陰萌黄色は、染め色としては萌黄の黒味を帯びた色です。
染め色としての陰萌黄色(かげもえぎいろ)
鎌倉時代以前からある、伝統的な色名である「木賊色」(トクサの茎のような黒っぽい緑色)と同じような色合いです。
江戸時代後期の有職故実書で、宝暦13年(1763年)から天明4年(1784年)の22年間にわたり執筆された『貞丈雑記』には、陰萌黄について以下のような記載があります。
「かげもえぎと云ふはもえぎの黒みある色なり。・・・かげもえぎと云ふ染色舊記にあり、今とくさ色などと云ふ類なるべし。宗五一冊抜書(宗悟一冊抜書)に、かげもえぎと申してこん屋にてそめ候色々もんをつけてもえぎくろみて染めたる小袖にて候とあり。もえぎに黒みあらばとくさの色の類なり」とあります。
藍染の青と黄色の染料で深緑色に
古く、緑色は藍染の青色と黄檗や苅安などの黄色で染め重ねることによって表現されていました。
深い緑色を出す場合は、藍で染める濃度をいわゆる藍色の手前くらいまで濃くする必要があります。
基本的には藍染をどれくらい濃くするかによって、緑の色目を調整していくのです。
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