「金よりも価値がある繊維」ともいわれるビキューナ(Vicuna)とは、南米のアンデス山脈に生息しているビクーニャ(Vicugna)からとれる「毛」またはそれを用いた織物を表します。
ビクーニャ(Vicugna)とは、ペルー、アルゼンチン、ボリビア、チリ北部、エクアドルなどの標高約3800m以上のアンデス山脈に生息しています。
ラクダ、アルパカ、リャマと近縁のラクダ科の小さな動物で、すべてのラクダ科動物の繊維と比較しても、良質な獣毛繊維が採れます。
「金よりも価値がある」超高級繊維ビキューナ(Vicuna)
ビクーニャの繊維は世界で最も細いもののひとつであることから、珍重されてきました。
ビキューナの毛は稀少価値があり、あらゆる毛の製品のなかで感触、風合い、光沢などにおいて最上級の評価をされており、「幻の超高級繊維」とされています。
なぜ「幻」なのかというと、ビクーニャ一体から穫れるビキューナは200g〜300g程度で、毛が生え変わるのに長い年月を要するため、その繊維の希少性が高いのです。
また、ビキューナの繊維の需要が増加しビクーニャの乱獲が行われた結果、20世紀半ばには、ビクーニャは絶滅の危機に瀕するほどでした。
その後、ビキューナの採取には厳しいルールが設けられたり、保全対策を地域のコミュニティが遵守した結果、現在ではビクーニャ繊維が持続的に利用可能になりました。
ビキューナ繊維の特徴
アンデス山脈の空気が希薄な高原に生息するビクーニャには、厳しい寒さの冬と夏の暑さを生き抜くために、優れた保温性を備えた体毛が生えています。
金色に輝くビキューナ繊維の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 黄金色で光沢感がある
- 他の動物性繊維と比較しても毛が細い
- 優れた保温性がある
- 肌触りが柔らかくなめらか
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下記のYoutube動画を見ると、ボリビアでビクーニャ(Vicugna)の繊維を採る人々と、産地の現状について知ることができます。