理由と藍の栽培が禁止になった理由について

現在の徳島県では、鎌倉時代ごろから藍作の歴史が始まったとされます。

徳島藩が阿波北方あわきたがたと言われた吉野川下流域の農村で生産された「藍」からあがる莫大な租税で、近世を通じて「富裕藩」と言われ、多くの諸藩から羨望されていたことが知られています。

徳島において藍の栽培が盛んになった理由を、いくつか挙げることができます。 続きを読む

絵絣(えがすり)松竹梅文

絵絣(えがすり)とは?絵絣の特徴や起源について

絵絣えがすりとは、緯糸によって絵模様(文様もんよう)を織り出した絣織の一種です。

出雲広瀬、弓ヶ浜、倉吉くらよし久留米などが、絵絣えがすりの産地として知られていました。

絵絣えがすり」という名前自体は、昭和7年(1932年)〜昭和10年(1935年)ごろに、柳宗悦やなぎむねよしを中心に集まった初期民芸運動の人々の間で生まれ、定着していったと考えられます。 続きを読む

井桁絣(いげたがすり),型染と併用した経緯絣

絣(かすり)模様の種類。紺絣(こんがすり)と白絣(しろがすり)の違いについて

江戸時代後期から明治、大正、昭和の時代にかけて、庶民の間でとりわけ親しまれた織物にかすりがあります。

かすりとは、経糸か緯糸のどちらか、あるいは経糸と緯糸の一定部分を、糸や布などで括ったり木の板で挟むことによって防染して染めた糸を使用し、織り模様(文様)を表現したものです。

織物の組織としては、絣は平織りと繻子織りしゅすおりにみられます。 続きを読む