織物は、経糸と緯糸から組織されていますが、経糸と緯糸の方向を「地の目」と言います。
緯糸は織物の「耳(みみ)」に対して平行にはしっています。
経糸の方向を「経の地の目」といい、経の地の目を横切ってはしる糸の方向を「緯の地の目」といいます。

織物の耳/Auckland Museum/CC BY 4.0/via Wikimedia Commons,Link
地の目を正しく読む
洋服をつくるときに必要な原型や型紙(パターン)は、経と緯の地の目が正しく通っていないといけません。
なぜなら、地の目がゆがんだまま衣服が作られると、出来上がりの服自体のシルエットがひずみ、形が崩れる可能性があるからです。
「地の目を通っている」という言葉がありますが、経緯の地の目がきちんと整っている状態のことを言います。また、「地の目を通す」というのは、縦緯の地の目を整える作業のことを意味します。
洋服をデザインして縫製しようとする人は誰でも、地の目を正しく読めるようにならないといけません。
布地に耳がない状態で、地の目を読む
生地に耳があれば、経緯の地の目を見分けることは簡単です。
では、耳がない状態ではどうすればいいでしょうか。見分け方は、主に2種類あります。
まず、経糸と緯糸の糸自体の強さを調べる方法です。
一般的に経糸は緯糸よりも強度が強いものになっています。なぜなら、織物が織られる工程で、経糸はかなりの抵抗に耐える必要があるからです。
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2つ目の見分ける方法は、経糸と緯糸を引っ張ってみることです。
緯糸は、常に経糸の間をぬって交差することで織物は組織されているため、引っ張ると伸び縮みしやすい性質があります。
布地を折り曲げたときは、縦方向の方が横方向よりも折りやすいのは、縦方向より弾性があるからといえます。
立体裁断と地の目
服を作る場合、平面でパターン(型紙)をおこすのではなく、人体やボディ(洋裁で使う人体模型)に直接布をあてて裁断する立体裁断という手法があります。
立体裁断をする初心者は特に、地の目を意識する必要があります。
正しい位置で地の目が通っていない場合の立体裁断では、カットした後、布を平面に広げた際に歪みが生じる可能性があるためです。