安心感と信頼性がブランド価値の土台にある


企業は顧客にブランドを認知してもらい、商品やサービスを購入してもらうためにブランド価値を高める努力をしています。

ブランド価値を高める活動全般がブランディングですが、さまざまな企業がある中で自社の商品やサービスを選んでもらうためには、競合他社との差別化が必要になります。

自社が特徴やコンセプトを明確にし、ネーミング、ロゴ、パッケージ、キャッチフレーズなどにより自社がどのようなブランドであるかを伝えていくのです。

ブランド価値をどのように向上させていくのか、その手段や施策は数知れずですが、ただ単に知名度があげていけば良いという単純な話ではありません。

知名度が高ければ、購買につながる可能性は確かに高くなりますが、繰り返し商品やサービスを顧客に購入してもらうためには、ブランドのファンになってもらうことが大事なのです。

ブランドのファンを増やすためには

マーケティングの分野では、ブランドのことを「Lovemark」と言い表すことがあります。

人々から、「愛される対象」としてブランドがあるという考え方です。強いブランドは、そのブランドを連想した時に、心の中に起こる感情が人々を幸せにするからです。

ファンから愛される対象になるためには、数え切れないほどの要素が考えられますが、一つ大きな軸として、安心感と信頼性があります。

安心感と信頼性の重要さ

ライターの古賀史健さんのブログ記事「ブランドが売っているもの、売るべきもの。」には、ブランドに対する安心や信頼のイメージについて以下のようにあります。

安心や信頼のイメージは、簡単に覆されてしまう。ぼく自身にしても、10年前や20年前に愛好していた服飾品について「あのブランドはもう、着たくないなあ」はたくさんある。デザインとか縫製とかの問題ではなく、なんとなくのイメージ(大丈夫感)が損なわれてしまった結果だ。

いま、自分をブランド化させる「セルフブランディング」の活動に熱心な人たち。彼ら・彼女らも、目立つことや賢く見せること、役立つ情報を大量に発信することより、「安心感」を大事に、「この人だったら大丈夫」と信頼されることを最優先で考えるべきなんだと思う。引用:「ブランドが売っているもの、売るべきもの」

古賀さんは、長年築き上げた安心と信頼のイメージは簡単に崩れてしまうというようなことを言っており、安心感と信頼性の重要さについて語っています。

例えば、自動車市場では、故障の少なさやアフターサービスの充実など安心感と信頼性が消費者にとっては重要な購入理由の一つです。

安心感と信頼性において、自動車市場で有利なポジションを築いているのがトヨタ自動車です。そのため、世界で「TOYOTA」が売れてきたのです。

トヨタは、少し大きすぎる具体例でしたが、これは小さい企業や個人にももちろん当てはまることです。

安心感と信頼性の土台がしっかりしているからこそ、消費者に選ばれる確率が大きく増していくのです。

外見や見栄えだけのかっこよさでも一時的には人がついてくると思いますが、基本的な安心感と信頼性がないと長期的には選ばれることはないでしょう。

ブランドを考える上で、安心感と信頼性という基本的なところに常に立ち返ることは非常に重要なことです。

「近代日本経済の父」と称される渋沢栄一は、『渋沢栄一訓言集』の中で、「信用は実に資本であって商売繁盛の根底こんていである」と語っています。


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