ウールは日光に当たったり、酸化によって、次第に黄色味を帯びてきます。
もちろん黄ばみに関しては、ウールだけではなく、コットンやシルク、ナイロンやポリエステルなどさまざまな繊維に対して発生します。
目次
ウールの黄ばみの原因
ウールは、グルタミン酸、アルギニン、シスチン、セリンなど18種類のアミノ酸成分からなる「ケラチン」と呼ばれる繊維状のタンパク質でできています。
ケラチンは、らせん状に曲がった形をしており、分子間や分子内には、多くのシスチン結合(分子が橋を架けたような形で結びついて、ひとつに結合する)があり、物理的にも化学的性質にも大きな役割を果たしています。
シスチン結合によってらせん状に縮れる羊毛の特徴があらわれ、この縮れによって空気を含むことができ、ウールのあたたかさをもたらしています。
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ウールの黄ばみの原因としては、ウールのシスチン結合、アミノ基を含むチロシンなどが、酸化や光などの影響によって化学変化を起こすが原因の一つとされています。
黄ばんでしまったウールの洗濯方法
コットンやリネンなどの素材に比べると、黄ばんできたウール製品を家庭で洗濯して直すのはむずかしく、シミ抜きや漂白で白くなるかはやってみないとわからない点があります。
難しそうなものであれば、洗いのプロであるクリーニング屋にまず相談してみるのが良いでしょう。
自宅で洗いをかける場合、ウールは水洗いできない素材もあるため、まず最初に洗濯表示をチェックし、やってはいけない洗濯方法を必ず確認しておきます。
経年変化とはいえ、黄ばんでしまったウール素材を洗濯する場合の洗濯方法としては、まず、洗剤はエマールなどのおしゃれ着用の中性洗剤を用意します。
おしゃれ着用の中性洗剤は、ウールやシルクなどのデリケートな素材を、ダメージをできる限り与えることなく洗うために、よく使用される洗剤です。
漂白剤は、液体タイプの酸素系漂白剤を使用することをおすすめします。
粉末の酸素系漂白剤は、ウールやシルクには基本的に使用できないので、注意しましょう。
冷たい水を使うより、ぬるま湯で使うほうが効果が早くでます。
洗濯表示に40と書いてある場合は40度以下、30と書いてある場合は30度以下のぬるま湯や水を準備し、おしゃれ着用の中性洗剤と液体タイプの酸素系漂白剤を、パッケージの表示通りに溶かして洗濯液を作ります。
おしゃれ着洗いコースがあればそのコースを使用し、伸びやすい素材であれば、ある程度時間つけ置きしてから、やさしく手洗いするのが良いでしょう。
購入後に黄ばみをできる限り防止する
ウール素材に限らず、絶対に黄ばみを防止することは、天然の素材であればまず不可能です。
黄ばませたくないのであれば、製品を購入後にできる限り気をつけるしかありません。
主に酸化と光の影響によって変色するため、まず保管方法はきちんとするべきです。
ウール製品を長期間保管する場合は、乾燥剤は必ずいれ、カビ、虫から衣類を守るために防虫剤も入れる方が良いでしょう。
ものによっては、真空にできる袋に入れるという選択肢も必要です。
汚れたまま保管すると黄ばみや虫食いの原因になるので、しっかりときれいに洗濯してから保管しましょう。
また、湿気は黄ばみの原因になるので、洗濯したあとは完璧に乾かしてから保管することが大事です。
カビを防ぐ
カビは20C°〜30C°の間の温度と、高湿度の状態で発生しやすいです。
例えば、湿った状態で使う布などにはよく発生しやすいですし、梅雨の時期にカビが発生しやすいのは、発生しやすい環境が整っているからです。
カビは、衛生学では真菌類といい、植物界に属して胞子をつくるので、熱や化学物質に対しては、一般的な最近よりも抵抗性が強いです。
カビを防ぐために個人でできることとしては、保管方法を乾燥剤、防虫剤を入れ、高温・高湿度の状況を避けるなど対策が考えられます。
製品になる前に黄ばみを防ぐ方法
個人ではできませんが、ウールが素材の段階で処理することで、黄変防止に効果的な方法があります。
・ポバール、CMCのり、アルギン酸ソーダなどの糊料を使った糊付け法
・ホルムアルデヒドによる樹脂加工
・エチレンチオ尿素、メチロール化チオ尿素などを使用する