ウールは日光に当たったり、酸化によって、次第に黄色味を帯びてきます。
もちろん、黄ばみはウールだけでなく、コットンやシルク、ナイロン、ポリエステルなどさまざまな繊維でも発生します。
ウール糸のストック,Stock of wool ,Lauchap, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link
目次
ウールの黄ばみの原因
ウールは、グルタミン酸、アルギニン、シスチン、セリンなど18種類のアミノ酸成分からなる「ケラチン」と呼ばれる繊維状のタンパク質でできています。
ケラチンは、らせん状に曲がった形をしており、分子間や分子内には、多くのシスチン結合(分子が橋を架けたような形で結びつく結合)があり、物理的にも化学的性質にも大きな役割を果たしています。
シスチン結合によってらせん状に縮れる羊毛の特徴が現れ、この縮れによって空気を含むことができ、ウールのあたたかさをもたらしています。
ウールの黄ばみの原因のひとつとしては、ウールのシスチン結合やアミノ基を含むチロシンなどが、酸化や光の影響で化学変化を起こすことが挙げられます。
関連記事:ウール(羊毛)の特徴と素材の特性。ウール(羊毛)はなぜ縮むのか?
黄ばんでしまったウールの洗濯方法
コットンやリネンなどの素材に比べると、黄ばんだウール製品を家庭で洗濯して直すのは難しく、シミ抜きや漂白で白くなるかはやってみないとわからない場合があります。
難しそうな場合は、まずクリーニング屋などのプロに相談するのが安心です。
自宅で洗濯する場合、ウールは水洗いできないものもあるため、まず洗濯表示を確認し、禁止されている洗濯方法を確認します。
洗濯方法としては、まず、洗剤はエマールなどのおしゃれ着用の中性洗剤を用意します。
おしゃれ着用の中性洗剤は、ウールやシルクなどのデリケートな素材を、ダメージをできる限り与えず洗うためによく使用されます。
漂白剤は、ウール対応の液体酸素系漂白剤をおすすめしますが、もし黄ばみが気になるときは、中性洗剤でやさしく洗い、真っ白に戻すことよりもなるべく傷ませない処理を優先するのが安全です。
粉末タイプの酸素系漂白剤は、ウールやシルクには基本的に使用できないので注意が必要です。
冷たい水を使うより、ぬるま湯で使うほうが効果が早くでます。
洗濯表示に「40」とある場合は40℃以下、「30」とある場合は30℃以下のぬるま湯や水を使用し、おしゃれ着用の中性洗剤と液体タイプの酸素系漂白剤を、パッケージの表示通りに溶かして洗濯液を作ります。
おしゃれ着洗いコースがあればそのコースを使用し、伸びやすい素材であれば、ある程度時間つけ置きしてから優しく手洗いすると良いでしょう。
ウールの黄ばみをやさしく落とす手順
準備するもの
- おしゃれ着用中性洗剤(例:エマール)
- 液体酸素系漂白剤(ウール・シルク対応)
- ぬるま湯(洗濯表示に従う:30℃や40℃以下)
- 洗面器や桶
- 清潔なタオル(水分を吸わせる用)
- ゴム手袋(手肌を守るため)
1. 洗濯表示を確認する
- ウールは水洗い不可のものがあります。
- 「30」や「40」の表示があれば、それ以下のぬるま湯を使用。
- 水温を守ることが縮みや型崩れ防止につながります。
2. 洗濯液を作る
- 洗面器にぬるま湯を入れる
- おしゃれ着用中性洗剤を表示量に従って溶かす
- 黄ばみがひどい場合は、ウール対応の液体酸素系漂白剤を表示量に従って追加
- 粉末酸素系漂白剤はウール不可
- 手で軽く混ぜ、泡立てすぎないように注意
3. ウールを浸す
- 黄ばんだウールを洗濯液にそっと沈める
- 数分〜10分程度、やさしく浸す
- 強くこすらない(摩擦で毛羽立ちや縮みの原因)
4. やさしく押し洗い
- 手で押すように洗う
- 揉んだり引っ張ったりしない
- 黄ばみがひどい場合は、5〜10分置いてから軽く押す
5. すすぎ
- ぬるま湯または水で、中性洗剤と漂白剤を十分にすすぐ
- すすぎ残しは黄ばみや縮みの原因になるので注意
6. 水分を取る
- ウールを絞らず、タオルで包み軽く押して水分を吸収
- 強くねじらないことが縮み防止につながる
7. 乾かす
- 直射日光を避けて風通しのよい場所で平干し
- ハンガーに掛けると型崩れする場合があります
8. 保管
- 完全に乾いたことを確認してから保管
- 乾燥剤や防虫剤を入れ、高温・高湿度を避ける
- 汚れたまま保管すると黄ばみや虫食いの原因になるので、洗濯してから保管
ポイントまとめ
- 水温は洗濯表示以下
- 洗剤・漂白剤はウール対応のものを使用
- こすらず押し洗い
- 完全に乾かしてから保管
- もし黄ばみが気になるときは、中性洗剤でやさしく洗い、真っ白に戻すことよりもなるべく傷ませない処理を優先するのが安全
購入後に黄ばみをできる限り防止する
ウール素材に限らず、天然素材の黄ばみを完全に防ぐことは不可能です。
黄ばませたくない場合は、購入後に以下の点に注意するしかありません。
- 酸化や光の影響を避けるため、保管方法をしっかりする
- 長期保管時は乾燥剤を入れ、カビや虫から衣類を守るため防虫剤も使用する
- 真空にできる袋に入れることも有効
- 汚れたまま保管すると黄ばみや虫食いの原因になるため、洗濯後に保管する
- 湿気は黄ばみの原因になるので、洗濯後はしっかり乾かす
カビを防ぐ
カビは20℃〜30℃の間で、高湿度の状態に発生しやすいです。
湿った布や衣類、梅雨時期などはカビが発生しやすいのはこのためです。
カビは衛生学では真菌類と呼ばれ、植物界に属して胞子を作ります。
そのため、一般的な細菌よりも熱や化学物質への抵抗性が高いです。
カビを防ぐ方法としては、乾燥剤や防虫剤を入れ、高温・高湿度を避けて保管することが考えられます。
製品になる前に黄ばみを防ぐ方法
個人では難しいですが、ウールの素材段階で処理することで黄変防止が可能です。
- ポバール、CMCのり、アルギン酸ソーダなどの糊料を使った糊付け法
- ホルムアルデヒドによる樹脂加工
- エチレンチオ尿素、メチロール化チオ尿素などの使用