モチツツジ(学名:Rhododendron macrosepalum)は、ツツジ科ツツジ属の植物で樹高は1m~2mほどに成長します。
名前に「モチ」と付くだけあり、花の外側にある萼や葉などから粘着性のある液体を分泌します。
モチは食べる餅ではなく、「鳥モチ(鳥や昆虫を捕まえるのに使うゴム状の粘着性の物質)」のモチに由来しています。
また、モチツツジ以外にも、ネバネバした様子から「ネバツツジ(粘躑躅)」という別名もあります。
染色・草木染めにおけるモチツツジ(黐躑躅)
モチツツジは、伊豆半島以西の本州及び四国に分布する日本固有のツツジで、日当たりの良い場所に自生します。
開花は4月〜6月ごろで、新しい葉と一緒に枝先に2〜3輪ずつ淡い紅紫の花を咲かせます。
花の後には乾いた果実ができ、8月〜10月に熟すと自然に裂け、中から種子を出します。
染色、草木染めにおいては、葉も枝も染料として使用されます。
灰汁を媒染に使用することで、黄色を染められます。
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明礬を媒染に使用すると、やや緑味を帯びた黄色系になり、鉄媒染で灰色がかった緑色である灰緑色を染めることができます。
丹波地方では、葉を使用して染色していたようです。
他のツツジと違い、比較的背丈が高いのと、ヤマツツジのように花が赤くないのもモチツツジの特徴として挙げられます。