染色における堰出し型(せきだしがた)と地白型について


堰出せきだしとは、柄の外部分をのりで伏せて、柄部分をを手挿てざしや刷毛はけで染め上げる京友禅の技法を表す言葉です。

堰出せきだし型は、白抜き型のように模様自体が白く抜ける型ではなく、模様の部分の周りにのりを置くので、地が白くなり、模様部分を染めることになります。

白抜き型であれば、模様部分を彫っていけばいいのですが、堰出せきだし型では模様部分の周りを彫り、模様の形を彫り残します。

地白型(堰出し型) ,型紙

地白型(堰出し型) ,型紙,Metropolitan Museum of Art, CC0, via Wikimedia Commons,Link

型紙としては不安定な型になるので、堰出せきだし型では「つなぎ(吊り)」が必要になってきます。

堰出し型の型彫り

堰出せきだし型を彫る際は、白抜き型と同様に面積の小さい部分から彫り始めるのが基本です。

模様内の糸目いとめなどから彫り始め、模様の外側の部分を彫っていきます。

つなぎ(吊り)」には、あらかじめ下絵で色を変えておくなどで印をつけておくと、型が彫りやすくなります。

吊りは、堰出せきだしで模様が型枠から外れてしまわないように模様と型枠を繋ぐためのもので、2〜3ミリほどの幅で問題ありません。

模様の外側をあまり大きく彫ってしまうと、のりを置く場所(白場になる部分)は広くなりますが、吊りの長さが伸びると、そもそも不安定な堰出し型がさらに不安定になってしまいます。

吊りの数、のりを置く場所(白場になる部分)の範囲をきちんと考えて彫ることが大切です。

しゃ張りしたあと、吊りは通常すべて取ってしまいますが、型がひどく不安定で吊りを取ると、のり置きの際に模様が動きそうな場合は、吊りを取らずに残しておきます。

地白型(堰出し型) ,型紙

地白型(堰出し型) ,型紙,Metropolitan Museum of Art, CC0, via Wikimedia Commons,Link

堰出し型の特徴

堰出せきだし型の特徴としては、藍染の浸染ではなく、友禅のように染色で色差しをする際には、模様のまわりにのりがくるため、全体的に大きくボカシを入れることができる点があります。

薄い色の上に部分的に濃い色が差し込むような「ぼかし」を入れると、模様の形がよりはっきりし、立体感や遠近感がでてきます。


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