ものづくり」カテゴリーアーカイブ

『広益国産考』(こうえきこくさんこう)大蔵永常(著)

『広益国産考』(こうえきこくさんこう)における染織に関する記述

江戸時代後期の農学者である大蔵永常おおくらながつね(1768年〜1860年)は、宮崎安貞みやざきやすさだ佐藤信淵さとうのぶひろとともに、江戸時代の三大農学者の一人とも言われています。

大蔵永常おおくらながつねの著書で、全八巻から成る『広益国産考こうえきこくさんこう』には、60種類ほどの商品作物を取り上げられ、栽培や加工方法、作物に適した農具や流通過程などについての記載があります。 続きを読む

ものづくりにおけるギルド(Guild)

ギルド(Guild)とは、中世のヨーロッパの都市で発達した親方、職人、従弟じゅうていからなる商工業者の特権的同業団体を表します。

商工業の同職仲間(同じ仕事をしている仲間)であるギルドと同じような団体は、中世のイスラム世界や中国、日本など世界中の国々においてもみられました。 続きを読む

20世紀初頭に起こった美術運動であるキュビズム

キュビスム(仏:cubisme)とは、「キューブcube(立方体)」と「イスムism(主義)」を組み合わせた造語で20世紀初頭に起こった美術運動を意味します。

「モダンアートの父」とも呼ばれるポール・セザンヌ(1839年〜1906年)の美術思想(芸術概念)が、キュビスムのムーブメントの基礎をつくったとされます。 続きを読む

江戸小紋(えどこもん)

「だれが作ったか?」という物語の大切さ。ものづくりにおける「作家性(さっかせい)」について

2022年11月にOpenAIによって公開された人工知能チャットボットであるChatGPTは、世界中からの関心を集めました。

それからというものの画像生成AIや動画生成AI、音楽生成AIなど、さまざまな分野での人工知能の発達が目まぐるしく、日々進化しています。

良質なコンテンツが安価で、無限につくられてしまうAIが発達した社会においては、本体の内容(コンテンツ)に付随する付加情報がより大事になってくるとされています。 続きを読む

蚊帳・蚊屋(かや)とは

蚊帳かやは、蚊屋とも表記し、夏にを防ぐために麻や木綿で作った寝床ねどこを覆うものです。

蚊帳・蚊屋(かや)とは

蚊帳かやは、古くは『日本書紀』(720年)や平安時代にまとめられた三代格式さんだいきゃくしきの一つである『延喜式えんぎしき』にその名があり、中世にはかなり使われていたようです。

江戸時代後期には、ほぼ現在でいうところの蚊帳かやの形となりました。

蚊帳かやに使用される材料は、本麻のみ・平麻(麻と木綿)・木綿のみが多く用いられてきました。

蚊帳かやの染色には、藍で染められた水色、柿渋で染められた茶色、色は黄緑色系統の色である萌黄もえぎ苅安かりやす(刈安)と藍染を併用した緑などの色が染められていました。

竹や針金などを骨組みにして、子供用の小さな蚊帳かやである母衣蚊帳ほろがやも作られました。

不器用で下手な素人のものづくりには価値がある。ものづくりの本質は、心でつくること

初版が1993年に発行された岡本太郎(著)『自分の中に毒を持て』は、人生において大切だと思えるエッセンスがたくさん詰まった本です。

不器用で下手な素人のものづくりには価値がある

岡本太郎は芸術家でしたが、「ものづくり」に関しても、本書にて言及しています。

ものづくりに関わる人でも、そうでない人にとっても示唆に富むことが書かれています。


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意義目標をチームとして設定すること

「何のためにものづくりをするのか」という意義目標を設定することの大切さ。

働くということにおいては、人と人のやりとりがまったく生じないというのは、ほとんどの場合でありません。

組織で働くということ、どうすれば人と人とがスムーズにやりとりできるのかなど、今も昔も変わらず話題になることです。

チームとしてうまく機能するための一つのポイントとして、皆の考えの方向性が同じ向きを向いている点が挙げれられます。 続きを読む

張木(はりき)小巾

ものづくりにおいて、仕事道具を大事に扱うことの大切さ

ものづくりにおいて、仕事で使用する道具を大切にできるかどうかは作り手としては非常に大切なことです。

なぜなら、道具を大切にするという取り組みの姿勢が、結果的に成果物の出来上がりの質に影響すると考えられることが多いためです。

木版画家として知られていた立原位貫たちはらいぬき氏(1951年〜2015年)は、著書の『一刀一絵』にて、仕事道具について、以下のように語っています。

いい道具は時を繋いで、いい仕事をしてくれる。使い続けることでその命が生かされていく。『一刀一絵

立原位貫たちはらいぬきは、江戸時代と同じ手法、絵具、紙を独学で研究し再現し、それらの道具をつかって江戸時代の浮世絵の復刻を成し遂げた木版画家であり、著書である『一刀一絵』からは、道具に徹底的にこだわる姿勢が伝わってきます。