カットソー(cut and sewn)とは?カット・アンド・ソーンの意味や由来、特徴について


カットソーとは、カット・アンド・ソーン(cut and sewn)を略したもので、英語の「Cut(裁断)」と「Sewn(裁縫)」を合わせた日本独自の和製英語です。

カットソーという名の通り、「編み物生地を切って縫い合わせた服」を表します。

カットソー(cut and sewn)の意味や由来

カットソー(cut and sewn)を文字通り、「裁断して縫い合わせた衣服」とすると、ほとんどの衣服が該当します。

そのため、「カットソー」といった場合には、編み物(ニット)生地を使用して縫製されたものに限定して用いられます。

ニット素材に限定して用いられたのには、ニット製品の歴史が関係しています。

ヨーロッパにおいて、15世紀ごろから盛んになった編み物(ニット)製品は、1着分ずつ編み上げる(完全成型)「フルファッション/フルファッショニング(full-fashion)」でした。

フルファッションの対義語としてのカットソー

フルファッション(full-fashion)とは、最初から立体的に成型編みして製作され、人の体に合うように、編み目を増やしたり、減らしたりして編み上げた製品を表します。

靴下や手袋、ストッキングなどが脚や足の曲線にピッタリと合うように成型されました。

成型編みされたニット製品に対して、平面的に編んだニット生地を裁断、縫製して衣服を作るという技法が後に生まれます。

フルファッションの対義語として、(cut and sewn)がニット縫製品の専門用語となり、織物製(布帛ふはく)の縫製品には、カットソーという言葉は使用しないのです。

ちなみに、カットソー(カット・アンド・ソーン)という言葉が定着したのは、1960年代ごろとされます。

織物(布帛)と比較したカットソー(ニット製品)の特徴

織物(布帛ふはく)の製品と比較したカットソー(ニット製品)の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

①伸縮性が高い

ループが連続してつながっているので、外から力を加えると簡単に伸びます。

経編は緯編ほど伸縮性はなく、織物と編み物の中間くらいなイメージです。

②糸と糸の隙間が大きい

ループが立体的に組み合わさっているので、糸と糸の間の隙間が織物に比べるとはるかに大きく、多いです。

多くの隙間があることを「多孔性たこうせいがある」といいますが、隙間があるということは、それだけ含まれる空気の量が多く、保湿性や素材の軽さにつながります。

③柔軟性がある

ニットは、織物に比べると非常に柔軟性があり、ドレープ性に優れています。

ドレープ(drape)とは、「(衣類、掛け布などを)優美にまとう」という意味で、衣類を着用することよって自然にできる布のたるみやひだのことを、「ドレープ性が優れる」などといったりします。

④成形が可能なものがある

緯編では、編み地を増やしたり減らしたりして生地幅を変えたり、くっつけたりできます。

そのため、靴下やセーターなど、ほとんど最終的な完成形に近い形に編み上げてから、あとで部分縫製できるのです。

⑤ほつれやすく、型くずれしやすい

緯糸は一部分が切れてしまうと、ループが縦方向にほつれていきます。

タイツをイメージするとわかりやすく、いわゆる「伝線」がしやすいですが、経編の場合は、その心配はありません。

また、型くずれしやすいというのも特徴的です。

特に、緯編の場合はループが自由な状態で組織されているため、外部の力によって形がくずれます。

ニットをハンガーにかけていたら、布が伸びたなどとということはよくあることです。

⑥縫製、裁断、仕上げが難しい

織物に比べると、縫製、裁断、仕上げが難しい点も、ニットを扱っているお店にとっては、悩ましい点です。

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