投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

染色・草木染めにおける杏(あんず)。薬用効果や歴史について

あんず(学名 Prunus armeniaca)は、バラ科のブンゴウメに良く似ており、春先に花が咲かせ、果実は6月下旬から7月上旬にかけて収穫されます。

日本では、東北、信州、甲州などの比較的北国での栽培が適しています。

原産地は中国北西地方や中央アジアで、中国では古代からウメやモモと共に重要な果樹、もしくは薬木やくぼくとして栽培されてきました。

Prunus armeniaca in Donetsk

杏,Prunus armeniaca,Andrew Butko, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons,Link

種を割った中に入っている杏仁きょうにんは、生薬として使用されてきました。
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茜染め(絞り)

染色・草木染めにおける茜(あかね)。茜染に用いた茜の種類や染色方法、歴史について

あかね(学名:Rubia argyi)は、アカネ科アカネ属のつる性多年生植物で、日本においては、赤色を染めた最初の染料と一つと考えられています。

あかねは、根っこが赤い色をしており、根っこの煎汁せんじゅうによって染色された赤い色合いは、古来「赤根」と呼ばれていたのです。

あかねは、植物名と染色名が同じであり、例えば「むらさき」と「紫草むらさき」、「べに」と「紅花べにばな」、「きはだいろ」と「黄檗きはだ」など、非常に古くから染色と関係性があったこと名前からもわかります。

現在、日本においてあかねを大量に入手することは難しく、もっぱら染料店で購入できるインド茜や西洋茜が染色に使用される場合が多いです。 続きを読む

赤(あか)とは?

赤は、それを見る人に動的な感じを与え、暖かみを与えるような色合いです。

赤は、中国では五色ごしきの一つとされていました。

古く中国では、青(藍)、赤(朱)、黄、白、黒(玄)の五つの色を「五色ごしき」としており、五色ごしきは、正色せいしきとされ、その中間の色を「間色かんじき」として、間色かんじきは正しくない色であり、聖人君主は用いる色ではないとしていました。 続きを読む

中国の五色(ごしき)。青、赤、黄、白、黒の五つの色を表す正色(せいしき)

古く中国では、青(藍)、赤(朱)、黄、白、黒(玄)の五つの色を「五色ごしき」としていました。

五色ごしきは、正色せいしきとされ、その中間の色は「間色かんじき」と呼ばれていました。

孔子こうしが、『論語』の中で、朱色しゅいろ(赤)に代わって紫色が喜ばれたことを嘆いていますが、これも正色せいしきから外れた色だからとも考えられます。
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正倉院宝物(しょうそういんほうもつ)に使用された顔料と染料について

奈良・平安時代の中央・地方の官庁かんちょう大寺だいじには、穀物や財物などの重要物品を納める正倉しょうそうが設けられていました。

日本中、あちこちに置かれた正倉しょうそうは、今日に至るまでにさまざまな理由で亡んでしまい、現在残っているのが、東大寺正倉院内の正倉一棟だけです。これがすなわち、正倉院宝庫しょうそういんほうこです。

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東大寺正倉院/あずきごはん/CC BY-SA 4.0/via Wikimedia Commons,Link

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村山大島紬(むらやまおおしまつむぎ)とは?村山大島紬の技法について

東京都の村山地方(東村山あたり)で盛んに織られていたつむぎの織物で、本場の大島紬おおしまつむぎに対してこの名前が付けられました。

関東平野の狭山丘陵地帯は、古代から大陸の半島から帰化した人々によって、養蚕ようさんや染織が行われていたと伝えられています。 続きを読む

芭蕉布,岡村吉右衛門(著)『庶民の染織』

芭蕉布(ばしょうふ)とは?芭蕉布の特徴や技法、歴史について

芭蕉布ばしょうふは、沖縄で織られてきた織物で、戦前までは沖縄全域で生産されていました。

繊維を採取する芭蕉(糸芭蕉いとばしょう)は、和名でリュウキュウバショウといい、一見するとくきに見える葉柄の部分から繊維を採る葉脈繊維ようみゃくせんいです。 続きを読む