天然染料で美しい赤が得られるコチニールは、堅牢度が高いので現代でも染色においては重宝される染料です。 続きを読む
投稿者「iroai.jp」のアーカイブ
天然色素の種類。天然色素における配糖体(はいとうたい)について
染色するために使用する植物を染色植物と呼び、それらの植物の組織内に存在している有色化合物が天然色素です。
これらの色素は、植物の組織の中では主として配糖体という形になっています。
天然色素を配糖体のまま、あるいは色素単体として、その他の成分と一緒に植物から抽出したものを「天然染料」と呼びます。
コチニールや貝紫など、動物から抽出する天然色素もあります。 続きを読む
染色・草木染めにおける黄金花(こがねばな)。黄芩(おうごん)の薬用効果や歴史について
染色・草木染めにおけるコケ(苔)。地衣類(ちいるい)による染色方法や歴史について
コケ(苔)と呼ばれる植物には、スギゴケやゼヒゴケに代表される蘇苔類(moss)とウメノキゴケやマツゲゴケなどの地衣類(lichen)が含まれます。
この2種類は別の分類に属する植物であり、コケ(苔)と呼ばれるのは主に蘇苔類(moss)の方です。
地衣類(lichen)の染色は、「コケ(苔)染め」として知られています。
地衣類は、外見的には一つの植物のように見えますが、植物学的には、菌類と藻類の2種類の植物から成る生活共同(共生)体として、互いに必要な要素を供給しあっている特殊な植物です。 続きを読む
絹紡糸(けんぼうし)とは?絹紡糸のメリットとデメリットについて
絹紡とは、繭から生糸を取る時に残った部分(製糸屑)や屑繭をほぐしたものなどの「副蚕糸」を原料にして、糸にする(紡ぐこと)を表します。
紡いだ糸は、「絹紡糸(スパンシルクヤーン)」などと言います。
日本においては、明治時代中期からは紡績技術が発達し、副蚕糸から絹紡糸がつくられてきました。
絹紡糸を用いた織物は、主に和装や風呂敷などに用いられてきました。 続きを読む
染色・草木染めにおける梅(うめ)。梅の染色方法や薬用効果について
日本に梅が伝わったのは、弥生時代から飛鳥時代ごろとされ、中国から薬用の烏梅として伝来したと言われます。
烏梅とは、実が青い状態の梅を釜戸の煙で黒く燻して薫製にし、乾燥させたもので、煎じて風邪薬や胃腸薬として用いたり、止血や切り傷の手当てにも使用されてきました。
梅は、薬用、食用、観賞用、そして染色用と多様な用途のある有用な植物として渡来し、栽培されるようになったと考えられます。 続きを読む
再生繊維であるキュプラ(cupro)とは?キュプラの特徴やメリット、デメリットについて
キュプラ(cupro)という繊維は、「レーヨン」と同じくセルロースを原料とします。
キュプラの原料は、レーヨンが用いている木材パルプではなく、綿花を採取した後の種子の表面に付いて残っている2mm〜6mmほどの短い繊維で、紡績用には向かないコットンリンター(cotton linter)です。
コットンリンター(cotton linter)を溶かしてから固めて、繊維の状態にします。 続きを読む
木材パルプと非木材パルプ。木材から作られる繊維、レーヨン、アセテート、トリアセテートについて
木材パルプは、紙の原料として主に使用され、木の幹の樹皮を取り除き、そのままチップ化したものに、機械的、科学的、あるいは複合的な処理をしてつくられます。
原料の木材は、針葉樹と広葉樹共に使われますが、針葉樹のパルプは繊維が長く丈夫であるのに対して、広葉樹は繊維が短くきめ細かいパルプができるという特徴があります。
海外では、えぞ松などロシアのシベリア地方で産出される北洋材の針葉樹が多く使用されていますが、国産材ではブナやナラなどの広葉樹が主体になっています。
木材の組成は、原木の種類によって大きく変わってきますが、おおよそセルロース分が約50%、リグニンが約25%、ヘミセルロース約23%、樹脂・その他が約2%からなっています。 続きを読む
平織りされた麻織物であるキャンブリック・カンブリック(cambric)生地
キャンブリック(カンブリック)と呼ばれる生地は、本来は細番手の亜麻(リネン)糸を用いた緻密な平織物で、ベルギーとの国境に近いフランスの「カンブレー(cambrai)」という町で作られたものを言いました。
カンブレー(cambrai)は、フランドル(英名:フランダース)地方の一部として11世紀ごろから麻織物や毛織物などの織物工業が盛んでした。
現在は、オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)に属するこの町は、「シャンブレー(chambray)」の発祥の町でもあります。
シャンブレーとは、経糸を色糸、緯糸には白系の糸(晒糸晒糸)を使用する生地で、綿またはリネンの先染め織物です。
イギリスでは、カンブレーで生産された麻織物に似せて、綿織物の裏にだけ糊を付け、艶出し機(カレンダー)で「艶出し加工(カレンダーフィニッシュ)」を施したものを大量生産したため、もっぱらそれをキャンブリック(カンブリック)と言いました。
裏糊付けと艶出し加工を合わせて、「キャンブリック仕上げ(キャンブリックフィニッシュ)」と言われました。
かつては主にワイシャツにキャンブリック(カンブリック)の生地が用いられていましたが、現在では雑多な用途に用いられています。
ファッション・服飾におけるギャザー(gather)の意味や特徴とは?
英語のギャザー(gather)という意味には、①拾い集める、引き寄せる、抱き寄せる②蓄積する、貯める③寄り集まる④収穫する⑤選び出すなどの意味があります。
語源は、印欧祖語(インド・ヨーロッパ語族の諸言語の共通の祖先とされる理論上の言語)の「ghedh=1つにする、合体させる」で、古ゲルマン語などを経由して、古英語時代に「集める、集まる」という意味になっています。
ファッション・服飾におけるギャザー(gather)という用語は、布の一端をゆるく縫い、その縫糸を一方に引っ張って布端を寄せる(縮める)ことを表します。
あるいは、一方の布に他の布を縫い付ける際に、一方の布を掻き集めるように寄せ縮めて縫い付け、布に無数に並ぶ不規則な小さなヒダ(シワ)を生じさせているものを言います。 続きを読む