没食子(Gallnuts/Oak apple/Oak gall)は、西アジアや中東に産し、タンニン剤として有名です。
没食子とは、ブナ科のナラ(学名:Quercus)やカシなどの若枝の付け根に寄生したタマバチ(Cynips gallaetinctoriae)によってできる「虫こぶ」のことを表します。
植物に昆虫が産卵、寄生した結果、寄生物の出す分泌物質などで異常な発育を起こした部分を「虫癭」と言います。
虫癭が没食子にあたりますが、このこぶができる理由は、若芽にインクタマバチ(Cynips gollae-tinctoriae)が産卵し、こぶの中で成長するためです。
こぶは直径約2cmほどの球状で、木や虫の種類の違い以外は、「五倍子」と同じようなものです。
染色における没食子(もっしょくし)
植物の若芽が変形してできた没食子(こぶ)には、タンニンや没食子酸が多く含まれ、抽出したものが染料やインク、鞣革用として活用されてきました。
染色には、古くから黒染めや茶染めのほか、インクの製造原料として使用されてきました。
染色・草木染めにおけるタンニン
タンニン(タンニン酸)は、染色・草木染めにおいて非常によく知られている成分です。
タンニンの定義としては、「植物界に広く分布し、水に良く溶け、収れん性の強い水溶液を与え、皮を鞣す作用を有する物質の総称」とされています。
タンニン酸という呼び方は、元々は、五倍子のタンニンを表したものでしたが、現在では特に区別されていません。
ほとんどの植物はタンニンを含んでいますが、多量に含むものを「タンニン酸」などとも呼びます。
タンニンは、非常に複雑でさまざまな種類のものがあるということですが、分離して生じる物質の種類によって、ピガロールタンニンとカテコールタンニンに大別されています。
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