七宝文は、同じ半径の円を円周の4分の1ずつ重ねて表現していく連続模様です。
四方連続模様なので、「四方」から転じて、仏教の七宝(金・銀・瑠璃・玻璃・硨磲・珊瑚・瑪瑙」の名前がつきました。
七宝文を上下左右に規則正しく、連続させたことを強調して「七宝繋文」と呼んだりします。
デザインにおける七宝文(しっぽうもん)・七宝繋文(しっぽうつなぎもん)

七宝文(しっぽうもん),伊勢型紙
正倉院宝物として保存されている裂(布きれ)である「正倉院裂」の一つである「赤地七宝繋文纐纈平絹」には、七宝文が表現されています。

赤地七宝繋文纐纈平絹(あかじしっぽうつなぎもんこうけちひらぎぬ),正倉院裂(しょうそういんぎれ),七宝文 七宝繋文
正倉院裂には、奈良時代の天平勝宝年間(749年〜757年)に行われた東大寺大仏開眼供養に用いられた裂や聖武天皇(701年〜756年)にゆかりのあった裂などがあり、その大部分は絹と麻でできた織物で、一部羊毛(ウール)を熱や圧力をかけて縮めた毛氈(フェルト)があります。
室町時代には、紋染めされた舞楽装束など衣服に七宝文が用いられたり、江戸時代には着物の柄などにも表現されてきました。