算崩しは、「算木崩し」の意味で、「算木」とは、中国数学や和算の計算道具として用いられた細長い木の棒です。

算木(さんぎ),Jccsvq, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link
算木はタテ、ヨコに置いて数を表現しますが、算木を崩したような様子が美しい柄にみえることから「算木崩し」、「算崩し(三崩し)」などと名付けられました。
網代(草や竹、木材などを材料に縦緯、あるいは斜めに交互に編んだもの)に似ているため、「網代組」や「網代文様」などともいわれます。
目次
デザインにおける算崩し文(さんくずしもん)

算崩し文(三崩し),模様(文様)
算崩し文は、縞が縦横に石畳状に表現された連続模様です。
筋の数によって、「一崩し」や「二崩し」、「三崩し」や「四崩し」、あるいはそれ以上に筋を増やした柄などもあります。
江戸時代には着物に使用された織物の柄に多く用いられ、魔除けや豊穣(穀物が実り、豊かであること)」などを意味も持っていたとされます。
沖縄の絣の織り模様としても表現され、「ヤシラミ」などと呼ばれていました。
算崩し文が表現されている名物裂「糸屋風通」
算崩し文は、宝永(1704年〜1711年)・正徳(1711年から1716年)の頃に流行したようです。
名物裂の「白地網代丸文様錦 糸屋風通」(東京国立博物館蔵)は、藍染めされた藍色の糸と共に、算崩し文が地紋(布地に織り込まれた織模様)として表現され、いわゆる表裏の色糸が反転して同じ模様が織られる「風通」と呼ばれる織物です。
算崩し文の上に、輪宝の柄が金糸を用いて縫取(布帛に別糸を用い、部分的に文様を繡い表すこと)のように織り出してあります。
「糸屋風通」は、千利休の弟子であった糸屋宗有が愛好したとも、京の商人で茶人であった糸屋良亭の好みであったとも言われています。
一風変ったデザインと風合いの良さが、茶人の好みだったと考えられます。
一崩し(いちくずし)

一崩し(いちくずし),模様(文様)
二崩し(にくずし)

二崩し(にくずし),模様(文様)
三崩し(さんくずし)

三崩し,算崩し,模様(文様)
四崩し(よんくずし)

四崩し,算崩し,模様(文様)

算崩し,模様(文様)