鎌倉時代の染織品について


鎌倉時代には、貨幣経済の成長とともに、染織品も商品として流通し始めます。

政治の実態が武家の手に移り、織物をつくる機業きぎょう官営かんえいから民営へと移っていき、染織品の生産形態が次第に変化していきます。

染料の販売や染色においても、それを独占する「座」が現れ、もっとも早く独立したのは紺屋こうや紺掻こうかでした。

鎌倉時代の染織品

鎌倉時代に作られたとされる染織遺品は極めて少なく、鎌倉にある鶴岡八幡宮つるがおかはちまんぐうに伝わる古神宝類の「五襲女衣」や「蟹牡丹文錦(伝護良親王御直垂でんもりよししんのうおんひたたれ)」などが挙げられます。

鎌倉時代の絵巻物である『春日権現験記(かすがごんげんけんき)』には、貴族をはじめ、当時の一般民衆の生活様式や服装、風俗などが細かく描かれており、日本の中世を知る貴重な歴史的資料とされています。

『春日権現験記(かすがごんげんけんき)』Kasuga gongen genki-e, Takashina Takakane, 1-3 (part 2)

『春日権現験記(かすがごんげんけんき)』,Takashina Takakane, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

描かれている人々が着用している染織品からは、当時使用されていた模様(文様もんよう)も読み取ることができ、例えば桜の花びらをデザインした桜花文(おうかもん)バラ(薔薇)の花びらなども描かれています。

平成16年から絵巻を後世に伝えていくため、保存修理が行われ、修理後にまとめられた資料「春日権現験記絵 -甦った鎌倉絵巻の名品」がPDFで公開されています。

参照:春日権現験記絵-甦った鎌倉絵巻の名品(修理完成記念)


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