琉球藍は、キツネノマゴ科の多年草で、沖縄や台湾などの温かい暖地に自生します。
生育には、温暖・多雨の気候と、山の斜面が多く、半日陰のできる場所を好みます。
沖縄本土の北部、伊豆味地域は藍栽培の適地で、15世紀ごろには製藍が行われていたと『伊豆味誌』の資料に伝わっています。
収穫した葉と茎を水に浸して発行させた後、石灰を加え、その上澄液を捨て、底に泥状に沈殿した青藍(泥藍)を藍瓶に入れて染められます。
製法が中国から伝わったことから唐藍と呼ばれたり、馬藍、山原藍などとも言われていました。
目次
染色における琉球藍(りゅうきゅうあい)
琉球藍は、琉球絣や薩摩絣の染料に主に用いられました。
沖縄の雨の季節である旧暦5月と9月の年に2回、製藍が行われていました。
栽培された葉藍を刈りとり、すぐに大きな容器にいれ、葉が浸るまで水を入れます。
気温によって変動しますが、1日〜3三日間ほど浸し、腐食発酵して色素が溶け出るのを見計らってから葉を取り出すと、薄黄緑色をした藍葉液ができます。
藍葉液100リットルに対して、300gほどの石灰を加えて、できるかぎり空気に触れるように念入りに撹拌します。
液は、あっという間に黄緑色から青、そして濃紺に変化し、泡立っていた液が、撹拌するにつれて次第に泡が消えていった頃合いを目安に撹拌をやめます。
しばらく放置しておくと、藍の色素と石灰が結びついて、底に沈んでいくことで、沈澱藍ができます。
上澄液は流してしまい、泥状の沈澱藍だけを染色に使用します。
乾燥させて塊にすることもありますが、自然に発酵建てをする場合は、泥状のものを使用する方がうまくいきやすいです。
琉球藍を製造する際のポイント
良い琉球藍を製造する際に大切なこととして、良い葉藍を作ることと、泥藍の製造過程における灰の投入具合」が挙げられます。
良い葉藍を作ること(肥料・日光の調整・除草)
良い葉藍とは、90cmほどの丈まで成長し、茎は太く、葉はツヤのある若葉で、葉肉は厚みと張りがあり、握るとパリパリと小さく砕けるようなものとされます。
雨に多く当たった葉は栄養を蓄え、藍色成分の含有量も多いと言われています。
藍には大量の肥料が必要とされ、農作物に適さない酸性土では、さらに多くの肥料投入が必要とされます。
牛糞は良い肥料とされますが、鶏糞や化学肥料を用いることもあります。
化学肥料は即効性があるものの、熱を発しやすく、一度に大量投入すると枯れてしまうこともあるため、何回かに分けて施肥する必要があります。
斜面に植えても直射日光を嫌う藍の葉のために、鉄骨を立てて寒冷紗を張り、カヤや松、椎の木の葉のついた小枝などで日陰を作り、水分の過剰な蒸発と気温の急上昇を防ぎます。
こうした日照量の調整に加え、夏は一週間も畑を見守らないと藍が雑草の勢いに負けてしまうため、こまめな除草が必要で、その他にも台風の風から守るといった諸々の配慮の上に良い葉藍ができるのです。
良い葉藍が得られると、腐食、発酵、溶解しやすくなり、結果として藍の収益も上がります。
泥藍の製造過程における灰の投入具合
藍を沈殿させた水が、黄みがかった濁りのある液体へと変化した頃合いを見計らって、液体とカスになった葉を分離します。
葉を分離させるタイミングは、早くても遅くても泥藍の品質と収量に影響が出るため、長年の経験が必要とされます。
発酵の状態を見極めたらその槽の下についているバルブを緩め、撹拌槽液を乾燥へと移し、水に溶かした石灰を加えます。
この時の石灰の加減(投入量)も非常に重要なポイントです。
昔は、海から採ってきて、4日から10日ほど経ったサンゴを焼いて、新しく作った灰を使っていたようですが、現在では珊瑚を焼くことが禁止されているため、製造直前(石灰は酸化するため)に消石灰を購入し、それが用いられます。
石灰の量は、葉藍の量と質、そして発酵液と水に浸けた葉藍を分けるタイミングの良し悪しによって、投入量にも変化が生じるようです。
石灰を投入後に液を撹拌することで、槽の表面に藍色の泡が盛り上がり、赤味より青味のある泡の色であれば良質な藍と言われることもあったようです。
その後に出来上がる泥藍は、葉藍の量に対して約一割ほどになります。
琉球藍の沈澱藍(泥藍)で藍建てを行う
藍を建てるためには、沈澱藍を容器の5分の1ほど入れ、準備しておいた灰汁の2番、3番液を混ぜたものを入れて、容器の2/3まで満たし、沈澱藍に対して2パーセントの泡盛(糖分)を加えて仕込みます。
この時のphは、11.4〜12ほどになります。
1日1回撹拌して、3日目くらいで(夏場)液が緑色になってきます。
その際に、小麦粉を煮ることで糊状にしたものを沈澱藍に対して2パーセント入れ、石灰も補います。
その後2、3日で液の緑色明るくなり、撹拌時に浮き出る泡は、青色となります。
この頃には、菌が糖分を食べて発酵する活動に伴ってphが11以下に下がるので、1番灰汁を容器の9分目くらいまで加え、一日おいてから染められます。
夏場であれば、4日から7日で藍が建ちます。
【参考文献】『月刊染織α1997年12月No.201』