デザイン」カテゴリーアーカイブ

鳥襷文(とりだすきもん)『文様織文図絵』文化12年(1815年)出版,彩色木版

デザインにおける鳥襷文(とりだすきもん)

日本画の題材は、古くから花鳥風月が中心となり、染織品の模様(文様)にも花や鳥をテーマにした作品が多く作られてきました。

鳳凰ほうおう朱雀すざくのような架空の瑞鳥ずいちょう(吉兆とされる鳥)から、鶴や鷹、うずらさぎ千鳥ちどり鴛鴦おしどりなど実在するさまざまな種類の鳥が「鳥文とりもん」として描かれてきました。 続きを読む

デザインにおける菖蒲(しょうぶ)・菖蒲文(しょうぶもん)

デザインにおける菖蒲文(しょうぶもん)・菖蒲革(しょうぶがわ)について

菖蒲しょうぶは、江戸時代には品種改良が始まっていたというくらい、古くから日本で愛されてきた花です。

音が「勝武」や「尚武(武を尚ぶ)」に通じることから、菖蒲を文様化した菖蒲文しょうぶもんが武人に好まれて用いられました。 続きを読む

8世紀「浅緑地花卉鳥獣文錦」正倉院蔵

正倉院裂(しょうそういんぎれ)とは?正倉院宝物として保存されている裂(布きれ)について

正倉院裂しょうそういんぎれとは、正倉院宝物しょうそういんほうもつとして保存されているきれ(布きれ)のことです。

正倉院裂しょうそういんぎれには、奈良時代の天平勝宝てんぴょうしょうほう年間(749年〜757年)に行われた東大寺大仏開眼供養だいぶつかいげんくように用いられた裂や聖武天皇(701年〜756年)にゆかりのあった裂などがあります。

その大部分は絹と麻でできた織物で、他には羊毛(ウール)を熱や圧力をかけて縮めた毛氈もうせんがあります。 続きを読む

伊勢型紙に彫られた竹文(たけもん)

デザインにおける竹・竹文(たけもん)

竹は中国で古くから愛でられてきた植物の一つで、松や梅とともに歳寒三友さいかんのさんゆうとして古くから中国で讃えられてきました。

歳寒三友さいかんのさんゆうとは、竹、松、梅を表す言葉で、冬の厳しい寒さの中でも力強く美しい様を見せることから、画題(絵画のテーマ)として用いられてきました。

中国から文化が伝わり、日本で竹、松、梅が画題とされるのは平安時代ごろからと考えられ、一般庶民に盛んに用いられるようになるのは江戸時代からです。

現代でも松竹梅は、吉祥きっしょう(縁起が良い)を一番象徴する模様と言っても良いほどの立ち位置となっています。 続きを読む

「小袖 白黒紅染分綸子地熨斗藤模様」慶長小袖(けちょうこどで)地無し

模様染めのデザインにおける地無(じなし)

模様染めにおいて、「地無じなし」という言葉があります。

小袖こそでの全面に細やかな刺繍ししゅう鹿子絞かのこしり、摺箔すりはくなどの技法を用いて、単独、もしくは併用して地の部分が見えないほど一面に文様(模様)表現されたものを「地無じなし」と呼びました。

小袖こそでは、現在の「きもの」の原型にあたるもので、その名の通り袖口が狭く詰まった仕立てになっています。
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桐竹鳳凰文(きりたけほうおうもん),鳳凰がデザインされた

デザインにおける桐竹鳳凰文(きりたけほうおうもん)

桐竹鳳凰文きりたけほうおうもんは、有職文様ゆうそくもんようの一つで、洲浜に生い立つきりに飛翔する鳳凰ほうおうがデザインされた模様(文様)です。

有職文様ゆうそくもんようとは、平安時代以降の公家社会において装束や調度、輿車よしゃ、建築などに用いられた伝統的な模様(文様)です。

鳳凰ほうおう(Chinese phoenix)は、中国統治した五帝の最初の聖帝とされる黄帝こうていが、南苑なんえんで祭りをしたときに現れたとされる幻獣です。 続きを読む

瓢箪文(ひょうたんもん)

デザインにおける瓢箪文(ひょうたんもん)

瓢箪ひょうたんは、古くから実用品として水や酒を入れる容器として用いられてきました。

瓢箪ひょうたんは末広がりの形状をしているため、縁起が良いものとされ、独特のくびれた実の形のおもしろさから、「瓢箪文ひょうたんもん」として古くから文様(模様)表現としても人々に親しまれてきました。
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桐竹鳳凰文(きりたけほうおうもん),鳳凰がデザインされた

デザインにおける幻獣(げんじゅう)。ペガサス、ケンタウロス、鳳凰(ほうおう)について

実際に存在はしないが幻とされる幻獣げんじゅうは、世界中で古くから人々の希望や願望をのせたものとして作り出されてきました。

ペガサスやケンタウロスなど日本人でも聞いたことがあるでしょうし、中国では鳳凰ほうおうなどが見て取れます。 続きを読む

葡萄唐草(ぶどうからくさ)がデザインされた伊勢型紙

デザインにおける葡萄唐草(ぶどうからくさ)

葡萄ぶどう(ブドウ)は、乾燥した土地でも育ち、ワインの原料にもなるため、人類にとって日常生活に欠かせない果物として扱われてきました。

紀元前1425年ごろに製作された、エジプト第18王朝時代の「ブドウ摘み」と題する壁画があります。

二人の男がブドウ棚からブドウを摘んでいる図で、この頃にはすでに栽培が農作業として行われていたことがわかります。

ぶどう(葡萄),Edle Weinrebe, 'Vitis vinifera' subsp. 'vinifera

ぶどう(葡萄),eflon (Alex from Ithaca, NY), CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons,Link

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錐彫りされた伊勢型紙を使用して染められた松葉文(まつばもん)

デザインにおける松文(まつもん)。松毬文、松皮菱文、松葉文、老松文、若松文について

中国では古くから松は風雪に耐え、極寒にも常緑を保つ節操高いものとされ、神仙思想しんせんしそう(不老不死の神仙となって神仙の住まう理想世界に住むことを希求する思想)と結合し、延年長寿の印とされてきました。

これが日本に導入され、松は儒教的な倫理と開運・延命長寿など吉祥きっしょうの象徴とされていました。 続きを読む