江戸時代から好まれた絹織物4種類、繻子(しゅす)綸子(りんず)縮緬(ちりめん)絹ちぢみ


江戸時代から好んで使われ始めた絹織物に、繻子(しゅす)綸子(りんず)縮緬(ちりめん)絹ちぢみがあります。

繻子(しゅす)

繻子は朱子とも書き、経糸と緯糸が交差する部分(組織点)が連続せずに、すきまが一定で間隔が長く空いているため、経糸の浮き上がりが多く、斜文織(綾織の総称)よりもさらに光沢感やツヤ感を感じます。

綸子(りんず)

綸子は、もっとも光沢感を出す組織とされる繻子織を地にして、模様の部分を繻子織の裏側の組織にすることで、二種類の組織の違いで模様を表した紋織です。

経糸、緯糸ともに生糸を使用しており、織り上がってから精錬(後練り)します。(アルカリ性の液で煮ることで生糸に含まれるセリシン(にかわ質)を取り除く)

ちなみに前もって経糸も緯糸も練って、その練糸で織り上げたものを緞糸(どんす)と言います。

中国から船にのせて運ばれた織物類は,主として板に巻きつけてあり、錦など重厚な織物は厚い板を芯にするところから厚板物と呼ばれた。一方、綸子などの薄い織物は、薄い板に巻きつけられていたことから薄板物とも呼ばれたそうです。

縮緬(ちりめん)

縮緬は経糸に撚りのない生糸、緯糸に右と左と交互に強く撚りのかかった生糸を用いて平織りし、織り上がってから練ることで、しぼ(しわ)を表現したものです。

欧米では、クレープと呼んだりします。

絹ちぢみ

経糸に撚りのない生糸、緯糸に右と左と交互に強く撚りのかかった生糸を用いて織る縮緬に対して、絹ちぢみは、少し弱い左撚りのみの緯糸を用いて織り上げたもので、縦皺(たてじわ)が表現できます。

セリシンの処理方法で絹織物の風合いが変わる

さまざまな質感が表現される絹織物は、生糸に含まれるセリシンをどのように処理するかによって風合いが大きく変わります。

生糸を構成している一本の繊維は、2種のタンパク質からできています。

少し詳しく説明すると、カイコの体内にある左右の絹糸腺からつくられた2本のフィブロインタンパク質が、にかわ質のセリシンタンパク質に包まれた形になっているのです。

生糸を藁灰の灰汁などのアルカリ液で精錬すると、全体の20%〜30%を占めるセリシンがほとんど溶けて除かれ、フィブロインだけが残ります。

そのため、セリシンを残したままの生糸で織物にしてから精錬すると、セリシンが溶けたことにってできた空間によって絹織物特有の柔らかい風合いが生まれるのです。

絹織物の特徴

絹が動物性タンパク質でできているため、綿や麻とは違う性質を持ちあわせます。

絹織物の特徴としては、下記のようなものが挙げられます。

・天然繊維のなかで絹は随一の細さで、繊維や糸の太さ(繊度)が0.9〜2.8デニール

・シルクの繊維がこすれ合うときにロイヤル・サウンド(絹鳴り(きぬなり))が発生する

・繊維の引っ張り強さは強く耐久性があり、繊維が伸びたものが戻りやすく、衣類や生地が洗濯や着用によって変化しづらい

・自然にできる布のたるみが、波打つように美しいひだを描き、ドレープ性に優れている

・水分を適度に吸収するが放湿速度も比較的早いため、布地がべたつきにくく、肌触りがなめらか

・生地が薄い割には、保温性が高く、羊毛に次ぐ湿潤熱が発生する

・多くの繊維と比較すると染色性が非常に良い

・日光の紫外線に弱いため、黄色に変色したり他の繊維に比べると脆くなりやすい傾向がある

・カビにくいが、防虫性に劣り、虫に食われやすいのでタンスなどでの保管管理には注意が必要

・酸に対しては綿よりも強いが羊毛より弱い

・アルカリに対しては羊毛より若干強い

絹織物は、その優れた性質もさる事ながら、どのように織物を組織していくか、どのような順序で生糸を精錬していくかによって、さまざまな質感が表現できるのも非常におもしろいところです。

参考文献:高田倭男著 『服装の歴史』


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