シルク(絹)繊維の性質と構造、美しい光沢感が生まれる理由。


シルクは、綿や羊毛と違い連続した細い繊維でできていて、しなやかな感触と優雅な光沢感を持っています。

シルクを産出しなかったヨーロッパでは、シルクはシルクロードを通って遠く中国から運ばれ、同じ重さの黄金と同じ価格で取引されたと言われています。

人類は5000年以上も前から、マユを利用して糸をつくることを知っていたようですが、現代においては貴重で最高の繊維とされているシルクの特徴としては、さまざま挙げられます。

シルクとは

シルク(絹)は、蚕(かいこ)によって作られた繊維とその製品の総称です。

生糸(きいと)、繭糸(まゆいと)、玉糸(たまいと)、副蚕糸(ふくさんし)、撚糸(ねんし)、練り糸、絹紡糸(けんぼうし)、つむぎ糸、真綿(まわた)という呼び名や、これらから作られる織物や編み物などすべてが含まれます。

まゆから糸を紡いだそのままのもの生糸と呼ばれ光沢感が鈍く、手触りがやや硬めです。

練り糸などと呼ばれるのは、精錬された絹であり、精錬されたものは透明感と美しい光沢を持ち、しなやかで肌触りが良くなります。

シルクといえば、光沢感

シルクの繊維の特徴として、やはりその光沢感と言えます。

光沢感がある理由としては2つあり、表面がなめらかな状態になっていること、繊維の断面の形がほぼ三角形であることが挙げられます。

シルクらしい独特の光沢感は、シルクの繊維が外から入ってきた光をプリズムと同じような働きによって、繊維内部で変化させて光を放出するためにおこります。

※プリズム (prism)とは、ガラスやプラスチックなどの透明な物質でできた三角柱のことを主に表します。1676年、アイザックニュートンは、三角形のプリズムを使用して、白い太陽光線をさまざまな色に分散しました。

動物性タンパク質でできているため、多くの性質がうまれる

絹の繊維は天然繊維の中でもっとも細く、一頭のカイコがつくった繭(まゆ)の糸は約1,200〜1,500mほどになります。

カイコがつくり出す繭(まゆ)は動物性タンパク質でできているために、多くの性質が生まれます。

・シルクの繊維がこすれ合うときにロイヤル・サウンド(絹鳴り(きぬなり))が発生する

・天然繊維のなかで随一の細さで、繊維や糸の太さ(繊度)が0.9〜2.8デニール

・繊維の引っ張り強さは強く耐久性があり、繊維が伸びたものが戻りやすく、衣類や生地が洗濯や着用によって変化しづらい

・自然にできる布のたるみが、波打つように美しいひだを描き、ドレープ性に優れている

・水分を適度に吸収するが放湿速度も比較的早いため、布地がべたつきにくく、肌触りがなめらか

・生地が薄い割には、保温性が高く、羊毛に次ぐ湿潤熱が発生する

・多くの繊維と比較すると染色性が非常に良い

・日光の紫外線に弱いため、黄色に変色したり他の繊維に比べると脆くなりやすい傾向がある

・カビにくいが、防虫性に劣り、虫に食われやすいのでタンスなどでの保管管理には注意が必要

・酸に対しては綿よりも強いが羊毛より弱い

・アルカリに対しては羊毛より若干強い

シルクのセリシン

生糸を構成している一本の繊維は、2種のタンパク質からなります。

カイコの体内にある左右の絹糸腺からつくられた2本のフィブロインタンパク質が、ニカワ質のセリシンタンパク質に包まれた形になっています。

生糸を藁灰の灰汁などのアルカリ液で精錬すると、全体の20%〜30%を占めるセリシンがほとんど溶けて除かれ、フィブロインだけが残ります。

セリシンをどのように落とすかによって、織物の風合いが変わってきます。例えば、セリシンを残したままの生糸で織物にしてから精錬すると、セリシンが溶けたことにってできた空間によって絹織物特有の柔らかい風合いが生まれるのです。

シルク繊維の成分

絹繊維は、グリシン38%アラニン22%セリン15%チロシン9%のほか、ロイシン、フェニルアラニン、アルギニン、バリンなど21種類のアミノ成分から構成されています。

野蚕と総称される天蚕(さんさん)、柞蚕(さくさん)、エリ蚕など、家蚕から作った絹と比べると、アミノ酸組成が異なるため、糸の性質もそれぞれ異なります。

関連記事:野蚕シルクの種類と特徴、家蚕シルクとの違いについて。

野蚕糸は繊維の中に無数の細かい隙間があるため、引っ張った時の伸縮性に富むのが特徴的です。

参考文献:『21世紀へ、繊維がおもしろい』


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