色合いにおける麹塵は、青色の一種で、中国では古く『周礼』にその名前がみられます。
『周礼』は、儒教経典(十三経)の一つで、『礼記』『儀礼』とともに「三礼」を構成する書物です。
『周礼』は、紀元前11世紀に周公旦(中国の周王朝最初の王である武王の弟)が作ったとも、前漢代の学者である劉歆が作ったともされます。
色合いにおける麹塵(きくじん)
日本においては、中国文化の影響を受け、麹塵の袍(貴族階級で用いられた衣服の一種)は、天皇が着用するもので、一般臣下(君主に仕える者)の着用は禁じられていました。
そしてその模様(文様)は、中国の伝説にちなんだデザインである桐竹鳳凰文と定まっていました。
下賜(高貴な人が身分の低い人に物を与えること)されるものは、尾長鳥と唐草文がありましたが、ほとんどが無地だったとされます。
平安時代にまとめられた三代格式の一つである『延喜式』には、麹塵の染色方法が記載されており、「青白橡綾一疋。苅安草大九十六斤。紫草六斤。灰三石。薪八百四十斤」との記載があります。
江戸時代後期の有職故実書である『貞丈雑記』には、麹塵の色合いについて、「萌黄の黄がちな色」とあります。