蚊帳は、蚊屋とも表記し、夏に蚊を防ぐために麻や木綿で作った寝床を覆うものです。
蚊帳・蚊屋(かや)とは
蚊帳は、古くは『日本書紀』(720年)や平安時代にまとめられた三代格式の一つである『延喜式』にその名があり、中世にはかなり使われていたようです。
日本における蚊帳の生産は奈良で始まったとされ、天正年間(1573年〜1592年)には現在の滋賀県の近江八幡でも生産され始めたようです。
八幡蚊帳として売り出されたものは、安価で品質も良く、実用的だったため全国的にも販路を広げ、江戸時代には蚊帳仲間も結成されたようです。
領主の公認を受けて、享保・元文(1716年〜1741年)頃に、最盛期を迎えていたとされ、五百駄(22500疋)以上も生産されていたようです。
八幡蚊帳の技法は、17世紀後半ごろには長浜にも伝わり、「浜蚊帳」として発達していきました。
蚊帳の形状ですが、江戸時代後期には、ほぼ現在でいうところの蚊帳の形となったようです。
蚊帳の素材と染色
蚊帳に使用される材料は、本麻のみ・平麻(麻と木綿)・木綿のみが多く用いられてきました。
蚊帳の染色には、藍で染められた水色、柿渋で染められた茶色、色は黄緑色系統の色である萌黄、苅安(刈安)と藍染を併用した緑などの色が染められていました。
竹や針金などを骨組みにして、子供用の小さな蚊帳である母衣蚊帳も作られました。
【参考文献】『草人木書苑 染織大辞典2』