『魏志倭人伝』は、中国の三国時代についての歴史書です。
『魏志倭人伝』とは、中国の歴史書『三国志』に収められた『魏書』うちの「東夷伝」の項の「倭人」の条にあたる部分のことを通称しています。
「東夷伝」とは、中国の歴史書の中で、中国の東方に住んでいる諸民族について書かれた記述のことです。
3世紀初頭に「倭国の女王」と称された卑弥呼が、中国の三国時代に華北を支配した王朝であった魏への贈りものとして、染織品も挙げられているため、弥生時代にはすでにある程度の染織技術があったと考えられます。
『魏志倭人伝』に記載される倭国の染織について
『魏志倭人伝』に記載される、倭国における染織の状況については、「禾稲・紵麻を植え、蚕桑緝績し、細紵・縑緜を出す」というような内容が記されています。
倭国から魏への献上品には、斑布・倭錦・絳青縑・緜衣・帛布・異文雑錦などが挙げられています。
献上品として用いられていたため、上記の染織品が当時の倭国における代表的なものであったと考えられます。
魏の国から倭国に対する賜物としては青地龍文錦や赤地フェルト、紺地句文錦が記されています。
染織における風俗に関しては、「男子は皆露紒し、木緜を以って頭に招り、其の衣は横幅、但結束して相連ね、略縫うこと無し。婦人は被髪屈紒し、衣を作るは単被の如く、其の中央を穿ち、頭を貫いて之を衣る」というようにあり、布の中央に穴を開け、その穴に頭を通して着る原始的な形の衣服である「貫頭衣」の使用についても記されています。