樒(学名:Illicium anisatum)は、マツブサ科シキミ属に分類される常緑の小高木で、高さは一般的に2m〜5mほどに成長しますが、大きいもので10m程度にもなります。
葉は厚く、ツヤがあり、春になると(3月~5月頃)淡黄白色の花を咲かせます。
樒の葉は日持ちし、長い間、枯れずに力強く生きる姿をみせてくれます。
染色・草木染めにおける樒(しきみ)
樒は、その木の皮、木の実、葉など、すべてを染料として利用することができます。
媒染剤に灰汁、または石灰を使用することで、赤茶色を染めことができます。
丹波布に使用された茶色の色を染めるためにも、樒は使用されていたようです。
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樒(しきみ)の特徴
樒は古くから仏教と関わりが深い植物で、現在でも葬儀や法要などの仏事で使用される植物です。
榊と葉っぱが似ていますが、植物の種類が全く違うため、それぞれの特徴も異なります。
樒の特徴の一つに、特有の強い香りがあります。
お線香の原料のひとつであり、その香りから「香の花」や「香の木」といった名前で呼ばれることもあります。
お焼香の際に使う抹香は、樒を樹皮と葉を乾燥して、粉末にしたものが主に用いられます。
強い香りと毒を持つ樒は「邪気を払う」「故人を悪霊から守る」と考えられてきました。そこで、お清めや悪霊除けに用いられることもあったそうです。強い香りを獣が嫌うため、土葬のお墓の近くに樒を植えて埋葬後の遺体を守ることもありました。
樒(しきみ)の毒性
樒の葉や茎、根、花、果実、種子など、全体が有毒で、毒性のあるアニサチン (anisatin) やネオアニサチン (neoanisatin) などが含まれます。
特に果実、種子は毒性が強く、食べることによって毒性が発揮され、万が一食用にすると死亡する可能性があります。
猛毒である果実が中華料理で多用される八角に似ているため、誤食されやすい危険な有毒植物として、樒の果実は「毒八角」とも呼ばれます。