パルプは、原料の違いから木材パルプと非木材パルプに分けられます。
紙の原料として知られていますが、再生繊維のレーヨンやキュプラの主要な原料でもあります。1892年、イギリス人によって木材パルプを原料にレーヨンが発明され、これから人工的な繊維が実用的に使用されるようになりました。
レーヨンやキュプラは、木材から取れるセルロースやコットンリンター(綿花を採取した後の種子の表面に付いて残っている繊維で、繊維長が短く紡績用には向かない)を溶かしてから固めて繊維状にしたものです。
化学的な組成は、綿や麻などと同じです。
木材パルプ
木材パルプは、木の幹の樹皮を取り除き、そのままチップ化したものに、機械的、科学的、あるいは複合的な処理をしてつくられます。
原料の木材は、針葉樹と広葉樹共に使われますが、針葉樹のパルプは繊維が長く丈夫であるのに対して、広葉樹は繊維が短くきめ細かいパルプができます。
非木材パルプ
非木材パルプは、アフリカが原産地とされる一年草のケナフが挙げられます。生長は非常に早いのが特徴で、100日から125日で成熟し、高さ 1.5m~3.5m、茎の直径 1~2cmになります。
ケナフは繊維を目的として、インド、バングラデシュ、タイ、アフリカの一部、ヨーロッパの東南部など、世界中で古くから栽培され、栽培品種は約200種ほどあるとされています。
木材パルプに比べて一般的に繊維が長く、その特性を生かして和紙や薄手の紙に使用されることが多いです。
生産効率に関しては、原料の集荷や集積が効率的でなく、大規模の製造もされていないため、木材パルプと比べると、高価です。
また、サトウキビの汁を絞ったあとに出る繊維がバガスと呼ばれ、バガスを原料としたバガスパルプは、植物パルプとしてはわらに次ぐ年間約370万トン(約16%)が生産されているようです。