沢瀉(オモダカ)は、日本各地の低地の水田やため池、用水路などに見られる多年草です。
葉は根元にまとまってつき、長い葉柄がある独特の矢じり形をしていることから、「勝軍草」とも呼ばれ、武士に愛されていました。
人の顔に似た葉を高く伸ばしている様子を指して「面高」とされたともいわれ、「面目が立つ」(名誉が傷つけられずに保たれる・顔が立つ)という語にも通じています。
デザインにおける沢瀉(オモカダ)・沢瀉文(おもかだもん)
沢瀉(オモカダ)は、特徴的な矢じり形の葉とともに、7月~10月頃に三弁の白い花をつけます。
デザインにおいても古くから活用され、奈良時代には模様化(文様化)され、平安時代に作られた精妙な唐草文のある金具をかぶせた美しい小唐櫃(手箱として用いる小さい唐櫃)である、「澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃」に描かれたものは、典型的な図柄です。
加賀友禅の小袖などにも水辺を表現する模様(文様)として沢瀉(オモカダ)を使用する例が多くあります。
紋章としての沢瀉(オモダカ)
紋章としても、平安時代から車文(御所車の車輪を文様化したもの)に添えられる形で使用されています。
沢瀉(オモダカ)は、数多くの家紋として使われていることから、「十大家紋」(広く用いられている10つの家紋)に数えられています。