日本画の題材は、古くから花鳥風月が中心となり、染織品の模様(文様)にも花や鳥をテーマにした作品が多く作られてきました。
鳳凰や朱雀のような架空の瑞鳥(吉兆とされる鳥)から、鶴や鷹、鶉、鷺、千鳥、鴛鴦など実在するさまざまな種類の鳥が「鳥文」として描かれてきました。
デザインにおける鳥襷文(とりだすきもん)

鳥襷文(とりだすきもん)『文様織文図絵』文化12年(1815年)出版,彩色木版
鳥文の中でも古くから使用されているデザインに、「鳥襷文」があります。
鳥襷文は、有職文様の一つで、指貫(公家男子の衣服の一種)などの織物の文様などに用いられていました。
有職文様とは、平安時代以降の公家社会において装束や調度、輿車、建築などに用いられた伝統的な模様(文様)です。
鳥襷文は、鳥を背中合わせに一組にし、四方に配して円形を作り、その中に小葵(鳥襷子小葵文)や花菱(鳥襷花菱文)などが入れられます。
この単位模様を連続させると輪違文(二個、あるいは二個以上の輪が互いに交錯してできた形)のようになり、鳥文様の部分が襷状に連なることから、「鳥襷」という名前があります。